Episode.11 DESPAIR
「随分と様変わりしたな!」
「アンタもな!」
手元に生成されたアニマルロッドを振るい、手近にいた戦闘員たちをなぎ倒していく。
相変わらず同族殺しは気が引けるが、俺たちがコイツらを見逃せばもっと多くの被害が出てしまう。
アニマルロッドによる棒術を駆使しつつ戦闘員をなぎ倒し、クロスと互いに背中合わせになる。
「ふはははは!我々は負けんぞ!行け戦闘員共!」
「フニーーーッ!!」
戦闘員たちを盾にするように後方から指示を飛ばす蜘蛛男。
戦闘員は確かにひとりひとりは大した強さは持っていない。
しかし、その数の多さとコンビネーションによって対象を追い詰めるのだ。
ジェネシスコーポレーションは確かに壊滅したはずなのに、まだこれだけの量の戦闘員を保有していたとは思わなかった。
……この蜘蛛男も、ここまでしてでも組織にすがるしかないということか。
もうとっくの昔に組織はなくなっているというのに。
「数が多いな……。
アニマル、桐山毅……だったか?
ここから先は少し手荒になるが、サポート任せてもいいか?」
「任せてくれ。そういうのは慣れてる」
クロスが何をするつもりなのかはわからない。
だが、仲間との共闘は俺だって慣れている。
実際に俺の仲間たちも曲者揃いだったからな。
俺はアニマルロッドを『アニマルハンマー』へ変形させる。
アニマルロッドは先端を回転させることで別の武器へと変形させることができる。
今は巨大な鉄槌型の武器『アニマルハンマー』へと変形させた。
変形に伴い鉄槌のアタマがナノマシンにより巨大化し、重量が大幅に増す。
その重量は膂力が強化されたスーパーフォームを持ってしても持ち上げるだけでもやっと……という程だ。
それを証拠に地面に接しているアタマがアスファルトの敷かれた地面にめり込む程だ。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」
アニマルハンマーをハンマー投げの要領で振るい、遠心力に任せて戦闘員に叩きつける。
グシャリという音と共に、ハンマーの一撃を防ごうとした両腕ごとへし折り、仲間の戦闘員たちがいる方へ吹き飛ばす。
当然こちらに向かってきた戦闘員たちも吹き飛ばされてきた戦闘員の巻き添えとなりボーリングのピンの如く弾き飛ばされた。
「「「ふ、フニィィ……!」」」
アニマルハンマーの直撃を喰らった戦闘員と吹き飛ばされてきた戦闘員の巻き添えになった戦闘員たちが泡となり消えていく。
俺は消えていった戦闘員たちを一瞥すると、仲間の仇討ちと言わんがばかりに迫り来る戦闘員たちの姿をその目に捉えた。
その奥には蜘蛛男。
このまま蜘蛛男を狙って……
「桐山!今だ飛べ!!」
「は?飛べ?……うぉぉぉっ!?」
クロスの予想の斜め上を行く指示が響く。
飛べ?意味がわからん。
しかし!俺は視界の隅に捉えたものを見るや否や、慌ててアニマルハンマーをアニマルロッドへ戻した。
そしてアニマルロッドを棒高跳びのポールのように地面に突き立てるとアニマルロッドのしなりを利用して高く飛び上がる。
その瞬間、俺の方へ向かってきていた残りの戦闘員たちが津波のように押し寄せた“白い霧”に飲み込まれたのだ。
地面に突き立てたアニマルロッドを介して、俺の手にも氷を握っているような冷たさを感じた。
そう、これは白い霧などではない。
クロスの放った冷気の塊が大気中の水分を冷やし、さながら白い霧が津波のように押し寄せているように見えていたのだ。
「な、なにぃっ!?」
蜘蛛男は無事だったようだが、冷気の塊を喰らった戦闘員たちは読んで字のごとく氷付けとなり、動きを封じられてしまった。
「危なっ!?」
「だから言ったろ?……『手荒になる』ってな!」
なるほど。『荒ぶる力』とは言っていたが、一緒に戦ってる仲間まで巻き込みかねない凄まじい力だ。
しかしこの男、俺まで巻き込まれてたらどうするつもりだったんだ……?
