Episode.11 DESPAIR
《アナザーディケイド!バースト!》
先手こそ取られてしまったが、まぁいい。
伸びてきた触手を剣で弾きながらカプセルの力を解放し、奴の背後にオーロラカーテンを召還する。
今までのようにライダーの力を解放するためではない。
これは元々アナザーディケイドが所有していた力。
アナザーワールドなる失われた可能性の世界を作り出し、そこからダークライダーや怪人を召喚し使役する力だ。
オーロラカーテンから飛び出してきたナニカがメディックスタークに襲いかかる。
飛び出してきたのは、凝視していたら目が痛くなりそうな程に赤いカラーリングの施された蜘蛛のライダー。
メディックスタークの合成元であるブラッドスタークとも因縁浅からぬ“星喰いの王”……キルバス。
キルバスはオーロラカーテンから飛び出して早々、蜘蛛の糸をメディックスターク目掛けて放つ。
気配を察知して振り返ったがもう遅い。
触手は今、こちらに向かって使っているため触手では間に合わない。
あのカエル顔がいくら実力者であろうと蜘蛛の糸を避けられる筈などない。
──そのはずだった。
《メディックスターク!クロー!》
しかし、奴の手にはいつの間にか変身に使用したエクスライザーが握られている。
「嘘だろ……!?ぐっ!!」
エクスライザーを操作し、クローモードへと移行させるとエクスライザー側部から飛び出してきた刃で蜘蛛の糸を切り裂くと、触手を一閃。
僕とキルバスを吹き飛ばしたのだ。
「やるじゃないか……!」
思わぬ反撃に少なからず動揺するも、僕たちはすぐさま体制を立て直し、キルバスは武器を召喚した。
その武器はビルドも使っていた『カイゾクハッシャー』と『ドリルクラッシャー』。
元々キルバスという仮面ライダーは変身アイテムから使用する武器に至るまで現地調達したものを使用しているため、元々仮面ライダービルドが使っていた武器と全く同じものしか使用しなかった。
しかし使い回しの武器とはいえ、その性能はお墨付き。
使い回されるほどに非常に優秀な武器なのだ。
《Ready Go!》
「はっ!!」
キルバスの持つドリルクラッシャーの刃が高速回転するのを合図に、僕とキルバスは駆け出した。
触手の波状攻撃を掻い潜り、触手を切り落とし肉薄する。
無数の触手はリーチも長い上、鞭のように大振りに振るうことなく高速での打撃を得意としているが、鞭と同じく懐に潜り込むことでその威力は減退する上になまじ意思を持ってコントロール出来るため勢い余って自身を傷つける危険性すらある。
それをあのカエル顔も理解しているのか、近接武装としてエクスライザーのクローモードでカバーしているようだ。
だからこそ狙うのは………
「キルバス!!」
「……っ!」
キルバスは一足早く奴の懐に潜り込むと、奴の近接武器をカイゾクハッシャーをフック代わりとし絡めとると高速回転するドリルクラッシャーを奴の土手っ腹に押し付けた。
キルバスは無理やり可能性世界を構築し呼び出した影響は一言も言葉をかわさない傀儡だが、それもいいだろう。
どうせ変身解除してカプセルを停止させればその可能性世界も消え、キルバスも消滅するのだ。
だけど、そんな傀儡でもこれ程頼もしい仲間はそうはいない。
キルバスに奴に肉薄するとキルバスとは反対側から奴の体に剣を叩きつけた。
《Vortec Break!!》
《エクスライザーノヴァ……!》
「だぁぁぁぁぁぁっ!!」
「っ…………!」
僕たちの武器に宿る破壊の力。
オーバーロードしたエネルギーにものを言わせてこのまま溶断する。
キルバスのドリルクラッシャーのドリル刃が回転し奴の体を削り、火花が飛び散る。
あまり認めたくはないが、相手は間違いなく実力者。
恐らく今を逃せば、このようなチャンスは二度と来ない。
ここで決めるだけだ………!
