Episode.11 DESPAIR
──DESPAIR SIDE ──
「髪が………私の髪が………」
あの男の息子……ジルと言っただろうか。
奴のせいで私の頭頂部の髪はすっかり焼き尽くされ、見事にトンスラのような見るも無惨な髪型となってしまった。
更にはジニアからはあからさまな同情の目を向けられ、手渡されたのは育毛剤。
炭酸泡の出るタイプの奴だ。
これを塗りたぐって頭皮を刺激しろと?
………こんな屈辱を受けるのははじめてた。
「………」
しかし、NSを使って頭皮が復活したところで燃えた髪が生えてくるわけでもない。
そちらは自然回復を待つしかない。
それにこんなことのためにNSを消費するのもバカらしい。
私は鏡の前に立つと、言われた通り炭酸泡を髪が燃えてなくなった頭皮に塗り込み、マッサージを行う。
端から見ればなんともシュールな光景だろう。
はっきり言って私もそう思う。
「………悪かったな、うちの息子が」
私の隣にはあのドラ息子の父親。
すごく簡略化した漫画のような表情をしながら、私に同情の視線を向ける。
(。・´_`・。)
……そう。こんな感じの顔だ。
この顔から察するにジニア本人にすらあのガキ……ジルの行動は予測がつかなかったようだ。
普段ならやり返しているのだが、やり返そうとしたところで……悔しいことに今の私ではまるで歯が立たないのは分かる。
何度もジニアに挑んでは何度も返り討ちに遭ってるからな……。
ちなみに…………泣いてないぞ、私は。
「…………」
惨めになってくる。
私自身、あまり感情が表に出る方でもないし、感情を理解出来ている方ではないが私を支配するこの“感情”だけは分かる。
これは“屈辱”だ。
“あのお方”率いるカオスファクターから孤立し、コイツらの組織に流れ着き、そこからが地獄の始まりだった。
ディスペアーサーベルを折られ、顎を叩き割られ、宿敵であるノゾミも倒され、エクシードディスペアーの力を奪われた挙げ句、髪は燃やされ……。
毎回報復を企てるも、その度に返り討ちに遭ってしまう。
私は一体どうすれば……。
これまで『絶望の担い手』と名乗ってきたが、今現在私自身が絶望に打ちのめされている。
「そうだ。これが今日からお前のメモリだ。
使いこなしてみせろ」
無表情になったと思えば、ジニアは私のすぐ近くの棚になにかを置いた。
私は鏡から目を離し、そちらに向き直った。
そこに置いてあったのは数本のガイアメモリ。
しかも、純正化され私のドライバーにも対応できるようにされている。
しかし、その中身が問題であった。
「……“エッグ&チキン”、“UFO”、“ビーン”、“酒”、“オレンジ”……。
………私にどうしろと?」
このあいだの特訓の後、私はこの男に所有していたガイアメモリを全て取り上げられてしまった。
そのあとに「代わりのものを渡す」とこの男が言っていたのだが……まさかこんなクソメモリだとは思わなかった。
それなら今までのメモリで十分だ。
私はジニアを睨んだ。
しかしジニアは冷たい視線を向け……
「……自称絶望の担い手サマはてめぇの言うクソメモリすら使いこなしてみせるんだろ?
それとも“使いこなせない”のか?」
「………ふざけるなよ」
奴から渡されたメモリはクソメモリ。
だけど“使いこなせない”などとは一言も言っていない。
私は奴の挑発に乗るかのように奴から渡されたガイアメモリを握りしめた。
──奴にどんな意図があるかは知らないが、使いこなしてみせるさ。
「髪が………私の髪が………」
あの男の息子……ジルと言っただろうか。
奴のせいで私の頭頂部の髪はすっかり焼き尽くされ、見事にトンスラのような見るも無惨な髪型となってしまった。
更にはジニアからはあからさまな同情の目を向けられ、手渡されたのは育毛剤。
炭酸泡の出るタイプの奴だ。
これを塗りたぐって頭皮を刺激しろと?
………こんな屈辱を受けるのははじめてた。
「………」
しかし、NSを使って頭皮が復活したところで燃えた髪が生えてくるわけでもない。
そちらは自然回復を待つしかない。
それにこんなことのためにNSを消費するのもバカらしい。
私は鏡の前に立つと、言われた通り炭酸泡を髪が燃えてなくなった頭皮に塗り込み、マッサージを行う。
端から見ればなんともシュールな光景だろう。
はっきり言って私もそう思う。
「………悪かったな、うちの息子が」
私の隣にはあのドラ息子の父親。
すごく簡略化した漫画のような表情をしながら、私に同情の視線を向ける。
(。・´_`・。)
……そう。こんな感じの顔だ。
この顔から察するにジニア本人にすらあのガキ……ジルの行動は予測がつかなかったようだ。
普段ならやり返しているのだが、やり返そうとしたところで……悔しいことに今の私ではまるで歯が立たないのは分かる。
何度もジニアに挑んでは何度も返り討ちに遭ってるからな……。
ちなみに…………泣いてないぞ、私は。
「…………」
惨めになってくる。
私自身、あまり感情が表に出る方でもないし、感情を理解出来ている方ではないが私を支配するこの“感情”だけは分かる。
これは“屈辱”だ。
“あのお方”率いるカオスファクターから孤立し、コイツらの組織に流れ着き、そこからが地獄の始まりだった。
ディスペアーサーベルを折られ、顎を叩き割られ、宿敵であるノゾミも倒され、エクシードディスペアーの力を奪われた挙げ句、髪は燃やされ……。
毎回報復を企てるも、その度に返り討ちに遭ってしまう。
私は一体どうすれば……。
これまで『絶望の担い手』と名乗ってきたが、今現在私自身が絶望に打ちのめされている。
「そうだ。これが今日からお前のメモリだ。
使いこなしてみせろ」
無表情になったと思えば、ジニアは私のすぐ近くの棚になにかを置いた。
私は鏡から目を離し、そちらに向き直った。
そこに置いてあったのは数本のガイアメモリ。
しかも、純正化され私のドライバーにも対応できるようにされている。
しかし、その中身が問題であった。
「……“エッグ&チキン”、“UFO”、“ビーン”、“酒”、“オレンジ”……。
………私にどうしろと?」
このあいだの特訓の後、私はこの男に所有していたガイアメモリを全て取り上げられてしまった。
そのあとに「代わりのものを渡す」とこの男が言っていたのだが……まさかこんなクソメモリだとは思わなかった。
それなら今までのメモリで十分だ。
私はジニアを睨んだ。
しかしジニアは冷たい視線を向け……
「……自称絶望の担い手サマはてめぇの言うクソメモリすら使いこなしてみせるんだろ?
それとも“使いこなせない”のか?」
「………ふざけるなよ」
奴から渡されたメモリはクソメモリ。
だけど“使いこなせない”などとは一言も言っていない。
私は奴の挑発に乗るかのように奴から渡されたガイアメモリを握りしめた。
──奴にどんな意図があるかは知らないが、使いこなしてみせるさ。