Phase.7 復活─過激にいこうか─

「……おらぁぁっ!」


変身が完了すると駆け出していき、右腕のメインウェポン………キラービームクローで切り掛かる。

立ち上がった所に切り裂かれるスクウィッドアンゲロス。


飛び散る血飛沫が白い廊下を赤黒く染めあげる。

しかし切り裂かれたスクウィッドアンゲロスは咄嗟に黒い物体を口から発射する。



「……っ!」


イカというモチーフから察するに、黒い物体の正体はイカ墨。

咄嗟の反撃に回避することができず、俺はイカ墨を受けてしまう。


イカ墨は俺の顔面に付着すると文字通り爆発する。



その威力は思ったより大きく、仰け反ってしまう。

手で触れて見れば、仮面には大きくヒビが入っており、その威力の高さを物語っている。



そして、この爆発により警報器が作動したようで建物全体に警報が鳴り響く。




「やってくれる……!」

イカ墨を受けた箇所を抑えながら呪詛を吐く。

続いてもう一体のスクウィッドアンゲロスが背中から触手を生やし、触手を鞭のように振るう。


装甲が傷つくたびにガキンッ!という音と共に火花が飛び散り、薄暗い廊下を照らす。



「……流石は組織の飼い犬といったところか。だがこの程度……!」


攻撃を受け続けていたのは相手の攻撃を見極めるため。

そして、奴らの攻撃パターンを見極めると奴らの触手を切り裂いてゆく。


奴らのパターンが見極められれば、奴らの動きなど止まって見える。




しかし…………



「全く……面倒かけさせんじゃねぇよ………」


《Retribution Edge……》


「……!」


突如聞こえる男の声。

それと同時にスクウィッドアンゲロスを貫く刃。


更に刃を中心に赤黒い光が放たれる。


赤黒い光に包まれたスクウィッドアンゲロスはたまらず窓ガラスを割り、街中へと逃走していった。





「……ちっ……!お前は………!」


薄暗い廊下の闇の向こうから現れる戦士。


それは白銀の鎧に身を包む一本角の戦士。

この間、森で戦ったあのエージェントだ。


前にも思ったが、こんな装備の戦士は7本のレイザーギアにはいない。
おそらく新しく組織が開発したのだろうが……そんなことはどうでもいい。

邪魔をするのなら…………



「………いいのか?アンゲロスはお前のせいで外に出ていっちまったぜ?」


「チッ………!」


『普通』なら逃げ出したアンゲロスを放っておいて先に進む。

だが野放しにされたアンゲロスがもたらす被害を俺は知っている。


もはや目の前の敵や姫矢の暗殺どころではない。



俺は叩き割られた窓ガラスから一階に飛び降り、白銀の戦士を気にも止めず、逃げ出したスクウィッドアンゲロスを追いかけるのであった。
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