Phase.6 爆現─俺たち二人で─

「……てる?」


「……え?」


「ちょっとぉ~!人の話聞いてる!?」


しばらくぼんやりとしていたが、あかりんの声で我にかえる。



「……ごめん、ちょっと考え事してた」


「考え事ってまさかこないだの………」


「あっ、違う違う。久しぶりすぎて勉強ついていけるかなーって………あはは」


考え事をしていたというワードで、この間の戦いのことを思い出していたのではと不安になったのだろうか。


彼女は心配そうに俺の顔を覗きこむ。



しかし俺は本心を隠し、おどけて見せた。


………ちゃんと笑えていたかは微妙だが。




「……勉強なら俺のノート見て大丈夫だろ?」


「アキくんのノートしか見てないから心配なんじゃないか」


「なんですと!?」


「あっっったり前じゃん!

アンタのきったないノートじゃみっちゃんでも分かんないって!」


「そこまで言うことないだろ!?」


──なんてことない何時もの会話。

でも、あかりんも秋くんも普段よりも明るく振舞っていたのは分かった。


俺だってそうだったもん。



………まるで辛い現実を忘れるためにおどけてたんだ。








でも………








「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」







「「「!!」」」



耳をつんざくような悲鳴。



こうして、俺たちは現実に引き戻されたんだ。
12/37ページ
スキ