Episode.11 DESPAIR
「更にやるようになったな!仮面ライダーアニマル!」
ライダーパンチをくらい吹っ飛ばされていった戦闘員たち。
地面に叩きつけられ機能停止すると、戦闘員たちのベルトを中心に沸騰したシチューのように戦闘員たちの肉体から気泡が発生する。
気泡の出る勢いが強まっていくにつれ倒された戦闘員たちの体は内部から崩れていきやがて泡となって跡形もなく消滅した。
戦闘員たちはその多くがクローン技術や改造手術の技術を応用して作られた人造人間の類だ。
言語機能すらオミットされただただ与えられた任務をこなすだけの存在。
しかし希にやむを得ない事情から志願するも、怪人になる素質がなく戦闘員に改造されるしかなかった者たちだっている。
そんな改造人間の戦闘員と人造人間の戦闘員は、言語機能が残っているか否かで双方の区別は可能である。
だけど、戦闘員たちが口を利くことはほとんどないに等しい。
結局のところ人造人間を殺したのか、元人間を殺したのかなんてわかりはしないのだ。
「……」
「どうしたアニマルゥゥ!以前の元気はどうしたァァ!?」
この街に来てから勝利と再会してからも、俺は他の仲間と別行動をとりながらこの街に隠れているジェネシスコーポレーション残党と戦っていた。
それは世界を護るためにコイツらから居場所を奪った俺の義務だから。
だけどあの戦いが終わってからずっと見ないフリを、気づかないフリをしていた。
気づいてしまったら、考えてしまったら……その義務すら果たせなくなるから。
でも、最近つくづく思うことがある。
──こんなことやってたって虚しいだけじゃないかって。
俺もコイツらも、本当なら戦いなんて望んでないはずなのに。
どうしても戦う気にはなれず、俺は構えを解いてしまった。
「何があったかは知らないが、まさかここまで腑抜けになっていようとはな………マッッ!!」
「ぐっ………!!」
直後、蜘蛛男の放った糸に絡めとられ、身動きを封じられてしまった。
糸を引きちぎろうとするが、何重にも巻き付いた糸は鋼のように硬く、ゴリラ由来の怪力を持ってしてもたやすく引きちぎることは不可能だ。
「っ……!クソッ……!」
戦場での迷いは死を意味する。
そんなことは俺だって分かってたはずだ。
だけど……ジェネシスコーポレーションの改造人間たちとの戦いを終えて5年、ずっと俺はこの虚しさと共に戦ってきた。
本当にこれで良かったのか?
他の選択肢はなかったのか?
組織の残党の改造人間や壊滅した組織の残したテクノロジーを使って新たに生み出された再生怪人たちを破壊する度にそんな問いから目を背けながら。
だけど……俺ももう疲れてしまったのだ。
こうしているうちにも蜘蛛男と戦闘員たちはジリジリと詰めよってくる。
俺にトドメを刺すつもりなのだろう。
だけどそれも悪くはないか。
最初に手にかけた改造人間と同じ姿をした改造人間に引導を渡される。
これも因果応報というやつだ。
出来ることなら、これでもう……。
「───オイオイ……。手が焼けるなァ」
だけど、そんな事が許されるはずもない。
風に乗ってやってくる誰かの声。
俺がその声を認識した刹那、“風”は“嵐”となり蜘蛛男や戦闘員たちを飲み込んだ。
「ぐおぉぉぉぉぉぉっ!?」
「「「フニーーーーッ!!」」」
嵐に飲み込まれ吹き飛ばされる改造人間たち。
俺自身も吹き飛ばされないように、足裏にタコの吸盤を顕現させ、その場に踏みとどまり耐えることしか出来ない。
「な、なんだ………!?」
鷹のように優れた視力を持つ複眼が、嵐の中心にいる者の姿を捉える。
緑の右半身と黒い左半身。
赤いマフラーと胸部に刻まれて2体のライダーの紋章。
そして極めつけは4本角にマスクに刻まれた鋭いクラッシャー。
まさにそれは胸部に刻まれた紋章の持ち主……仮面ライダー1号と仮面ライダーダブルを融合させたような仮面ライダーだった。
「……アンタ、一体何者なんだ……?」
2体の仮面ライダーを融合させるというコンセプトは勝利の変身する仮面ライダーヴァルツと酷似している。
実際にアイツが2体の仮面ライダーの力を融合させて変身していたのを見ているからな。
だけど……アイツは1号やダブルのような“伝説となった”仮面ライダーの力は持ってなかったはずだ。
そんな疑問を投げ掛けるよりも早く、奴は俺の体を拘束する蜘蛛の糸を容易く切り裂くと俺たちの間に割って入った。
「椿の奴から聞いてなかったのか?
