Episode.11 DESPAIR
数時間後………
「本当にやるんですか?」
「もちろんだ。じゃなきゃ直ったかわかんねぇだろ」
無事にカバーが冷え、洗浄と焼き付きの除去を終えるとドライバーを組み立て終えた。
そして組み立てたドライバーを装着すると、ドライバーを起動して実際に変身してみることにした。
ドライバーが正しく起動するかどうかチェックするのだ。
勝利曰く『コルプスレイザー』は量産型のライダーベルト。
誰にでも変身できるように設計されているはずだ。
そして俺はジュエルを介してたがあらゆる仮面ライダーに変身してきた。
自分で言うのもなんだが、まさにこういう起動テストにはうってつけの人選というわけだ。
だけど、ルーシーは乗り気ではない。
勝利の名前を出した途端、その表情が強張ったのが分かった。
二人の間に何かあったのだろうか。
《CORPSE LAYSER……!》
ベルトから再生される起動を知らせるガイダンスボイス。
『コープス』とも『コルプス』ともとれる絶妙な発音だ。
勝利でなくともこれは勘違いするだろうな。
「父さんこれ……『コープスレイザー』って………本当に大丈夫なんですか!?」
「『コープス』じゃねぇ……これは『コルプス』だ。
ルーシー、ベルトのオペレーティングシステムとの同期を頼む」
「……わかりました」
ドライバーから発せられるガイダンスボイスに不安そうな顔をするルーシー。
詳しくは知らないが、ルーシーもこの間、勝利と共に戦ってくれたようだが……このドライバー名には流石に思うことがあるのだろう。
ルーシーの言いたいことも分かるが、俺はルーシーにドライバー内のオペレーティングシステムとの同期を実行させると、ルーシーの両耳のヘッドギアが緑色に光る。
ネットワークを経由し、ドライバー内のあらゆるシステムを制御するオペレーティングシステムに同期することでドライバー本体やドライバーによって装着するスーツ、さらには俺のコンディションまで分かるというわけだ。
「オペレーティングシステム『CPS2016』とのリンク完了です。
いつでも大丈夫です……」
「分かった……ありがとな」
ドライバーのオペレーティングシステムとの同期が完了するとルーシーは不安そうな顔をして俺を見つめる。
不穏な名前だけで、やることはただのベルトの起動テストだ。
そんな大げさに不安がることもないのに……と俺は思わず苦笑した。
でもルーシーは今にも泣きそうな顔をしてるんだ。
終わったら特注のマシンオイルでもおごってやるか。
《Hey you!Are you Ready!?》
ドライバーを起動させ、バックル中央の赤い発光体に手をかざし変身モードに移行する。
他のライダーたちのようにワンオフのベルトの場合、装着者を識別する機能が搭載されており、装着者がドライバーに適合していない場合、ドライバー側からエラーが検出されドライバーが強制的に外れたり、最悪装着者を死に至らしめたりする。
故に修理後の起動テストはドライバーの使用者本人にやらせているのだが、今回は勝利が体調不良のため俺が代わりにやることにした。
やはりこのドライバーは勝利のいう通り量産型のベルト。
変身モードにまでは問題なく移行できた。
後は実際にドライバーを操作してドライバーから生成されるスーツを実際に装着して『変身』するだけだ。
「変身!」
《Oh,yeah!Corpse Show time!》
リボンのように伸びたバックルの装飾品を360度回転させる。
赤い発行体を残しバックルが回転しているようにも見えるソレは、かつて共闘した仮面ライダーである『ジオウ』のジクウドライバーを思わせる。
その後、ハイテンションなガイダンスボイスと共にドライバーからラインドライブが伸び俺の体を包み、ラインドライブを起点にスーツが形成されていく。
ここまでは問題なし。
後はスーツが無事に装着されれば、ドライバーの修理は完了………
──────のハズだった。
「ぐっ……!?
