Episode.12 REPOSE
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「……なに?来栖とフロースがしくじった?
……わかった。お前たちは来栖とフロースを回収してくれ。
豚型改造人間の方は俺が対処する」
構成員からの連絡が入る。
連絡の内容はジェネシスコーポレーション残党のアジトに向かった来栖黎人、フロースの両名の通信が途絶えたという話だ。
来栖はともかく、フロースは無事だとしても……どうやら敵も予想以上のやり手らしい。
俺……ジニア・ロックディールは通話を切ると目の前の相手を見やり、言葉を投げ掛ける。
「……という訳だ。俺も暇じゃねぇんだわ。
さっさとそのドライバーを寄越せ。
そしてこれまでのことは全て忘れて真っ当に生きろ。
そうすりゃ命まではとらん。
なんならこれから先の生活も保証してやるぞ?」
目の前にいるのは二十代前半くらいの中肉中背の男。
全身黒色のパーカーとスウェットに口元には黒いマスクと……いかにも中学生で精神年齢が止まってるといった出で立ちだ。
だがそれでもこいつも仮面ライダー。
その腰にはドライバー……変身ベルトが巻かれている。
自分達の世界が消滅して、この世界にやって来たのはノゾミ・ナカムラやセッテ・クロハラだけじゃない。
融合した並行世界の数だけ、この世界に世界の“核”となった仮面ライダーが現れるのだ。
そして、その度に俺はこの世界に現れた仮面ライダーたちに
『ドライバーを手放せ』
『これまで仮面ライダーとして戦ってきたことは忘れろ』
『そうすればこれから先の生活も保証する』
そんな言葉をこの十数年、何度も何度も投げ掛けてきた。
当然、その答えはいずれも『ノー』。
それは自分達の世界を救ってきた誇り故か、それとも単に力に溺れただけか……誰一人として素直にドライバーを手放した奴はいなかった。
腐ってもコイツらは世界の“核”となるライダーたちだ。
俺も馬鹿ではない。
こんな事を問いかけても無意味なことくらいは知っている。
現に目の前の中二病もニチャ……と嘲るように笑みを浮かべた。
「あ?なにいってんだ?
今さらドライバー捨てられるわきゃねぇだろォ?」
「……だろうな」
ドライバーに装填されるであろうカードを構える中二病。
カメラを思わせるベルトの形状やカードのデザインから見るに次元戦士だろうか。
俺は思考を巡らせながら目の前の相手に失望していることに気づいた。
──こんな奴になにを期待していたのだろう。
力を手放して、仮面ライダーから足を洗って、真っ当な一般人として生きていくことを期待でもしていたのだろうか。
コイツは『後者』。
世界を救ってきた誇りなんかない。
力に溺れたタイプだ。
「仕方ない、か……」
次元戦士……ディケイドのように他の仮面ライダーの力を行使できる仮面ライダーならば、ジュエルドライバーでは攻略不可能か。
俺はエクスドライバーを取り出した。
今は亡き女房の形見だ。
なるべく使いたくなかったが……仕方ない。
《エクスドライバー!》
エクスドライバーを腰に充てがうとベルトが伸びる。
ドライバーが装着されるのは腰……否、丹田である。
全ての“氣”が産み出される機関だ。
元来、人間は体内の“氣”をコントロールし、その力で自らの肉体を強化したり、治癒力を高めたりと超人的な力を発揮してきたとされている。
それは実際に古武術や中国拳法の武道術理として脈々と語り継がれてきた程だ。
故に大半の仮面ライダーはドライバーを丹田に装着する。
感情の高まりにより丹田より産み出される氣をドライバーで増幅し、それを体内に循環させる。
そうすることで仮面ライダーは人を超えた超人としての力を発揮するのだ。
ベルト型のドライバーで変身しない仮面ライダーすら丹田にはベルトが装着されている。
すなわち……
──ベルトで変身しないライダーはいても、ベルトがない仮面ライダーは存在しない。
これが仮面ライダーの強さの秘密なのだ。