まぁいいか。
俺は仮面ライダークロス。……ただの風来坊さ」
嵐が治まり、風が凪ぐ。
嵐の中から現れた戦士の名は『クロス』。
この『終わりなき戦い』に新たな風を吹き込む者が現れた。
口振りからどうやら勝利たちの仲間……らしい。
俺は蜘蛛の糸から解放されても尚、呆気にとられることしかできなかった。
ライダーパンチをくらい吹っ飛ばされていった戦闘員たち。
地面に叩きつけられ機能停止すると、戦闘員たちのベルトを中心に沸騰したシチューのように戦闘員たちの肉体から気泡が発生する。
気泡の出る勢いが強まっていくにつれ倒された戦闘員たちの体は内部から崩れていきやがて泡となって跡形もなく消滅した。
戦闘員たちはその多くがクローン技術や改造手術の技術を応用して作られた人造人間の類だ。
言語機能すらオミットされただただ与えられた任務をこなすだけの存在。
しかし希にやむを得ない事情から志願するも、怪人になる素質がなく戦闘員に改造されるしかなかった者たちだっている。
そんな改造人間の戦闘員と人造人間の戦闘員は、言語機能が残っているか否かで双方の区別は可能である。
だけど、戦闘員たちが口を利くことはほとんどないに等しい。
結局のところ人造人間を殺したのか、元人間を殺したのかなんてわかりはしないのだ。
「……」
「どうしたアニマルゥゥ!以前の元気はどうしたァァ!?」
この街に来てから勝利と再会してからも、俺は他の仲間と別行動をとりながらこの街に隠れているジェネシスコーポレーション残党と戦っていた。
それは世界を護るためにコイツらから居場所を奪った俺の義務だから。
だけどあの戦いが終わってからずっと見ないフリを、気づかないフリをしていた。
気づいてしまったら、考えてしまったら……その義務すら果たせなくなるから。
でも、最近つくづく思うことがある。
──こんなことやってたって虚しいだけじゃないかって。
俺もコイツらも、本当なら戦いなんて望んでないはずなのに。
どうしても戦う気にはなれず、俺は構えを解いてしまった。
「何があったかは知らないが、まさかここまで腑抜けになっていようとはな………マッッ!!」
「ぐっ………!!」
直後、蜘蛛男の放った糸に絡めとられ、身動きを封じられてしまった。
糸を引きちぎろうとするが、何重にも巻き付いた糸は鋼のように硬く、ゴリラ由来の怪力を持ってしてもたやすく引きちぎることは不可能だ。
「っ……!クソッ……!」
戦場での迷いは死を意味する。
そんなことは俺だって分かってたはずだ。
だけど……ジェネシスコーポレーションの改造人間たちとの戦いを終えて5年、ずっと俺はこの虚しさと共に戦ってきた。
本当にこれで良かったのか?
他の選択肢はなかったのか?
組織の残党の改造人間や壊滅した組織の残したテクノロジーを使って新たに生み出された再生怪人たちを破壊する度にそんな問いから目を背けながら。
だけど……俺ももう疲れてしまったのだ。
こうしているうちにも蜘蛛男と戦闘員たちはジリジリと詰めよってくる。
俺にトドメを刺すつもりなのだろう。
だけどそれも悪くはないか。
最初に手にかけた改造人間と同じ姿をした改造人間に引導を渡される。
これも因果応報というやつだ。
出来ることなら、これでもう……。
「───オイオイ……。手が焼けるなァ」
だけど、そんな事が許されるはずもない。
風に乗ってやってくる誰かの声。
俺がその声を認識した刹那、“風”は“嵐”となり蜘蛛男や戦闘員たちを飲み込んだ。
「ぐおぉぉぉぉぉぉっ!?」
「「「フニーーーーッ!!」」」
嵐に飲み込まれ吹き飛ばされる改造人間たち。
俺自身も吹き飛ばされないように、足裏にタコの吸盤を顕現させ、その場に踏みとどまり耐えることしか出来ない。
「な、なんだ………!?」
鷹のように優れた視力を持つ複眼が、嵐の中心にいる者の姿を捉える。
緑の右半身と黒い左半身。
赤いマフラーと胸部に刻まれて2体のライダーの紋章。
そして極めつけは4本角にマスクに刻まれた鋭いクラッシャー。
まさにそれは胸部に刻まれた紋章の持ち主……仮面ライダー1号と仮面ライダーダブルを融合させたような仮面ライダーだった。
「……アンタ、一体何者なんだ……?」
2体の仮面ライダーを融合させるというコンセプトは勝利の変身する仮面ライダーヴァルツと酷似している。
実際にアイツが2体の仮面ライダーの力を融合させて変身していたのを見ているからな。
だけど……アイツは1号やダブルのような“伝説となった”仮面ライダーの力は持ってなかったはずだ。
そんな疑問を投げ掛けるよりも早く、奴は俺の体を拘束する蜘蛛の糸を容易く切り裂くと俺たちの間に割って入った。
「椿の奴から聞いてなかったのか?
まぁいいか。
俺は仮面ライダークロス。……ただの風来坊さ」
嵐が治まり、風が凪ぐ。
嵐の中から現れた戦士の名は『クロス』。
この『終わりなき戦い』に新たな風を吹き込む者が現れた。
口振りからどうやら勝利たちの仲間……らしい。
俺は蜘蛛の糸から解放されても尚、呆気にとられることしかできなかった。