Episode.3 EIN

「ハイ、決まったー……っと」

ライダーキックを決めると着地し、アインの様子を見る。

赤く輝いていたラインドライブは元の黒色に戻り、全身に纏っていた赤い稲妻も消滅する。

どうやら今のダメージでスタンダードフォームに戻ったようである。



「ハハッ………やるじゃねぇか…………。

まさか……オーバードライブまで攻略するなんてな…………」



そう言って立ち上がりファイティングポーズをとるアイン。

今の一撃でかなりのダメージが奴に入っているはずだ。

本来ならもう立ち上がれないくらいには。



「お前の負けだ………そこで寝てろ。

自分に勝ち目はないってのはもう分かってるんだろ?」

訂正しよう。
教養は無さそうだが、戦いの組み立て方やその爆発力。
それから観察眼の良さ。

おそらく頭の回転はいい方だ。

間違いなくこちらが高速移動やその副次効果である動体視力の強化などは気づいていたはずだ。


それでもバカ正直に正面から突っ込んでくる辺り、コイツはやっぱりバカなんだ。


いや、バカみたいに真っ直ぐなんだ。




「そういう訳には………行かないんだよ!」


アインはフラフラとしながら歩み寄り、パンチをかます。

しかし、俺はその拳を容易く受け止める。



「俺はもう二度と後悔しない為にこの力を受け入れた………。

そして決めたんだ……その為にこのベルトの力を使うってな!」


「あぁ、そうかい………!」


拳を押し退けるとアインを蹴り飛ばす。



「ぐっ………!」


「だったらその理想に溺れて死ねよ……!」


《ドゥンケル!バースト!》

《エクスライザースラッシュ!》


カプセルを読み込ませると、無数の黒い大蛇がアインに絡みつく。

元々殺すって決めてたんだ。
コイツも信念を貫けないなら死んだ方が本望だろう。

俺はヴァルツクローを構え、ゆっくりと恐怖を煽るように歩み寄る。


命を刈り取る死神のように。



「くそ………ここまでかッ………!」




………ヴァルツクローを振り上げたその時であった。





「「うわぁぁぁぁっ!」」

「「!?」」


女子高生を追いかけていった筈の孟と亨多が何者かに吹っ飛ばされてきたのは。
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