Episode.2 RIVEL

──CHIMERA SIDE ──

「おつかれさん、来栖」

「……あれで宜しかったのですか」

姫矢の街の路地裏。
そこで私、来栖黎人は我が主と合流を果たす。

左腕とベルトを除いてあの椿 勝利の変身するヴァルツと同じ姿の鎧を身に纏っている。

強力な力をもたらす怪人カプセルを渡され、私は自我を保てなかった。

しかし……。


「よくやってくれたよ、お前は。

おかげで自衛隊も潰せたし、なによりブランクカプセルも奴らの手に渡った。

全ては計画通りだよ………」


……実験に失敗しブランクカプセルを落とした私を咎めはしなかった。

どうやらこれが我が主の描いた筋書きのようだ。



「………一体貴方は何を考えているのです?」


「そのうち分かるさ。楽しみにしとけ……ciao~……」

背を向けた途端、我が主の眼前に銀色のオーロラが現れる。

この銀色のオーロラ……『オーロラカーテン』は他の場所と繋がっており、潜り抜けることで他の場所へとワープすることが出来るのだ。


そして、我が主は気だるそうに手を振るとオーロラカーテンの向こうへと消えていった。


「……貴方様は新世界の創造こそ我らの悲願と言った……

だが……その新世界の創造とは一体何を成し遂げることなのですか………?」


オーロラカーテンが消えても尚、立ち尽くす。
あの御方は一体何を成し遂げようとしているのか……今の私には分からない。



──私は、今迷いの中にいる。
34/35ページ
スキ