《バイオレントドゥーム!ブラスティングパニッシュ!》
クロスがベルトのレバーを再び操作するとクロスの全身から氷の棘が伸びた。
放たれた冷気と共に、氷の棘はみるみるうちに巨大化していき、氷付けとなった戦闘員たちを貫いた。
「今だ!桐山!」
「……っ!!」
クロスの伸ばした氷の棘を足場に更に跳躍。
アニマルロッドを変形させ、槍型の『アニマルジャベリン』に変形。
ベルトの風車を回転させ、エネルギーをアニマルジャベリンに注ぎ込む。
赤熱し、赤く輝く穂先。
注ぎ込まれたエネルギーが臨界点に達した証だ。
《ファイナルアタック》
簡素なガイダンスボイスがアニマルジャベリンから発せられると、俺はアニマルジャベリンを投擲する。
ターゲットは蜘蛛男。
「なにぃっ!?」
まさかあの状況で攻撃が飛んでくることなどない。
奴はそう思っていたのだろう。
奴は回避することも、防ぐこともできず……
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
アニマルジャベリンに貫かれ、蜘蛛男は爆発四散。
後に残されたものなど、なにもない。
「……終わった、か」
俺は着地すると、地面にちらつく炎を見つめる。
いつだってそうだ。
残るものはなにもない。
俺たち改造人間の末路は“無”。それだけだ。
「……まだ終わってないみたいだぜ」
隣にいたクロスが構える。
その視線の先にいたのはコートを羽織った男。
よくみてみると顔は人間のそれではなく豚。
おそらく奴は豚の改造人間。
──ジェネシスコーポレーションの残党を仕切っている奴だ。
「そこのあんちゃんの言う通りだぜ……。
まだ、勝利の余韻に浸るには早すぎるってこった」
「アンタもな!」
手元に生成されたアニマルロッドを振るい、手近にいた戦闘員たちをなぎ倒していく。
相変わらず同族殺しは気が引けるが、俺たちがコイツらを見逃せばもっと多くの被害が出てしまう。
アニマルロッドによる棒術を駆使しつつ戦闘員をなぎ倒し、クロスと互いに背中合わせになる。
「ふはははは!我々は負けんぞ!行け戦闘員共!」
「フニーーーッ!!」
戦闘員たちを盾にするように後方から指示を飛ばす蜘蛛男。
戦闘員は確かにひとりひとりは大した強さは持っていない。
しかし、その数の多さとコンビネーションによって対象を追い詰めるのだ。
ジェネシスコーポレーションは確かに壊滅したはずなのに、まだこれだけの量の戦闘員を保有していたとは思わなかった。
……この蜘蛛男も、ここまでしてでも組織にすがるしかないということか。
もうとっくの昔に組織はなくなっているというのに。
「数が多いな……。
アニマル、桐山毅……だったか?
