Episode.2 RIVEL

「………あっ、そうだ」

理緒はノエルが俺の後ろで何かもじもじしているのを見て何かを察したようでノエルに近づく。



「ノエルちゃん、お風呂入ろっか」


「………」

ノエルのスカートや靴下……特に尻辺りが濡れているのに気づき、理緒はそっとノエルに耳打ちした。

ノエルは恥ずかしそうに顔を真っ赤にすると俯いた。


───あきまへん。理緒さんあきまへん。
その一連の流れ傍から見るとかなりドスケベですって。


……なんてジョークはそこまでにして。



「ノエル、そこで寝てる奴はともかくこの子は何もしないと思うからさ。お風呂入っておいで」


流石にびちょぬれのままノエルをそのまま放置という訳にはいかないので、俺は理緒を信じてみることにした。
この子からは来栖さんのように敵意……というか悪意は感じられないし、そこで寝ている人と違って話も通じそうだし、信じてもいいと直感でわかった。

おそらくそれは彼女の人柄が成せるものだろう。



「うん………」


ノエルも『俺が感じとったもの』を直感で理解したのだろう。
ようやく理緒への警戒心を解いてくれた。



「じゃ、一緒にはいろっか!あ、勝利くん、覗いちゃダメだからね!?」


「流石にのぞかねーよ!………って店番はいいの!?」


「やっといてー!」


「うそーん……」


え、あの子見ず知らずの俺に店番任せてお風呂行っちゃったよ?

俺以外にいるの、ガラクタのように寝てる勇騎さんだけなんだけど!



「………レジ打ち出来るかな」


こうして………店の中には勇騎さんと俺だけが残された。

今はとにかくお客さんが来ないことを祈るだけである。
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