「おぉぉぉぉぉぉ………!!」
「………やれやれ」
「っ!?」
これだけ過剰な攻撃を与えているのにも関わらず、奴は余裕綽々といった様子。
それもそのはず、僕たちの攻撃は全く聞いていないのだ。
しかもよくみてみれば、奴の体ではなく高速回転しているドリルクラッシャーの刃が摩擦熱で磨耗しているのだ。
まずい………このままじゃ、やられる!
「……くっ!!」
一度体制を建て直すべく、僕たちは慌てて飛び退いた。
しかし、奴の武器を絡めとっていたキルバスの方は間に合わない。
フリーになった左腕に頭部を鷲掴みにされると地面に叩きつけられた。
そして背中から伸びた無数の触手に滅多刺しにされる。
「……っ!!」
──見るに耐えない光景だ。
その様は無数の蛇が一匹の獲物に群がるような、非常に浅ましいもの。
これで残ったのがキルバスの“食べ残し”だけだと誰もが思うはず。
しかし…………。
「オペは成功だ。
……さて、君のオペはツーハンドでは足りない。
……フォーハンドで行かせて貰おうか」
捕食された『はず』のキルバスが立ち上がる。
いや、捕食されたのではない。
──キルバスは『改造』されたのだ。
「最悪だ………!」
元々のキルバスの上半身にはそれまではなかった檻を思わせる兜付きのケープ。
そして右腕には巨大な鉤爪。
それは、かつてメディック・ロイミュードが強化改造し使役した死神ロイミュードを思わせるものであった。
メディックの力を継承している以上似たような能力を宿しているとはと思っていたが、まさか傀儡とは言え仮面ライダーをあの一瞬で改造し自身の傀儡に変えるとは。
奴は……恐らく父さんに並ぶほどの戦士なのかもしれない。
僕は、怪物の仮面の下で僕の額に汗が伝うのを感じていた。
先手こそ取られてしまったが、まぁいい。
伸びてきた触手を剣で弾きながらカプセルの力を解放し、奴の背後にオーロラカーテンを召還する。
今までのようにライダーの力を解放するためではない。
これは元々アナザーディケイドが所有していた力。
アナザーワールドなる失われた可能性の世界を作り出し、そこからダークライダーや怪人を召喚し使役する力だ。
オーロラカーテンから飛び出してきたナニカがメディックスタークに襲いかかる。
飛び出してきたのは、凝視していたら目が痛くなりそうな程に赤いカラーリングの施された蜘蛛のライダー。
メディックスタークの合成元であるブラッドスタークとも因縁浅からぬ“星喰いの王”……キルバス。
キルバスはオーロラカーテンから飛び出して早々、蜘蛛の糸をメディックスターク目掛けて放つ。
気配を察知して振り返ったがもう遅い。
触手は今、こちらに向かって使っているため触手では間に合わない。
あのカエル顔がいくら実力者であろうと蜘蛛の糸を避けられる筈などない。
──そのはずだった。
《メディックスターク!クロー!》
しかし、奴の手にはいつの間にか変身に使用したエクスライザーが握られている。
「嘘だろ……!?ぐっ!!」
エクスライザーを操作し、クローモードへと移行させるとエクスライザー側部から飛び出してきた刃で蜘蛛の糸を切り裂くと、触手を一閃。
僕とキルバスを吹き飛ばしたのだ。
「やるじゃないか……!」
思わぬ反撃に少なからず動揺するも、僕たちはすぐさま体制を立て直し、キルバスは武器を召喚した。
その武器はビルドも使っていた『カイゾクハッシャー』と『ドリルクラッシャー』。
元々キルバスという仮面ライダーは変身アイテムから使用する武器に至るまで現地調達したものを使用しているため、元々仮面ライダービルドが使っていた武器と全く同じものしか使用しなかった。
