Phase.6 爆現─俺たち二人で─

────

この俺、緑川 秋の人生が一変する事件は2度あった。


『1度目の事件』は中学2年生の夏休みの日。



当時、柔道部に所属していた俺は3日間に渡って行われな合宿も終わり、3日ぶりに帰宅した日のことだった。


合宿という非日常から日常へ。

そんな風に、なんて事もないありふれた夏休みが戻ってくるのだと思ってた。






─────だけど、そんな夏休みは部屋中に蔓延した腐臭と共に終わりを告げた。






「父ちゃん!?」


目の前に飛び込んできた光景は父の変わり果てた姿。

母ちゃんと離婚して以来鬱を患っていた父ちゃんが、倉庫で首を吊って死んでいたんだ。



取り乱した俺は警察や救急車も呼ばずに………いや呼ぶことすら出来ずに近所の病院に駆け込んだ。




「父ちゃんを助けて」って、泣きわめきながらな。



幼い頃から世話になっていた医者に、救急車と警察を呼んで貰って、俺は父ちゃんが死んだ事を母ちゃんに伝えた。



───母ちゃんの電話越しの泣き声を今でも忘れられない。


そうして落ち着いたころ、俺は警察に事情聴衆をされ詳細を説明した。

順を追って説明し、何が起こったか整理していくたびに父ちゃんはもうこの世にいないのだと思い知らされた。




それから俺は喧嘩に明け暮れた。


周りからの同情の視線。

自分の痛みを軽視する周囲。



……………全てが耐えられなかった。


それ以上に父ちゃんの苦しみを理解出来なかったなかった自分が、父ちゃんを救えなかった自らの無力さが耐えられなかった。



気に入らないものは殴り飛ばす。

そんな毎日を過ごしているうちに俺の周りには誰も寄り付かなくなっていた。




───そんな日々を過ごしていたある日『2度目の事件』が起きた。
32/37ページ
スキ