Phase.5 再会─眠れ、愛しの姫君よ─
「………か、ちゃ………ん」
「……姫華さん!?」
今にも消えてしまいそうなうなほどのか細い声。
俺は視線を彼女の方へと戻し、彼女を抱きかかえた。
これが…………彼女の『願い』の結末か。
まぶたの裏にはあの笑顔が今でも残っているのに、コートや手にべっとりと付着した赤黒い血がそれが現実だと嫌でも思い知らされる。
なんで………姫華さんは、ただ愛した人とその間に出来た子供と幸せに暮らしたかっただけなのに。
なんで………壊されてしまったんだ。
「……わたしの…………
…どこ……?」
俺の腕のなかで何かを探すかのようにうごめく。
俺は血に塗れた彼女の姿を見ていられなくなり彼女をそっと抱きしめる。
「………ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい………」
感情が渦巻き、涙を流しながらうわ言のように呟くことしか出来ない。
涙が溢れてくる。
こんなに抱き締めているのに、涙も彼女の顔を濡らしているのに。
もう、彼女の眼には俺は映っていない。
せめて心だけでも救うと決めたはずだった。
だけど、俺は本当に姫華さんの心を救うことが出来たのだろうか?
結局ただアンゲロスを駆除しただけ……いや、もはやただ人殺しをしただけではなかったのだろうか?
こんな形でしか彼女を呪縛から解き放つことが出来なかったことが悔しくて………本当に悔しくて。
「…………わたしの…
…あかちゃん…
……どこ………?」
……………静かな空間に響く彼女のか細い声。
その言葉を最期に、波が引いていくように彼女の体から力が抜けていったのを覚えている。
──────これが、姫華さんの最期だった。
「……姫華さん!?」
今にも消えてしまいそうなうなほどのか細い声。
俺は視線を彼女の方へと戻し、彼女を抱きかかえた。
これが…………彼女の『願い』の結末か。
まぶたの裏にはあの笑顔が今でも残っているのに、コートや手にべっとりと付着した赤黒い血がそれが現実だと嫌でも思い知らされる。
なんで………姫華さんは、ただ愛した人とその間に出来た子供と幸せに暮らしたかっただけなのに。
なんで………壊されてしまったんだ。
「……わたしの…………
…どこ……?」
俺の腕のなかで何かを探すかのようにうごめく。
俺は血に塗れた彼女の姿を見ていられなくなり彼女をそっと抱きしめる。
「………ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい………」
感情が渦巻き、涙を流しながらうわ言のように呟くことしか出来ない。
涙が溢れてくる。
こんなに抱き締めているのに、涙も彼女の顔を濡らしているのに。
もう、彼女の眼には俺は映っていない。
せめて心だけでも救うと決めたはずだった。
だけど、俺は本当に姫華さんの心を救うことが出来たのだろうか?
結局ただアンゲロスを駆除しただけ……いや、もはやただ人殺しをしただけではなかったのだろうか?
こんな形でしか彼女を呪縛から解き放つことが出来なかったことが悔しくて………本当に悔しくて。
「…………わたしの…
…あかちゃん…
……どこ………?」
……………静かな空間に響く彼女のか細い声。
その言葉を最期に、波が引いていくように彼女の体から力が抜けていったのを覚えている。
──────これが、姫華さんの最期だった。