Phase.6 爆現─俺たち二人で─

──PRIME SIDE──

2月23日 午前8時13分 願葉区。


体調こそ優れなかったものの、『明日こそ学校に行く』と宣言したし、このまま休み続けても勉強についていけなくなるだけだと判断し、俺は久しぶりに学校に向かうことにした。



「おはよ、みっちゃん!」


「おはよう、あかりん。秋くん」


「ウッス」


いつもの通い慣れた通学路。

道紀と秋は明梨と合流すると学校に向かう。


オートウォークに乗りながらふとあかりんが口を開いた。



「なんていうかこうして3人が揃うのも久しぶりだよね~」


「そうだね……」


明梨の何気ない一言に空返事を返し、空を見上げる。






───結局、何1つ変わらなかった。





いじめられっ子でいつもあかりんに守って貰っていた俺も…………ベルトの力を手に入れて、少しは強くなった気でいたんだ。


でも…………結局自分がやっていたのはただの人殺しで、大切な人すら護れなかった。

残ったのは彼女を手にかけた時の感触と彼女を失った喪失感だけ。






…………それ以外は何1つ変わらない。



いつもの通学路も、澄み切ったこの空も、ユカ姉と一緒にみたテレビの番組も、何も変わっていない。






それなのに姫華さんだけがいない。

姫華さんだけがもうどこにもいないんだ。






その事実がこの喪失感を、更に大きなものにさせているんだ……………。
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