Episode.3 EIN

「アカコーだかバカコーだがしらねぇが………!」


「………どけ。こいつは俺がやる」


篠原 輝と名乗る少年に詰め寄らんとする孟を無理やりどかすと輝の前に立つ。

奴の手には既に一枚のカードが収まっていた。このカードで変身するのだろう。


奴はやたらとカッコつけた構えを作り………



「変身ッ!!」


掛け声と同時にカードをバックル中央の溝に滑らせる。


《Loading………》



そんな電子音声とともにカードがひとりでに動き、輝の前に浮かび上がり光り輝く。


《Change:Ein!》



新たな電子音声とともにカードが形を変え人型のラインが現れると輝の体を包み込む。


そして現れたのは………



灰色のボディカラー
全身に広がるラインドライブ。
バイザーの奥で燃えるように輝く複眼。



「仮面ライダーアイン!さぁ一丁仕事と行くぜぇ!!」


《Weapon Set:Saber!》


輝……いやアインがバックルに一枚のカードを滑らせると彼の手には身の丈ほどの大剣………アインの刀だから『アインセイバー』だろうか………が握られる。

そして奴は駆け出すとアインセイバーを振るう。

反射的にそれをヴァルツクローで受け止める。



「もう大丈夫だからな!さっさと逃げな!」


「う、うん!」


ヴァルツクローとアインセイバーが切り結ぶ中、アインは女子高生に逃げるようにいう。

走って逃げてゆく女子高生。


端から見れば俺たちは悪役そのもの。



───でも、それがどうしたんだ。



「孟!亨多!あの子を追え!!」


「「わかった!!」」


それでもアンゲロスは倒さなきゃならない。


これ以上誰も死なせないために………血の生誕祭みたいな悲劇はもうごめんだ。


それにアイツらは“死体”。

自分が生きた人間だと勘違いしてる死体でしかない。



孟と亨多に女子高生を追いかけるようにいうと、2人は女子高生を追いかける。




「させるか!」


「どけよ単細胞が……!!」


あの死体を逃がそうとするアイン。

あのいけ好かない呼道勇騎とは違ったベクトルでこの『余所もん』も厄介だ。

俺たちの世界の事情も知らずに首を突っ込みたがる。
そしてコイツみたいな頭の悪い奴らは決まって俺たちの話に耳を貸さない。


──それに話したところで理解されないというのはもう分かりきってるし諦めてる。


分かりきってるからこそ取る手段はただひとつ。

コイツを今ここで殺す。ただそれだけ。



こうして戦いの火蓋は切って落とされた。
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