Episode.11 DESPAIR
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さて……あの頭の悪い女は父さんとフロースに任せるとして。
僕は僕で少し気になることがあるから、訓練施設を抜け出した。
そして姫矢コーポレーション内のサーバールームへと向かった。
ここなら何か手がかりがあるのではないかと踏んだのだ。
「ホント……いつきてもスゴいよなここは」
サーバールームに侵入すると、必要以上に空調の聞いた広いスペースの部屋に、膨大な量の機械が所狭しと並んでいた。
この機械こそが全世界の姫矢グループ系列の企業のデータを管理するサーバールームだ。
姫矢市は世界の中でもとりわけ技術進歩が進んでおり、サーバーユニットひとつとっても市場に出回っている一般のそれよりも遥かに高性能かつ多機能であり、当然サイバー攻撃への対策も完璧だ。
当然一筋縄ではいかないのも分かりきっている。
最悪、父さんの怒りを買うだろう。
「……でも、やるしかないよね」
だけど、僕にとってもかなり大きなリスクを背負っても知りたいことがある。
それは先日戦った椿 勝利のことだ。
頭を潰して殺した筈なのに、頭は潰れておらず、今ではもうピンピンしている。
仮にアイツが似非人(エセビト)……すなわち人外だとするならば、そんな人外を産み出せる技術は姫矢グループにしかない。
つまり、姫矢グループの兵器リストにアクセス出来れば何かが分かる筈だ。
生憎、僕が椿勝利について分かることは『6年前の血の生誕祭で家族を失ったこと』と『廃墟となった願葉区の駅でホームレスとして生活していたこと』、それから『妙なライダーシステムを持ち出してアンゲロス狩りをしていたこと』だ。
それ以外の事は父さんに聞いてもはぐらかされるし、僕自身6年前の当時は日本を離れていたから分からないのだ。
おそらく、父さんがこの件について話さないのは何らかの“弱み”があるから……なのだろう。
もしそうならば……暴かない手はない。
《アークゼロ!》
ライダーカプセルを単体で起動させれば、変身せずともある程度ライダーの力を借りることができる。
僕はライダーカプセルを取り出すと、スイッチを押し込み起動した。
スイッチの起動と共に僕の意識は人工知能とリンクする。
このカプセルに宿るライダーは『アークゼロ』。
アークと呼ばれる悪意をラーニングした最高峰の人工知能を宿したライダーであり、アークそのものと言える存在だ。
僕はその人工知能アークとリンクすることで、アークと同じ速度でネットワーク内の様々な情報を処理することが出来るのだ。
僕はサーバーユニットに触れ、アークとリンクした自らの意識をサーバーユニット内に転送した。
既存のPCを介しての機密情報の閲覧は流石に無理がある。
自らの体が無防備になるリスクもあるが、この状況下における最適解はこれしかない。
こうして僕は……いや、僕の意識はサーバーユニット内の仮想空間に“降り立った”のだ。
さて……あの頭の悪い女は父さんとフロースに任せるとして。
僕は僕で少し気になることがあるから、訓練施設を抜け出した。
そして姫矢コーポレーション内のサーバールームへと向かった。
ここなら何か手がかりがあるのではないかと踏んだのだ。
「ホント……いつきてもスゴいよなここは」
サーバールームに侵入すると、必要以上に空調の聞いた広いスペースの部屋に、膨大な量の機械が所狭しと並んでいた。
この機械こそが全世界の姫矢グループ系列の企業のデータを管理するサーバールームだ。
姫矢市は世界の中でもとりわけ技術進歩が進んでおり、サーバーユニットひとつとっても市場に出回っている一般のそれよりも遥かに高性能かつ多機能であり、当然サイバー攻撃への対策も完璧だ。
当然一筋縄ではいかないのも分かりきっている。
最悪、父さんの怒りを買うだろう。
「……でも、やるしかないよね」
だけど、僕にとってもかなり大きなリスクを背負っても知りたいことがある。
それは先日戦った椿 勝利のことだ。
頭を潰して殺した筈なのに、頭は潰れておらず、今ではもうピンピンしている。
仮にアイツが似非人(エセビト)……すなわち人外だとするならば、そんな人外を産み出せる技術は姫矢グループにしかない。
つまり、姫矢グループの兵器リストにアクセス出来れば何かが分かる筈だ。
生憎、僕が椿勝利について分かることは『6年前の血の生誕祭で家族を失ったこと』と『廃墟となった願葉区の駅でホームレスとして生活していたこと』、それから『妙なライダーシステムを持ち出してアンゲロス狩りをしていたこと』だ。
それ以外の事は父さんに聞いてもはぐらかされるし、僕自身6年前の当時は日本を離れていたから分からないのだ。
おそらく、父さんがこの件について話さないのは何らかの“弱み”があるから……なのだろう。
もしそうならば……暴かない手はない。
《アークゼロ!》
ライダーカプセルを単体で起動させれば、変身せずともある程度ライダーの力を借りることができる。
僕はライダーカプセルを取り出すと、スイッチを押し込み起動した。
スイッチの起動と共に僕の意識は人工知能とリンクする。
このカプセルに宿るライダーは『アークゼロ』。
アークと呼ばれる悪意をラーニングした最高峰の人工知能を宿したライダーであり、アークそのものと言える存在だ。
僕はその人工知能アークとリンクすることで、アークと同じ速度でネットワーク内の様々な情報を処理することが出来るのだ。
僕はサーバーユニットに触れ、アークとリンクした自らの意識をサーバーユニット内に転送した。
既存のPCを介しての機密情報の閲覧は流石に無理がある。
自らの体が無防備になるリスクもあるが、この状況下における最適解はこれしかない。
こうして僕は……いや、僕の意識はサーバーユニット内の仮想空間に“降り立った”のだ。