あぁぁぁぁぁぁ………!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「お父さん!?」
スーツが装着され、俺の体にフィットし、スーツがその重みを感じた瞬間だった。
ズシンという音と共に俺の全身をこれまで経験したことのない激痛が襲いかかる。
四肢と頭を引きちぎられるような、凄まじい痛みだ。
少しでも気を抜けば俺の体は比喩抜きにバラバラになってしまう。
全身の骨が軋み、肉が引きちぎれるような感覚に陥る。
──ダメだ、これじゃ立つことも不可能だ。
俺は背中から地面に倒れこんだ。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お父さん!お父さんっ!!」
オペレーティングシステムがバグってたのか?
それともスーツの方のオートフィットシステムがイカれてたのか?
……いや、そんなハズはない。
起動テストの前に点検はしていた。
どちらも問題なしだったのに……。
まさか勝利は……“こんな状態のライダーシステムをずっと使ってたってのか”!?
あり得ねぇ。
こんな状態のライダーシステムじゃ本当に装着者が『死体』になっちまう。
「ぐぅぅっ……!!」
原因はともあれ、いずれにしてもこのままでは俺は死ぬ………。
間抜けな話だが死を覚悟した瞬間、ルーシーが俺に駆け寄りドライバーを無理やり引き剥がす形で強制変身解除させてくれた。
耐え難い激痛から解放され、力なくその場で大の字になる。
「はぁ……はぁ………!」
「お父さんっ!!」
「……た、助かったよ……ありがとな」
──死ぬかと思った。
まさかただのドライバーの起動テストで事故死しかけるとは……さすがに笑えねぇよ。
ルーシーは俺を起こすと、泣きべそをかきながら俺に抱きついてきた。
これが相手が理緒ならぶっ倒れていただろう。
だけど……直前に死にかけたからか、元の世界で生き別れになった大切な人に似ているからなのか、ルーシーがロボットだからなのか。
それとも……心のどこかでルーシーが“俺の娘”だと理解しているからなのか。
俺は普段絶対にこんなことはやらないのだが、ルーシーの体を抱きしめるとルーシーの頭を撫でてやった。
「本当にやるんですか?」
「もちろんだ。じゃなきゃ直ったかわかんねぇだろ」
無事にカバーが冷え、洗浄と焼き付きの除去を終えるとドライバーを組み立て終えた。
そして組み立てたドライバーを装着すると、ドライバーを起動して実際に変身してみることにした。
ドライバーが正しく起動するかどうかチェックするのだ。
勝利曰く『コルプスレイザー』は量産型のライダーベルト。
誰にでも変身できるように設計されているはずだ。
そして俺はジュエルを介してたがあらゆる仮面ライダーに変身してきた。
自分で言うのもなんだが、まさにこういう起動テストにはうってつけの人選というわけだ。
だけど、ルーシーは乗り気ではない。
勝利の名前を出した途端、その表情が強張ったのが分かった。
二人の間に何かあったのだろうか。
《CORPSE LAYSER……!》
ベルトから再生される起動を知らせるガイダンスボイス。
『コープス』とも『コルプス』ともとれる絶妙な発音だ。
勝利でなくともこれは勘違いするだろうな。
「父さんこれ……『コープスレイザー』って………本当に大丈夫なんですか!?」
「『コープス』じゃねぇ……これは『コルプス』だ。
ルーシー、ベルトのオペレーティングシステムとの同期を頼む」
「……わかりました」
ドライバーから発せられるガイダンスボイスに不安そうな顔をするルーシー。
詳しくは知らないが、ルーシーもこの間、勝利と共に戦ってくれたようだが……このドライバー名には流石に思うことがあるのだろう。
ルーシーの言いたいことも分かるが、俺はルーシーにドライバー内のオペレーティングシステムとの同期を実行させると、ルーシーの両耳のヘッドギアが緑色に光る。
ネットワークを経由し、ドライバー内のあらゆるシステムを制御するオペレーティングシステムに同期することでドライバー本体やドライバーによって装着するスーツ、さらには俺のコンディションまで分かるというわけだ。