だが目の前のコイツはそんなことにすら永遠に気づけないのだろう。
自身が持つドライバーに秘められた力にも、その超人的な力の意味すらも。
……何もかもが浅はかだ。
信念も矜持も何も感じない。
ただ力を振るう悦びに溺れただけの哀れな存在。
だからこそ、俺が引導を渡してやる。
ドライバーの装着が完了するとドライバーをスタンバイモードにし、懐からカプセルを取り出した。
《リヒト!》《ドゥンケル!》
《KAMEN RIDE》
お互いに装填するキーアイテム。
カードやカプセルに内包された“力”をドライバーを介して解放する。
「変身!!」
「変身……」
《DELOAD!》
《デュアルフュージョン!ヴァルツ!》
《光と闇のマリアージュ!今こそ立ち上がれ最強のライダー!》
キーアイテムから解放された力と丹田から生み出された氣が交わり、ドライバーで増幅される。
強化される肉体に耐えるための外骨格が鎧として装着され、互いの変身が完了した。
俺はヴァルツに変身したが……奴は4原色のキープレート……簡単に言えば黒いカラーリングの次元戦士となった。
首から下はディケイドやディエンドのものと大差ないが頭部は別物となっていた。
半額になった商品に貼られる黄色のバーコードシールのような形状のライドプレートが放射状に張り巡らされており、それが複眼と並行世界を渡る通行手形としてのライドプレートの役割を果たしているようだ。
字 はドライバーの音声から察するに『仮面ライダーディロード』だろうか。
……なんかよく聞く名前だ。
全てのライダーの“主”ってか?
馬鹿馬鹿しい。
「さぁ、俺を楽しませてくれよオッサン!!」
「……だる」
中二病が変身した次元戦士・ディロードがライドブッカーをソードモードに変形させると駆け出してきた。
薄っぺらい。何もかもが薄っぺらい。
その薄っぺらさはノゾミと同等だ。
軽く構えつつも仮面の下で呆れ返る中、奴はその刃を俺目掛けて振り下ろした……。
「……なに?来栖とフロースがしくじった?
……わかった。お前たちは来栖とフロースを回収してくれ。
豚型改造人間の方は俺が対処する」
構成員からの連絡が入る。
連絡の内容はジェネシスコーポレーション残党のアジトに向かった来栖黎人、フロースの両名の通信が途絶えたという話だ。
来栖はともかく、フロースは無事だとしても……どうやら敵も予想以上のやり手らしい。
俺……ジニア・ロックディールは通話を切ると目の前の相手を見やり、言葉を投げ掛ける。
「……という訳だ。俺も暇じゃねぇんだわ。
さっさとそのドライバーを寄越せ。
そしてこれまでのことは全て忘れて真っ当に生きろ。
そうすりゃ命まではとらん。
なんならこれから先の生活も保証してやるぞ?」
目の前にいるのは二十代前半くらいの中肉中背の男。
全身黒色のパーカーとスウェットに口元には黒いマスクと……いかにも中学生で精神年齢が止まってるといった出で立ちだ。
だがそれでもこいつも仮面ライダー。
その腰にはドライバー……変身ベルトが巻かれている。
自分達の世界が消滅して、この世界にやって来たのはノゾミ・ナカムラやセッテ・クロハラだけじゃない。
融合した並行世界の数だけ、この世界に世界の“核”となった仮面ライダーが現れるのだ。
そして、その度に俺はこの世界に現れた仮面ライダーたちに
『ドライバーを手放せ』
『これまで仮面ライダーとして戦ってきたことは忘れろ』
『そうすればこれから先の生活も保証する』
そんな言葉をこの十数年、何度も何度も投げ掛けてきた。
当然、その答えはいずれも『ノー』。
それは自分達の世界を救ってきた誇り故か、それとも単に力に溺れただけか……誰一人として素直にドライバーを手放した奴はいなかった。
腐ってもコイツらは世界の“核”となるライダーたちだ。
俺も馬鹿ではない。
こんな事を問いかけても無意味なことくらいは知っている。
現に目の前の中二病もニチャ……と嘲るように笑みを浮かべた。
「あ?なにいってんだ?
