Episode.11 DESPAIR
オーロラカーテンを潜り抜け、僕たちが飛ばされた先は姫矢市郊外の採石場だった。
見渡す限り障害物のないこの場所には、僕とカエル顔の医者のみ。
カエル顔の医者の手には怪人カプセルとエクスライザーが握られている。
「やっぱり持ってるよね……!」
カエル顔が変身を完了するのを待つ気などない。
一気に駆け出し、奴に肉薄すると剣を振るった。
しかし、こちらの剣は触手に阻まれてしまう。
《ブラッドスターク!》
既に起動済みのメディック・ロイミュードのカプセルを左腕のカプセルホルダーに装填すると、奴は新たに怪人カプセルを取り出し起動する。
カプセルから解き放たれた異形の力は星喰いの仮の姿……『ブラッドスターク』のもの。
『トランスチームシステム』というライダーシステムとは似て非なる原理により作られたデバイスで変身した異形の戦士だ。
奴はブラッドスタークカプセルをカプセルホルダーに装填するとエクスライザーを起動させた。
「ぐっ!!」
変身シークエンスの間にも奴はメディック・ロイミュードの触手を操り、こちらに攻撃を仕掛けてくる。
変身中に攻撃されるのを防ぐためとは言え、その攻撃には全く隙がない。
攻撃の間を掻い潜る暇などなく、僕も防戦一方となってしまう。
そして奴は、こちらが攻撃を防いでいるのをいいことに先に装填していたメディックロイミュードカプセルとブラッドスタークカプセルをエクスライザーで読み込ませた。
「鎧装……」
《デュアルフュージョン!メディックスターク!》
次の瞬間、カエル顔の医者の全身を黒い靄が覆った。
カプセルから解放された異形の者たちの力が奴の体に刻み込まれ、その体を作り替えていった。
やがて花火のような激しい閃光が迸り黒い靄を掻き消し、“ソイツ”は現れた。
「………っ……!」
──目の前にいたのは、見ただけで『死』を連想させるほどの薄気味悪い存在であった。
足が隠れるほどの長さの血の色のようなワインレッドのローブに、フードから覗くペスト医師を思わせる漆黒の仮面。
マスクの奥から覗く緑の複眼。
胸部には工場の配管パイプを模したブラッドベゼル。
背中やコートの袖口から伸びた蛇を模した触手には無数の手術道具が繋がれている。
メディック・ロイミュードやブラッドスタークを掛け合わせているのは名前だけ。
その姿はその両者とは似ても似つかない姿をしている。
……こんなエクスキメラはみたことがなかった。
父さんや他の幹部たちの使うカプセルは僕も全て把握している。
でも、父さんが来栖にデータ収集をさせている怪人カプセルやそれによって変身できるエクスキメラを全て含めてもあんなエクスキメラのデータはなかった。
おそらく意図的に消されたのだ。
父さん自身の手によって。
「……やれやれ。もう二度とこの姿になるとは思ってはなかったんだがね」
「……っ!」
「さぁ、緊急オペを始めようか……」
未知のエクスキメラ……メディックスタークの体がフワリと浮かび上がる。
まるで奴の体にだけ重力という概念が適用されていないかのような光景。
それと共に背中の触手が一斉にこちらに向かって伸びてくる。
こちらも負けじとその剣を握りしめ駆け出した。
──あの異形の存在が連れてきたのは“隠された真実”か、それとも“逃れられぬ死”か。
それは僕にもわからない。
だけど、引き返すことなどしない。
僕にも僕の『信念』がある。
そのためなら命すらも惜しくはない。
見渡す限り障害物のないこの場所には、僕とカエル顔の医者のみ。
カエル顔の医者の手には怪人カプセルとエクスライザーが握られている。
「やっぱり持ってるよね……!」
カエル顔が変身を完了するのを待つ気などない。
一気に駆け出し、奴に肉薄すると剣を振るった。
しかし、こちらの剣は触手に阻まれてしまう。
《ブラッドスターク!》
既に起動済みのメディック・ロイミュードのカプセルを左腕のカプセルホルダーに装填すると、奴は新たに怪人カプセルを取り出し起動する。
カプセルから解き放たれた異形の力は星喰いの仮の姿……『ブラッドスターク』のもの。
『トランスチームシステム』というライダーシステムとは似て非なる原理により作られたデバイスで変身した異形の戦士だ。
奴はブラッドスタークカプセルをカプセルホルダーに装填するとエクスライザーを起動させた。
「ぐっ!!」
変身シークエンスの間にも奴はメディック・ロイミュードの触手を操り、こちらに攻撃を仕掛けてくる。
変身中に攻撃されるのを防ぐためとは言え、その攻撃には全く隙がない。
攻撃の間を掻い潜る暇などなく、僕も防戦一方となってしまう。
そして奴は、こちらが攻撃を防いでいるのをいいことに先に装填していたメディックロイミュードカプセルとブラッドスタークカプセルをエクスライザーで読み込ませた。
「鎧装……」
《デュアルフュージョン!メディックスターク!》
次の瞬間、カエル顔の医者の全身を黒い靄が覆った。
カプセルから解放された異形の者たちの力が奴の体に刻み込まれ、その体を作り替えていった。
やがて花火のような激しい閃光が迸り黒い靄を掻き消し、“ソイツ”は現れた。
「………っ……!」
──目の前にいたのは、見ただけで『死』を連想させるほどの薄気味悪い存在であった。
足が隠れるほどの長さの血の色のようなワインレッドのローブに、フードから覗くペスト医師を思わせる漆黒の仮面。
マスクの奥から覗く緑の複眼。
胸部には工場の配管パイプを模したブラッドベゼル。
背中やコートの袖口から伸びた蛇を模した触手には無数の手術道具が繋がれている。
メディック・ロイミュードやブラッドスタークを掛け合わせているのは名前だけ。
その姿はその両者とは似ても似つかない姿をしている。
……こんなエクスキメラはみたことがなかった。
父さんや他の幹部たちの使うカプセルは僕も全て把握している。
でも、父さんが来栖にデータ収集をさせている怪人カプセルやそれによって変身できるエクスキメラを全て含めてもあんなエクスキメラのデータはなかった。
おそらく意図的に消されたのだ。
父さん自身の手によって。
「……やれやれ。もう二度とこの姿になるとは思ってはなかったんだがね」
「……っ!」
「さぁ、緊急オペを始めようか……」
未知のエクスキメラ……メディックスタークの体がフワリと浮かび上がる。
まるで奴の体にだけ重力という概念が適用されていないかのような光景。
それと共に背中の触手が一斉にこちらに向かって伸びてくる。
こちらも負けじとその剣を握りしめ駆け出した。
──あの異形の存在が連れてきたのは“隠された真実”か、それとも“逃れられぬ死”か。
それは僕にもわからない。
だけど、引き返すことなどしない。
僕にも僕の『信念』がある。
そのためなら命すらも惜しくはない。