ここから先は少し手荒になるが、サポート任せてもいいか?」
「任せてくれ。そういうのは慣れてる」
クロスが何をするつもりなのかはわからない。
だが、仲間との共闘は俺だって慣れている。
実際に俺の仲間たちも曲者揃いだったからな。
俺はアニマルロッドを『アニマルハンマー』へ変形させる。
アニマルロッドは先端を回転させることで別の武器へと変形させることができる。
今は巨大な鉄槌型の武器『アニマルハンマー』へと変形させた。
変形に伴い鉄槌のアタマがナノマシンにより巨大化し、重量が大幅に増す。
その重量は膂力が強化されたスーパーフォームを持ってしても持ち上げるだけでもやっと……という程だ。
それを証拠に地面に接しているアタマがアスファルトの敷かれた地面にめり込む程だ。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」
アニマルハンマーをハンマー投げの要領で振るい、遠心力に任せて戦闘員に叩きつける。
グシャリという音と共に、ハンマーの一撃を防ごうとした両腕ごとへし折り、仲間の戦闘員たちがいる方へ吹き飛ばす。
当然こちらに向かってきた戦闘員たちも吹き飛ばされてきた戦闘員の巻き添えとなりボーリングのピンの如く弾き飛ばされた。
「「「ふ、フニィィ……!」」」
アニマルハンマーの直撃を喰らった戦闘員と吹き飛ばされてきた戦闘員の巻き添えになった戦闘員たちが泡となり消えていく。
俺は消えていった戦闘員たちを一瞥すると、仲間の仇討ちと言わんがばかりに迫り来る戦闘員たちの姿をその目に捉えた。
その奥には蜘蛛男。
このまま蜘蛛男を狙って……
「桐山!今だ飛べ!!」
「は?飛べ?……うぉぉぉっ!?」
クロスの予想の斜め上を行く指示が響く。
飛べ?意味がわからん。
しかし!俺は視界の隅に捉えたものを見るや否や、慌ててアニマルハンマーをアニマルロッドへ戻した。
そしてアニマルロッドを棒高跳びのポールのように地面に突き立てるとアニマルロッドのしなりを利用して高く飛び上がる。
その瞬間、俺の方へ向かってきていた残りの戦闘員たちが津波のように押し寄せた“白い霧”に飲み込まれたのだ。
地面に突き立てたアニマルロッドを介して、俺の手にも氷を握っているような冷たさを感じた。
そう、これは白い霧などではない。
クロスの放った冷気の塊が大気中の水分を冷やし、さながら白い霧が津波のように押し寄せているように見えていたのだ。
「な、なにぃっ!?」
蜘蛛男は無事だったようだが、冷気の塊を喰らった戦闘員たちは読んで字のごとく氷付けとなり、動きを封じられてしまった。
「危なっ!?」
「だから言ったろ?……『手荒になる』ってな!」
なるほど。『荒ぶる力』とは言っていたが、一緒に戦ってる仲間まで巻き込みかねない凄まじい力だ。
しかしこの男、俺まで巻き込まれてたらどうするつもりだったんだ……?
《バイオレントドゥーム!ブラスティングパニッシュ!》
クロスがベルトのレバーを再び操作するとクロスの全身から氷の棘が伸びた。
放たれた冷気と共に、氷の棘はみるみるうちに巨大化していき、氷付けとなった戦闘員たちを貫いた。
「今だ!桐山!」
「……っ!!」
クロスの伸ばした氷の棘を足場に更に跳躍。
アニマルロッドを変形させ、槍型の『アニマルジャベリン』に変形。
ベルトの風車を回転させ、エネルギーをアニマルジャベリンに注ぎ込む。
赤熱し、赤く輝く穂先。
注ぎ込まれたエネルギーが臨界点に達した証だ。
《ファイナルアタック》
簡素なガイダンスボイスがアニマルジャベリンから発せられると、俺はアニマルジャベリンを投擲する。
ターゲットは蜘蛛男。
「なにぃっ!?」
まさかあの状況で攻撃が飛んでくることなどない。
奴はそう思っていたのだろう。
奴は回避することも、防ぐこともできず……
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
アニマルジャベリンに貫かれ、蜘蛛男は爆発四散。
後に残されたものなど、なにもない。
「……終わった、か」
俺は着地すると、地面にちらつく炎を見つめる。
いつだってそうだ。
残るものはなにもない。
俺たち改造人間の末路は“無”。それだけだ。
「……まだ終わってないみたいだぜ」
隣にいたクロスが構える。
その視線の先にいたのはコートを羽織った男。
よくみてみると顔は人間のそれではなく豚。
おそらく奴は豚の改造人間。
──ジェネシスコーポレーションの残党を仕切っている奴だ。
「そこのあんちゃんの言う通りだぜ……。
まだ、勝利の余韻に浸るには早すぎるってこった」