しかし使い回しの武器とはいえ、その性能はお墨付き。
使い回されるほどに非常に優秀な武器なのだ。
《Ready Go!》
「はっ!!」
キルバスの持つドリルクラッシャーの刃が高速回転するのを合図に、僕とキルバスは駆け出した。
触手の波状攻撃を掻い潜り、触手を切り落とし肉薄する。
無数の触手はリーチも長い上、鞭のように大振りに振るうことなく高速での打撃を得意としているが、鞭と同じく懐に潜り込むことでその威力は減退する上になまじ意思を持ってコントロール出来るため勢い余って自身を傷つける危険性すらある。
それをあのカエル顔も理解しているのか、近接武装としてエクスライザーのクローモードでカバーしているようだ。
だからこそ狙うのは………
「キルバス!!」
「……っ!」
キルバスは一足早く奴の懐に潜り込むと、奴の近接武器をカイゾクハッシャーをフック代わりとし絡めとると高速回転するドリルクラッシャーを奴の土手っ腹に押し付けた。
キルバスは無理やり可能性世界を構築し呼び出した影響は一言も言葉をかわさない傀儡だが、それもいいだろう。
どうせ変身解除してカプセルを停止させればその可能性世界も消え、キルバスも消滅するのだ。
だけど、そんな傀儡でもこれ程頼もしい仲間はそうはいない。
キルバスに奴に肉薄するとキルバスとは反対側から奴の体に剣を叩きつけた。
《Vortec Break!!》
《エクスライザーノヴァ……!》
「だぁぁぁぁぁぁっ!!」
「っ…………!」
僕たちの武器に宿る破壊の力。
オーバーロードしたエネルギーにものを言わせてこのまま溶断する。
キルバスのドリルクラッシャーのドリル刃が回転し奴の体を削り、火花が飛び散る。
あまり認めたくはないが、相手は間違いなく実力者。
恐らく今を逃せば、このようなチャンスは二度と来ない。
ここで決めるだけだ………!
「おぉぉぉぉぉぉ………!!」
「………やれやれ」
「っ!?」
これだけ過剰な攻撃を与えているのにも関わらず、奴は余裕綽々といった様子。
それもそのはず、僕たちの攻撃は全く聞いていないのだ。
しかもよくみてみれば、奴の体ではなく高速回転しているドリルクラッシャーの刃が摩擦熱で磨耗しているのだ。
まずい………このままじゃ、やられる!
「……くっ!!」
一度体制を建て直すべく、僕たちは慌てて飛び退いた。
しかし、奴の武器を絡めとっていたキルバスの方は間に合わない。
フリーになった左腕に頭部を鷲掴みにされると地面に叩きつけられた。
そして背中から伸びた無数の触手に滅多刺しにされる。
「……っ!!」
──見るに耐えない光景だ。
その様は無数の蛇が一匹の獲物に群がるような、非常に浅ましいもの。
これで残ったのがキルバスの“食べ残し”だけだと誰もが思うはず。
しかし…………。
「オペは成功だ。
……さて、君のオペはツーハンドでは足りない。
……フォーハンドで行かせて貰おうか」
捕食された『はず』のキルバスが立ち上がる。
いや、捕食されたのではない。
──キルバスは『改造』されたのだ。
「最悪だ………!」
元々のキルバスの上半身にはそれまではなかった檻を思わせる兜付きのケープ。
そして右腕には巨大な鉤爪。
それは、かつてメディック・ロイミュードが強化改造し使役した死神ロイミュードを思わせるものであった。
メディックの力を継承している以上似たような能力を宿しているとはと思っていたが、まさか傀儡とは言え仮面ライダーをあの一瞬で改造し自身の傀儡に変えるとは。
奴は……恐らく父さんに並ぶほどの戦士なのかもしれない。
僕は、怪物の仮面の下で僕の額に汗が伝うのを感じていた。