Episode.11 DESPAIR
──
「たでーま……」
勇騎さんにベルトを渡したついでにノエルに会いに行くつもりだったが、結局ノエルに会わずに帰ってきてしまった。
コルプスレイザーは母さんが護身用にくれたベルト。
姫矢グループで量産されたベルトなのだと。
怪物にも負けない『強い“体”』をくれるベルトなのだと。
そういって渡されたベルトだった。
でも……母さんはこのベルトの名前も、このベルトで変身できるライダーの名前も“ちゃんと教えてくれなかった気がする”。
ベルトに名前が刻印されてたけど、ローマ字で書いてあるのと、刻印が潰されているせいで正しく読めなかったため、ベルトのガイダンスボイスを聞いて初めて『コルプスレイザー』って知ったくらいだ。
だけど、今このベルトの音声を聞くと『コルプス』じゃなくて『コープス』って言ってたようにも思えてしまう。
あぁ、やべぇ………本当に疲れてるんだな。
だってそうじゃねぇか。
死体が動いたらホラーだろ。
て言うかなんで死体が動くんだよ。
やっぱりもう寝よう。とりあえず寝よう。
………と思ったのだけど。
「……ごめん、お前らなにやってんの」
錆び付いたドアを開けると、俺の目に飛び込んできた光景は、亨多と孟がなにやらわちゃわちゃしている光景だ。
孟は普段通りさ。
だけど、亨多は……なんだこれ。
白い割烹着に白い頭巾。
しかも白いマスクで完全装備。
その手にははたき。
昔ながらの掃除器具のアレね。
おまけに窓という窓を全開にしている。
なんで今この時期に大掃除?
「おっ、ショーリ!
聞いてくれよ亨多のやつがGが出たって大騒ぎしてさ……」
「GはダメでしょGは!あの黒光りするアイツは!!
徹底的に掃除します!根絶やしにします!」
あー……そういえば最近掃除サボってたからな。
ゴキ……Gが出ちゃったのね。
レコンギスタしちゃったのねGが。
ま、そんなところじゃ寝れねぇわな。
「孟、掃除すっぞ。
流石にGが蔓延るところで寝られねーぞ?」
「えー……めんどくさっ……。
お前ら二人でやれよ」
「「お前もここに住んでるだろうが!」」
「へーい………」
俺は嫌がる孟とやる気満々な亨多と共に部屋……もとい廃墟同然の店内の掃除を始めた。
正直、普段なら孟と同じように面倒くさかっただろう。
それに疲れているのなら尚更だ。
だけど……少しでも気晴らしをしたかったのだ。
忘れてしまいたかったのだ。
もうどこにもいない人の心の内など分かるはずもないのだから。
その真意を知ることなど永遠にないのだから。
コルプスレイザーを託した母の真意を……。
そして……何故ジルと相対した時、文字通り頭を潰された感覚があったにも関わらず俺は生きているのか。
考えたって仕方ないことだって分かっているはずなのに……。
「たでーま……」
勇騎さんにベルトを渡したついでにノエルに会いに行くつもりだったが、結局ノエルに会わずに帰ってきてしまった。
コルプスレイザーは母さんが護身用にくれたベルト。
姫矢グループで量産されたベルトなのだと。
怪物にも負けない『強い“体”』をくれるベルトなのだと。
そういって渡されたベルトだった。
でも……母さんはこのベルトの名前も、このベルトで変身できるライダーの名前も“ちゃんと教えてくれなかった気がする”。
ベルトに名前が刻印されてたけど、ローマ字で書いてあるのと、刻印が潰されているせいで正しく読めなかったため、ベルトのガイダンスボイスを聞いて初めて『コルプスレイザー』って知ったくらいだ。
だけど、今このベルトの音声を聞くと『コルプス』じゃなくて『コープス』って言ってたようにも思えてしまう。
あぁ、やべぇ………本当に疲れてるんだな。
だってそうじゃねぇか。
死体が動いたらホラーだろ。
て言うかなんで死体が動くんだよ。
やっぱりもう寝よう。とりあえず寝よう。
………と思ったのだけど。
「……ごめん、お前らなにやってんの」
錆び付いたドアを開けると、俺の目に飛び込んできた光景は、亨多と孟がなにやらわちゃわちゃしている光景だ。
孟は普段通りさ。
だけど、亨多は……なんだこれ。
白い割烹着に白い頭巾。
しかも白いマスクで完全装備。
その手にははたき。
昔ながらの掃除器具のアレね。
おまけに窓という窓を全開にしている。
なんで今この時期に大掃除?
「おっ、ショーリ!
聞いてくれよ亨多のやつがGが出たって大騒ぎしてさ……」
「GはダメでしょGは!あの黒光りするアイツは!!
徹底的に掃除します!根絶やしにします!」
あー……そういえば最近掃除サボってたからな。
ゴキ……Gが出ちゃったのね。
レコンギスタしちゃったのねGが。
ま、そんなところじゃ寝れねぇわな。
「孟、掃除すっぞ。
流石にGが蔓延るところで寝られねーぞ?」
「えー……めんどくさっ……。
お前ら二人でやれよ」
「「お前もここに住んでるだろうが!」」
「へーい………」
俺は嫌がる孟とやる気満々な亨多と共に部屋……もとい廃墟同然の店内の掃除を始めた。
正直、普段なら孟と同じように面倒くさかっただろう。
それに疲れているのなら尚更だ。
だけど……少しでも気晴らしをしたかったのだ。
忘れてしまいたかったのだ。
もうどこにもいない人の心の内など分かるはずもないのだから。
その真意を知ることなど永遠にないのだから。
コルプスレイザーを託した母の真意を……。
そして……何故ジルと相対した時、文字通り頭を潰された感覚があったにも関わらず俺は生きているのか。
考えたって仕方ないことだって分かっているはずなのに……。