Episode.11 DESPAIR
──JILL SIDE──
「ふーん……こんなもんか」
僕、ジル・ロックディールが父さんと合流すると、地下の特訓施設でネスとフロースの戦いが始まっていた。
なんでも昨日から何度もやりあってるらしい。
ネスが変身しているディスペアーと、戦うのはフロースが変身する『カラスアマゾン』。
漆黒のボディと全身を包む羽のような装飾。
しかし似つかわしないのがその機械的なベルトだ。
ベルトの中央には同じくカラスアマゾンの姿が映し出された宝石が埋め込まれている。
それもそのはず。
このベルトは元々カラスアマゾンのものではない。
これは『ジュエルドライバー』と呼ばれるベルト。
バックルにジュエルをセットし、そこに宿っているライダーや怪人の力を解放し変身するというものだ。
そう、そしてフロースがそのジュエルドライバーとジュエルを使ってカラスアマゾンに変身しているというワケ。
父さんはフロースの実力はネスと互角と評価していたけど、それはとんだ間違いである。
「グッ……ちょこまかと……!!」
《ORANGE!MAXIMUM-DRIVE!》
「はぁぁっ!!」
ディスペアーがオレンジのガイアメモリをマキシマムスロットに装填し、ディスペアーサーベルを振るった。
サーベルの斬撃に乗せて輪切りにしたオレンジを模したエネルギー刃が数個放たれる。
エネルギー刃はまっすぐにカラスアマゾンに襲いかかった。
「……」
しかし、カラスアマゾンはディスペアーに背中を向けて駆け出すと、壁を蹴り宙返りした。
さながらパルクールのようにオレンジの斬撃を回避すると、ディスペアーの背後で着地。
ディスペアーは振り返り様に横薙ぎに斬りかかるも、それをしゃがんで回避し、足はらいでディスペアーを転倒させた。
「ぐっ……!」
「……」
ディスペアーに立ち上がる隙すら与えず、すぐさまかかと落としを叩き込んだ。
ディスペアーの胴に叩きつけられると黒い飛沫が飛び散り、ディスペアーが苦悶の声をあげる。
「父さ~ん……ネスちゃん、全然ダメじゃん」
フロースはオリジナルのカラスアマゾンと同じように三次元的な動きで相手を翻弄しながら隙を見て重い一撃を叩き込むヒット&アウェイ戦法を得意とする。
しかし、ネスの方はオリジナルのノゾミに影響されているのか、高い魔力にものを言わせて強力な攻撃で相手を圧倒するパワーファイトを得意としている。
……流石にネスのこの無様な戦いかたをヒット&アウェイとは言わせないぞ。
ウェズぺリアでの戦いならそれで良かったのかもしれないが、この世界では通用しない。
動きも直線的で読みやすく、その戦いかたも全て手に入れた能力やガイアメモリの性能頼り。
よくもまぁ、この程度の力量でカオスファクターの幹部になれたものである。
「テメェは黙ってみてろ」
「はーい……失礼しました……」
当然それは父さんも分かっている。
しかし、何故父さんがそこまでネスに拘るのか……それは僕にはわからない。
父さんはどこまでも合理的な男だ。
自身の目的の為なら自分の子供すら平然と実験材料にするし、自分の親友すら容易く切り捨てる。
この男には……ジニア・ロックディールには人の心などありはしない。
……おそらく用済みになれば僕だって切り捨てるだろう。
そんな病的に神経質で合理的な父さんのことだ、何らかの目的があってネスを鍛え上げてる筈だが……全く予想がつかない。
「ふーん……こんなもんか」
僕、ジル・ロックディールが父さんと合流すると、地下の特訓施設でネスとフロースの戦いが始まっていた。
なんでも昨日から何度もやりあってるらしい。
ネスが変身しているディスペアーと、戦うのはフロースが変身する『カラスアマゾン』。
漆黒のボディと全身を包む羽のような装飾。
しかし似つかわしないのがその機械的なベルトだ。
ベルトの中央には同じくカラスアマゾンの姿が映し出された宝石が埋め込まれている。
それもそのはず。
このベルトは元々カラスアマゾンのものではない。
これは『ジュエルドライバー』と呼ばれるベルト。
バックルにジュエルをセットし、そこに宿っているライダーや怪人の力を解放し変身するというものだ。
そう、そしてフロースがそのジュエルドライバーとジュエルを使ってカラスアマゾンに変身しているというワケ。
父さんはフロースの実力はネスと互角と評価していたけど、それはとんだ間違いである。
「グッ……ちょこまかと……!!」
《ORANGE!MAXIMUM-DRIVE!》
「はぁぁっ!!」
ディスペアーがオレンジのガイアメモリをマキシマムスロットに装填し、ディスペアーサーベルを振るった。
サーベルの斬撃に乗せて輪切りにしたオレンジを模したエネルギー刃が数個放たれる。
エネルギー刃はまっすぐにカラスアマゾンに襲いかかった。
「……」
しかし、カラスアマゾンはディスペアーに背中を向けて駆け出すと、壁を蹴り宙返りした。
さながらパルクールのようにオレンジの斬撃を回避すると、ディスペアーの背後で着地。
ディスペアーは振り返り様に横薙ぎに斬りかかるも、それをしゃがんで回避し、足はらいでディスペアーを転倒させた。
「ぐっ……!」
「……」
ディスペアーに立ち上がる隙すら与えず、すぐさまかかと落としを叩き込んだ。
ディスペアーの胴に叩きつけられると黒い飛沫が飛び散り、ディスペアーが苦悶の声をあげる。
「父さ~ん……ネスちゃん、全然ダメじゃん」
フロースはオリジナルのカラスアマゾンと同じように三次元的な動きで相手を翻弄しながら隙を見て重い一撃を叩き込むヒット&アウェイ戦法を得意とする。
しかし、ネスの方はオリジナルのノゾミに影響されているのか、高い魔力にものを言わせて強力な攻撃で相手を圧倒するパワーファイトを得意としている。
……流石にネスのこの無様な戦いかたをヒット&アウェイとは言わせないぞ。
ウェズぺリアでの戦いならそれで良かったのかもしれないが、この世界では通用しない。
動きも直線的で読みやすく、その戦いかたも全て手に入れた能力やガイアメモリの性能頼り。
よくもまぁ、この程度の力量でカオスファクターの幹部になれたものである。
「テメェは黙ってみてろ」
「はーい……失礼しました……」
当然それは父さんも分かっている。
しかし、何故父さんがそこまでネスに拘るのか……それは僕にはわからない。
父さんはどこまでも合理的な男だ。
自身の目的の為なら自分の子供すら平然と実験材料にするし、自分の親友すら容易く切り捨てる。
この男には……ジニア・ロックディールには人の心などありはしない。
……おそらく用済みになれば僕だって切り捨てるだろう。
そんな病的に神経質で合理的な父さんのことだ、何らかの目的があってネスを鍛え上げてる筈だが……全く予想がつかない。