「オペレーティングシステム『CPS2016』とのリンク完了です。
いつでも大丈夫です……」
「分かった……ありがとな」
ドライバーのオペレーティングシステムとの同期が完了するとルーシーは不安そうな顔をして俺を見つめる。
不穏な名前だけで、やることはただのベルトの起動テストだ。
そんな大げさに不安がることもないのに……と俺は思わず苦笑した。
でもルーシーは今にも泣きそうな顔をしてるんだ。
終わったら特注のマシンオイルでもおごってやるか。
《Hey you!Are you Ready!?》
ドライバーを起動させ、バックル中央の赤い発光体に手をかざし変身モードに移行する。
他のライダーたちのようにワンオフのベルトの場合、装着者を識別する機能が搭載されており、装着者がドライバーに適合していない場合、ドライバー側からエラーが検出されドライバーが強制的に外れたり、最悪装着者を死に至らしめたりする。
故に修理後の起動テストはドライバーの使用者本人にやらせているのだが、今回は勝利が体調不良のため俺が代わりにやることにした。
やはりこのドライバーは勝利のいう通り量産型のベルト。
変身モードにまでは問題なく移行できた。
後は実際にドライバーを操作してドライバーから生成されるスーツを実際に装着して『変身』するだけだ。
「変身!」
《Oh,yeah!Corpse Show time!》
リボンのように伸びたバックルの装飾品を360度回転させる。
赤い発行体を残しバックルが回転しているようにも見えるソレは、かつて共闘した仮面ライダーである『ジオウ』のジクウドライバーを思わせる。
その後、ハイテンションなガイダンスボイスと共にドライバーからラインドライブが伸び俺の体を包み、ラインドライブを起点にスーツが形成されていく。
ここまでは問題なし。
後はスーツが無事に装着されれば、ドライバーの修理は完了………
──────のハズだった。
「ぐっ……!?
あぁぁぁぁぁぁ………!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「お父さん!?」
スーツが装着され、俺の体にフィットし、スーツがその重みを感じた瞬間だった。
ズシンという音と共に俺の全身をこれまで経験したことのない激痛が襲いかかる。
四肢と頭を引きちぎられるような、凄まじい痛みだ。
少しでも気を抜けば俺の体は比喩抜きにバラバラになってしまう。
全身の骨が軋み、肉が引きちぎれるような感覚に陥る。
──ダメだ、これじゃ立つことも不可能だ。
俺は背中から地面に倒れこんだ。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お父さん!お父さんっ!!」
オペレーティングシステムがバグってたのか?
それともスーツの方のオートフィットシステムがイカれてたのか?
……いや、そんなハズはない。
起動テストの前に点検はしていた。
どちらも問題なしだったのに……。
まさか勝利は……“こんな状態のライダーシステムをずっと使ってたってのか”!?
あり得ねぇ。
こんな状態のライダーシステムじゃ本当に装着者が『死体』になっちまう。
「ぐぅぅっ……!!」
原因はともあれ、いずれにしてもこのままでは俺は死ぬ………。
間抜けな話だが死を覚悟した瞬間、ルーシーが俺に駆け寄りドライバーを無理やり引き剥がす形で強制変身解除させてくれた。
耐え難い激痛から解放され、力なくその場で大の字になる。
「はぁ……はぁ………!」
「お父さんっ!!」
「……た、助かったよ……ありがとな」
──死ぬかと思った。
まさかただのドライバーの起動テストで事故死しかけるとは……さすがに笑えねぇよ。
ルーシーは俺を起こすと、泣きべそをかきながら俺に抱きついてきた。
これが相手が理緒ならぶっ倒れていただろう。
だけど……直前に死にかけたからか、元の世界で生き別れになった大切な人に似ているからなのか、ルーシーがロボットだからなのか。
それとも……心のどこかでルーシーが“俺の娘”だと理解しているからなのか。
俺は普段絶対にこんなことはやらないのだが、ルーシーの体を抱きしめるとルーシーの頭を撫でてやった。