Episode.11 DESPAIR
「ルーシー……オペレーティングシステムに不備はなかったか……?」
少し息を整えると俺はルーシーに質問を投げかける。
オペレーティングシステムやスーツのオートフィッティング機能に何らかの不備があって、それを俺が見落としていただけなのだと思ったからだ。
でなければ変身しただけであそこまでの激痛が走るわけなどないし……勝利はあの即死級の激痛をもろともせずに戦っていたことになってしまう。
しかし、ルーシーは泣き腫らしたような顔で二、三度顔を横に振り……
「……なにもなかったです。
オペレーティングシステムにも、オートフィッティング機能にも致命的なバグや故障は見当たりません。
スーツの自己修復機能も、スーツを制御するAIも全て正常に稼働しています……。
“今この状態こそが正常な状態”なのだと……私にはそう結論づけることしか出来ません」
そんなバカな。
『この状態が正常』って……あってたまるか。
量産型と言いながら、こんなもの扱える人間なんているはずかない。
こんなもの扱えるとしたら本当の意味での“怪物”か、痛みをもろともしない“死人”だけだ。
「それに……言いにくいことなんですが、勝利さんもおそらく普通の人間ではありません。
私、勝利さんの左手のホルダー越しにですが、ずっと勝利さんのバイタルをチェックしていました。
勝利さんのバイタルは明らかに一般男性と比べても異常でした。」
「ルーシー……お前、何を………」
「ヴァルツというあの黒い戦士に変身した瞬間、体温が異様に下がっていました。
それこそ一般の方では死亡していると認識してもおかしくないほどに。
そして……戦いに決着がつき、勝利さんが変身解除をしてしばらく経った頃です。
私も詳しいことは分かっていませんが、一度だけ勝利さんのバイタル数値が全て測定不能になりました。
私はずっと勝利さんのバイタルをチェックし続けていましたし、誤動作もあり得ません。
だから、ハッキリとわかるんです。
勝利さんは………あの瞬間、間違いなく『死亡していた』んです」
「そんなことっ……!あるかよ……!!ぐっ……!」
俺はよろけながらもコルプスレイザーを掴むと、再び作業台へ向かう。
体を引きちぎられそうになっただけあり、体のありとあらゆるところが悲鳴をあげている。
体を動かす度に筆舌に尽くしがたい痛みが襲いかかる。
勝利が普通の人間ではない?
一度死んでいた?
そんなことあってたまるか。
何かの間違いだ。そうだ、きっと何かの………。
「お父さん!」
「お前でも見つけられないなら俺がもう一度調べるだけだ……!
絶対に見つけてやる……このドライバーの欠陥を……!」
「無茶ですよ!そんな体で!」
ルーシーの制止も構わずに俺は再びドライバーを分解し、中の基盤から全てチェックしていく。
配線が間違えていないか、通電ミスで誤作動を起こしている箇所がないか。
痛みに集中力どころか意識すらも持っていかれそうになりながらだ。
「黙っててくれ……集中できない……!」
「ダメですって!休まなきゃ死んじゃいますよ……!」
「いいから黙っててくれ!」
あれから何度も何度も調べた。
分解したり、自前のコンピューターで内部をくまなく分析したり………。
その度にルーシーに止められ、しまいには泣かれてしまった。
そして気を失ってしまった俺は、ロボットの癖にパニックになったルーシーが、片っ端から仲間に連絡をとり、それで店内にいたアルに背負われるという形で俺は自室に帰ることとなった。
気を失うまで何度も何度も調べたはずなのに。
それでも……あのドライバーには何一つとして欠陥などなかった。
見つけることすら出来なかったのだ。
少し息を整えると俺はルーシーに質問を投げかける。
オペレーティングシステムやスーツのオートフィッティング機能に何らかの不備があって、それを俺が見落としていただけなのだと思ったからだ。
でなければ変身しただけであそこまでの激痛が走るわけなどないし……勝利はあの即死級の激痛をもろともせずに戦っていたことになってしまう。
しかし、ルーシーは泣き腫らしたような顔で二、三度顔を横に振り……
「……なにもなかったです。
オペレーティングシステムにも、オートフィッティング機能にも致命的なバグや故障は見当たりません。
スーツの自己修復機能も、スーツを制御するAIも全て正常に稼働しています……。
“今この状態こそが正常な状態”なのだと……私にはそう結論づけることしか出来ません」
そんなバカな。
『この状態が正常』って……あってたまるか。
量産型と言いながら、こんなもの扱える人間なんているはずかない。
こんなもの扱えるとしたら本当の意味での“怪物”か、痛みをもろともしない“死人”だけだ。
「それに……言いにくいことなんですが、勝利さんもおそらく普通の人間ではありません。
私、勝利さんの左手のホルダー越しにですが、ずっと勝利さんのバイタルをチェックしていました。
勝利さんのバイタルは明らかに一般男性と比べても異常でした。」
「ルーシー……お前、何を………」
「ヴァルツというあの黒い戦士に変身した瞬間、体温が異様に下がっていました。
それこそ一般の方では死亡していると認識してもおかしくないほどに。
そして……戦いに決着がつき、勝利さんが変身解除をしてしばらく経った頃です。
私も詳しいことは分かっていませんが、一度だけ勝利さんのバイタル数値が全て測定不能になりました。
私はずっと勝利さんのバイタルをチェックし続けていましたし、誤動作もあり得ません。
だから、ハッキリとわかるんです。
勝利さんは………あの瞬間、間違いなく『死亡していた』んです」
「そんなことっ……!あるかよ……!!ぐっ……!」
俺はよろけながらもコルプスレイザーを掴むと、再び作業台へ向かう。
体を引きちぎられそうになっただけあり、体のありとあらゆるところが悲鳴をあげている。
体を動かす度に筆舌に尽くしがたい痛みが襲いかかる。
勝利が普通の人間ではない?
一度死んでいた?
そんなことあってたまるか。
何かの間違いだ。そうだ、きっと何かの………。
「お父さん!」
「お前でも見つけられないなら俺がもう一度調べるだけだ……!
絶対に見つけてやる……このドライバーの欠陥を……!」
「無茶ですよ!そんな体で!」
ルーシーの制止も構わずに俺は再びドライバーを分解し、中の基盤から全てチェックしていく。
配線が間違えていないか、通電ミスで誤作動を起こしている箇所がないか。
痛みに集中力どころか意識すらも持っていかれそうになりながらだ。
「黙っててくれ……集中できない……!」
「ダメですって!休まなきゃ死んじゃいますよ……!」
「いいから黙っててくれ!」
あれから何度も何度も調べた。
分解したり、自前のコンピューターで内部をくまなく分析したり………。
その度にルーシーに止められ、しまいには泣かれてしまった。
そして気を失ってしまった俺は、ロボットの癖にパニックになったルーシーが、片っ端から仲間に連絡をとり、それで店内にいたアルに背負われるという形で俺は自室に帰ることとなった。
気を失うまで何度も何度も調べたはずなのに。
それでも……あのドライバーには何一つとして欠陥などなかった。
見つけることすら出来なかったのだ。