Episode.3 EIN

辺りを火の海にしながらも拳と拳、意地と意地がぶつかり合う。


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」


パワーは互角。

いや、ちょっとだけ俺の方が押されているかな。



「おいおいどうしたよ!てめぇの意思ってのはそんなヤワなもんか!?」


拳に力を込めながらあからさまな挑発をしてくるアイン。

声色からも分かるようにこいつ、この戦いを楽しんでやがる。
しかも勝利を確信している。



悪いけど俺、そういう暑苦しいの嫌いなんだよな。

さっきはノリで叫んだけどさ。




「……ヤワだよ………

別にヤワでいいんだよ………」


そうだ、単純な力比べでもダメなら………押してもダメなら引くしかない。

今がその時だ。


俺はスッ……と拳から力を抜くと奴の拳の力を利用して後ろに飛び退いた。



「なっ!?」


これは流石に予想出来なかったようで、アインは体制を崩した。


つけいる隙はその一瞬で充分だ。



俺は背後の壁を蹴ると空中で一回転、腕から脚へとエネルギーが移動する。




「ライダァァァァァァァキィィィィィック!!」


そして渾身の力でライダーキックを放つ。

リヒトカプセルで強化したスピードとドゥンケルカプセルで強化したパワーから炸裂するライダーキックだ。

認めたくはないがアインは……あの脳筋くんは確かに強かった。

だけど、あのオーバードライブとやらを使って狭い路地裏で戦い続けてりゃ俺に反撃の隙を与えずに済んだのに。


変に周りや面子を保とうとした結果がこれだ………。愚かすぎる。




当然流石のオーバードライブでも本人に一瞬でも隙が出来れば防御も回避も出来ないに決まっている。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


そしてその一撃は………アインを大きく吹っ飛ばした。
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