だが、急にいい案など思いつくわけも無く。


「来ないのか？ならこっちから行くぞ！」


エグゼイド・ムテキゲーマーが眼前に迫る。



「やべっ………！」


身構えた瞬間、俺の意思とは関係なく勝手に体が動き奴の攻撃を防ぐことに成功する。

そもそもライダーシステムにはAI……人工知能が搭載されており、スーツ内の人工筋肉を通してライダーシステムの装着者に最適な動きを促す。
そのおかげもあり、変身した瞬間に身体能力が変身前より上がるのだ。
今回は自身の体よりライダーシステムのAIの方が先に反応したため奴の攻撃を防ぐことに成功できたという訳だ。


しかし刀と鉤爪が交錯する度に火花が散り、次第に俺の体は後方に押されてゆく。

それだけ力の差は歴然ということ。流石にコイツには負けるようだ。



「このままじゃ………！」


このままでは勝ち目はない。

いっそノエルを連れて逃げるか………？

ここで大切なのはコイツと戦うことじゃない。

ノエルを無事に家に届けてやることだ。



そうだ、そうしよう。



そう考えた一瞬だった。






「「ッ！！」」




ライダーシステムの熱源感知センサーが反応。

つまりは何者かの攻撃が飛んできたということだ。

俺たちは攻撃を飛び退いて回避する。



「………っ！｣

「ほう………いい動きをするじゃなイカ」




視線を向けたその先にいたのは………

異様に長い両腕。
剣のように尖った頭部。
全身が半透明でうっすらと内臓が動いているのが見える。
背中には天使の翼
頭上には天使の輪
腹部のバックルには宝石……ヴァイトップが埋めこまれている。



そう、コイツはアンゲロス……イカの特性を持つスクウィッドアンゲロスだ。