「おらぁっ！」

まずは孟の強烈な釘バットによる一撃が男の頭にクリーンヒットする。

血を流し、その場に倒れこむ男。



「な………なんなんだ君たちは！」

頭を押さえながら男は俺たちをみる。

その表情は恐怖に歪んでいた。




「はぁーい、チームバルチャーけんざぁん！“アンゲロス狩り”の始まり始まり～～」


亨多が動画を撮りながら声高らかに宣言する。

チームバルチャー。それは俺たち3人でやってる怪物狩り専門のチームだ。

怪物狩りの様子を動画サイトに投稿して、その広告収入で生計を立てている。

フォロワーは500万人、動画の平均再生数は450万回となかなかの人気ぶりだ。

ちなみにバルチャーとはハゲタカを意味する言葉らしい。

死骸を啄み自らの糧とする。

……これほどまで俺達に似合っている動物もそこそこない。皮肉なことに。



「やるからにゃ楽しまなきゃだよなぁ………ショーリ」

「俺は楽しむ気なんてないよ」

「つれないねぇ……お前は！」


そこまで言うと孟は釘バットで男を滅多打ちにする。

正直見ていてあまり気持ちのいい光景じゃない。

むしろ目を背けたくなる光景だ。

でもこれもこの街で天涯孤独となった俺たちが生きていくために必要な事なんだ。

俺はそう信じてる。


──例えそれが少数の誰かを不幸にしようとも、大多数の誰かが救われるんだ。

喜んで泥も被るさ。