Episode.12 REPOSE
戦闘員が召集をかけ、全国に潜伏していたジェネシスコーポレーション製改造人間たちが集まった。
組織が壊滅し、5年たった今でも戦い続けてきた猛者たちだ。
有象無象の仮面ライダー共とは顔つきが違う。
俺はカマキリガールの頭を撫でると、簡易的に作られた壇上に立った。
壇上の上から集まった改造人間たちを見据える。
集まった改造人間たちは静かに俺の演説が始まるのを待っていた。
「……同志諸君、今日はよく来てくれた!
お前たちも知っているように俺たちは人を超えた『怪人』だ。
組織に選ばれ、我々はこの力を手に入れた」
士気を高めるための演説と言ったが俺はスタンドプレーが性に合っている。
いつもならこんなことやりはしない。
自分でいうのもアレだが……我ながらなんとも滑稽である。
「にも関わらず裏切り者の手により組織は滅び!
我々は人間たちの迫害により息を潜めることになった!」
演説に熱が入り声を荒げる。
組織が滅んで5年。
仮面ライダーたちにより仲間も大量に殺されてきた。
そして今日に至るまで『人を超えた怪人』といいながら迫害に怯え、人間にも怪物にもなりきれず、ただただ中途半端な存在として俺たちは存在し続けてきた。
これから行う作戦においても犠牲は出るだろう。
そして俺たちを取り巻く状況も変わりはしないだろう。
そんなことは、わかっている。
「俺たちは5年待った。5年間耐え続けてきた!
だが、その屈辱の日々は終わった!
この世界は奴ら人間たちだけのものじゃねぇ!
俺たちの世界でもある!」
だが、時に夢や幻が『希望』になるのいうのなら俺はコイツらに『希望』を与えるさ。
こんなことで償いになるとは思っちゃいない。
それでもここで俺が道化を演じないでどうするってんだ。
「選ばれし崇高なる戦士たちよ!
我々がありのままに生きられる世界を我々の手で取り戻す為に……今一度俺にその力を貸してくれ。
その暁には、神を打ち倒し汚れた地上を炎で焼き尽くした神話の巨人スルトの如く、この胸に滾る怒りの炎で人間共を焼き尽くし我らの居場所を奴らの手から取り戻してみせよう!!」
結局のところ、これから俺は仲間に『死ににいけ』ということしか出来ない。
だが、コイツらだってそんな俺の心の内など見透かしているだろう。
そして俺もコイツらと同じだ。何も変わりはしない。
俺たちは死に場所を探しているのだ。
何かに理由をつけて。
自己を保つために『理想』という夢を見て。
端から見れば滑稽に見えるだろう。
そんなことここにいる誰もが分かってる。
それでも俺たちには奴らと戦う道しか残されていないのだ。
「俺、ピッグマンはここに!
スルト作戦の実行を宣言する!!」
最後に作戦の実行を宣言すると、その場にいた改造人間たちは一斉に歓声を上げた。
それは組織への忠誠故か、現実逃避か……。
俺にはその胸の内を完全に理解してやることは出来ない。
俺とてリーダーに担ぎ上げられただけの一端の改造人間でしかない。
だけどよ………
「おいたんかっこいい!」
──ここにはなんの罪のない奴だっている。
これから先の未来だって残されている。
俺たちはいい。
偉そうなことを言いながら罪を犯し続けてきたんだからな。
それでも俺の願いがひとつ叶うなら、コイツの未来だけは………。
「ありがとよ、チビ助」
壇上を降りると俺はカマキリガールの頭をもう一度だけ撫でてやるのであった。
組織が壊滅し、5年たった今でも戦い続けてきた猛者たちだ。
有象無象の仮面ライダー共とは顔つきが違う。
俺はカマキリガールの頭を撫でると、簡易的に作られた壇上に立った。
壇上の上から集まった改造人間たちを見据える。
集まった改造人間たちは静かに俺の演説が始まるのを待っていた。
「……同志諸君、今日はよく来てくれた!
お前たちも知っているように俺たちは人を超えた『怪人』だ。
組織に選ばれ、我々はこの力を手に入れた」
士気を高めるための演説と言ったが俺はスタンドプレーが性に合っている。
いつもならこんなことやりはしない。
自分でいうのもアレだが……我ながらなんとも滑稽である。
「にも関わらず裏切り者の手により組織は滅び!
我々は人間たちの迫害により息を潜めることになった!」
演説に熱が入り声を荒げる。
組織が滅んで5年。
仮面ライダーたちにより仲間も大量に殺されてきた。
そして今日に至るまで『人を超えた怪人』といいながら迫害に怯え、人間にも怪物にもなりきれず、ただただ中途半端な存在として俺たちは存在し続けてきた。
これから行う作戦においても犠牲は出るだろう。
そして俺たちを取り巻く状況も変わりはしないだろう。
そんなことは、わかっている。
「俺たちは5年待った。5年間耐え続けてきた!
だが、その屈辱の日々は終わった!
この世界は奴ら人間たちだけのものじゃねぇ!
俺たちの世界でもある!」
だが、時に夢や幻が『希望』になるのいうのなら俺はコイツらに『希望』を与えるさ。
こんなことで償いになるとは思っちゃいない。
それでもここで俺が道化を演じないでどうするってんだ。
「選ばれし崇高なる戦士たちよ!
我々がありのままに生きられる世界を我々の手で取り戻す為に……今一度俺にその力を貸してくれ。
その暁には、神を打ち倒し汚れた地上を炎で焼き尽くした神話の巨人スルトの如く、この胸に滾る怒りの炎で人間共を焼き尽くし我らの居場所を奴らの手から取り戻してみせよう!!」
結局のところ、これから俺は仲間に『死ににいけ』ということしか出来ない。
だが、コイツらだってそんな俺の心の内など見透かしているだろう。
そして俺もコイツらと同じだ。何も変わりはしない。
俺たちは死に場所を探しているのだ。
何かに理由をつけて。
自己を保つために『理想』という夢を見て。
端から見れば滑稽に見えるだろう。
そんなことここにいる誰もが分かってる。
それでも俺たちには奴らと戦う道しか残されていないのだ。
「俺、ピッグマンはここに!
スルト作戦の実行を宣言する!!」
最後に作戦の実行を宣言すると、その場にいた改造人間たちは一斉に歓声を上げた。
それは組織への忠誠故か、現実逃避か……。
俺にはその胸の内を完全に理解してやることは出来ない。
俺とてリーダーに担ぎ上げられただけの一端の改造人間でしかない。
だけどよ………
「おいたんかっこいい!」
──ここにはなんの罪のない奴だっている。
これから先の未来だって残されている。
俺たちはいい。
偉そうなことを言いながら罪を犯し続けてきたんだからな。
それでも俺の願いがひとつ叶うなら、コイツの未来だけは………。
「ありがとよ、チビ助」
壇上を降りると俺はカマキリガールの頭をもう一度だけ撫でてやるのであった。