Episode.1 VALZ

──

「………ジニア様」

「お疲れさん。よくやってくれたよ来栖……」


ひとつの任務を終え、私……来栖黎人は我が主の元へ。

合流地点である廃棄された研究所の屋上に我が主がいたのだが、我が主はその身に先ほど戦ったあの椿 勝利と全く同じ鎧を身を纏っている。

違うのは左腕のカスタムホルダーがないこと。
それからバックルが水色の大型のベルトに変更されている点だ。


この大型のベルトは『エクスドライバー』。

我々のもつエクスライザーのプロトタイプに当たるデバイスだ。



「……よかったのですか?あのような小僧にヴァルツの力を与えても」

「ああ、問題はない。これが俺たちの計画だからな……

まっ、その前に……」


先ほど戦ったあの小僧とほぼ同じ姿をした我が主。
その視線を向けた先では、あの小僧と白いライダーが対峙している。


「……この世界で生き残れる保障はないがな」

あの椿という小僧を試しているのか。

それとも何か特別な感情でも抱いているのか。


いや……どこか無気力で、どこか諦感気味な我が主が他人に興味を持つはずもないか。


少なくとも、私には主の崇高なお考えなどわかりはしない。


しかし………



「………ジニア様。次のご命令を」


──何を考えていようと、何があろうと私は主に従うのみ。

私の……否、我々の希望はとうの昔に失われた。


だからこそ、だ。


私は私に出来ることをしよう。


それがたとえ茨の道だとしても………。




(続く)
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