今さらドライバー捨てられるわきゃねぇだろォ?」
「……だろうな」
ドライバーに装填されるであろうカードを構える中二病。
カメラを思わせるベルトの形状やカードのデザインから見るに次元戦士だろうか。
俺は思考を巡らせながら目の前の相手に失望していることに気づいた。
──こんな奴になにを期待していたのだろう。
力を手放して、仮面ライダーから足を洗って、真っ当な一般人として生きていくことを期待でもしていたのだろうか。
コイツは『後者』。
世界を救ってきた誇りなんかない。
力に溺れたタイプだ。
「仕方ない、か……」
次元戦士……ディケイドのように他の仮面ライダーの力を行使できる仮面ライダーならば、ジュエルドライバーでは攻略不可能か。
俺はエクスドライバーを取り出した。
今は亡き女房の形見だ。
なるべく使いたくなかったが……仕方ない。
《エクスドライバー!》
エクスドライバーを腰に充てがうとベルトが伸びる。
ドライバーが装着されるのは腰……否、丹田である。
全ての“氣”が産み出される機関だ。
元来、人間は体内の“氣”をコントロールし、その力で自らの肉体を強化したり、治癒力を高めたりと超人的な力を発揮してきたとされている。
それは実際に古武術や中国拳法の武道術理として脈々と語り継がれてきた程だ。
故に大半の仮面ライダーはドライバーを丹田に装着する。
感情の高まりにより丹田より産み出される氣をドライバーで増幅し、それを体内に循環させる。
そうすることで仮面ライダーは人を超えた超人としての力を発揮するのだ。
ベルト型のドライバーで変身しない仮面ライダーすら丹田にはベルトが装着されている。
すなわち……
──ベルトで変身しないライダーはいても、ベルトがない仮面ライダーは存在しない。
これが仮面ライダーの強さの秘密なのだ。
だが目の前のコイツはそんなことにすら永遠に気づけないのだろう。
自身が持つドライバーに秘められた力にも、その超人的な力の意味すらも。
……何もかもが浅はかだ。
信念も矜持も何も感じない。
ただ力を振るう悦びに溺れただけの哀れな存在。
だからこそ、俺が引導を渡してやる。
ドライバーの装着が完了するとドライバーをスタンバイモードにし、懐からカプセルを取り出した。
《リヒト!》《ドゥンケル!》
《KAMEN RIDE》
お互いに装填するキーアイテム。
カードやカプセルに内包された“力”をドライバーを介して解放する。
「変身!!」
「変身……」
《DELOAD!》
《デュアルフュージョン!ヴァルツ!》
《光と闇のマリアージュ!今こそ立ち上がれ最強のライダー!》
キーアイテムから解放された力と丹田から生み出された氣が交わり、ドライバーで増幅される。
強化される肉体に耐えるための外骨格が鎧として装着され、互いの変身が完了した。
俺はヴァルツに変身したが……奴は4原色のキープレート……簡単に言えば黒いカラーリングの次元戦士となった。
首から下はディケイドやディエンドのものと大差ないが頭部は別物となっていた。
半額になった商品に貼られる黄色のバーコードシールのような形状のライドプレートが放射状に張り巡らされており、それが複眼と並行世界を渡る通行手形としてのライドプレートの役割を果たしているようだ。
……なんかよく聞く名前だ。
全てのライダーの“主”ってか?
馬鹿馬鹿しい。
「さぁ、俺を楽しませてくれよオッサン!!」
「……だる」
中二病が変身した次元戦士・ディロードがライドブッカーをソードモードに変形させると駆け出してきた。
薄っぺらい。何もかもが薄っぺらい。
その薄っぺらさはノゾミと同等だ。
軽く構えつつも仮面の下で呆れ返る中、奴はその刃を俺目掛けて振り下ろした……。
