Episode.2 RIVEL

「まぁいい。お前が惚れていてもいなくてもノエルには協力してもらう」


「それで全部終わったらどうするつもりだよ?」


「その時は………そうだな、お前に任せるよ」


少し考えるような仕草をすると勇騎さんはそういう。



「それじゃあ………」


「あぁ………彼女を家に帰してやってくれ」


そう言って微笑む勇騎さん。

最初からそう言えってんだ。

俺は勇騎さんに悪意がない事を知るとホッと胸を撫で下ろす。



でも………




「私、おうち分からない………」


「え?」


耳を疑うような一言をノエルは言い放った。



「それってどういう………」


「わからないの、何もかも。気がついたらあそこにいた。

だからずっと待ってた、貴方が来るのを」


何も分からないって………記憶喪失って事か。

それで俺が助けに来るのをずっとあの部屋で待ってたのか。

俺と歳そこまで変わらないのに自分の記憶がないってどれだけ怖いことだろうか。

俺は気がついたら彼女の手を握っていた。



「……だ、だったらさ。記憶が戻るまで俺んとこ来なよ。俺以外に仲間が2人もいて楽しいよ?」


「楽しい?」


「うん、楽しい!」


「わかった………」



安心したように微笑むノエル。

やばい、この子天使や……。



「…………2人で盛り上がってる所悪いんだが、そろそろ手離してやったらどうだー?」


「あっ」


思いっきりニヤけていただろう俺をジト目で見つめる勇騎さん。

俺は慌てて握っていた手を離した。
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