Episode.10 LUCY
「……そんな程度で僕に触れられるとでも思った?」
刹那、時計の針を模した奴の角がまるで時計が動き出したかのように回転する。
それで何をしているかは分からない。
だが、角の回転が止まった瞬間奴は分身の動きを見切ったかのように動きを変え、分身の攻撃を回避した。
「なにっ!?」
《月闇必殺撃!習得三閃……!》
反撃として奴は、紫の剣から漆黒の刃を飛ばす。
「ちっ……!」
《Violent Break……》
分身も咄嗟に何処からともなく鎌を取り出し斬撃を防ぐも、その威力は凄まじく分身は吹き飛ばされてしまう。
ここまでで1秒も経ってはいない。
刹那の間に行われた攻撃の応酬は本体である俺は目で追うのもやっとであった。
「分身っ!……ぐわっ!!」
しかし、本来なら分身を気にかけている余裕がないのが現実。
分身を気にかけた僅かな隙を突くように巨大な剣にかかる力がより一層強くなった。
それに耐えきれなくなった俺の体は巨大な剣に投げ飛ばされるようにして吹き飛ばされ、ビルの壁に叩きつけられた。
壁から引き剥がされるようにして地面に倒れこんでしまう。
「「ぐっ……!」」
「あのね……“視えてる”んだよ、お前たちの動きが。
それこそ、手に取るようにさ……!」
《アナザーディケイド!バースト!》
その瞬間、奴の体がオーロラの壁に包まれて消える。
このオーロラの壁は自由に瞬間移動するためのもの。
まずい……このままじゃ殺られる……!
俺は傷ついた体に鞭打ちカードをスキャンした。
《Form Change:Byakko》
「はぁっ!!」
「っ!!」
奴が灰色のオーロラから抜け出すより速く、俺は地面をおもいっきり叩き、粉塵を巻き上げながら奴の刺突を回避。
痛みを堪えつつ奴の背後に回ると、白虎銃・アインガンを突き付け至近距離から放つ。
……たしか輝に出会ったばっかの頃、この一撃で痛い目をみたんだっけ。
だからこそ分かる。
この一撃は有効打になり得ると。
しかし、奴はこちらの攻撃を見切ったかのように白虎銃・アインガンの銃口を僅かに反らし弾道を反らした。
「……ちっ」
「だから言ったろ!“視えてる”って!」
ここまで僅か一秒にも満たない刹那のやり取り。
ゲンブフォームからスピード自慢のビャッコフォームにフォームチェンジし、スピードを上げても奴に攻撃を当てることすら難しいとは。
流石にこちらの体力にも限界がある。
俺は体制を建て直すべく奴から距離をとり、吹き飛ばされた分身の方へと飛び退いた。
「……おやおや、逃げるのかな?」
あからさまな挑発。
しかし、あいにく逃げるつもりはない。
俺は分身を立ち上がらせると奴の隙を伺う。
奴からはいわゆる『殺気』という奴を全く感じない。
こうやって正面からみると不気味に感じてしまう。
おそらくこれが達人同士の戦いの基本というやつなんだろう。
殺気を剥き出しにしたまま戦うなど本来ならば格下相手にすら行わぬ行為。
何故なら殺気で気配を感づかれてしまうからだ。
気配を感づかれた時点で戦いに敗北したも同然……。
だからこそ戦士には気配と共に殺気を極限まで殺すテクニックが要求されるのだそうだ。
そして奴はその殺気を感じ取れない領域にまで消し去っている。
やはり相当な手練れだ。見た目はお子ちゃまだけど。
「……どうするよ、マイブラザー?
あいつ、なかなか強いぜ?」
「まぁ、待てよ分身……」
分身にはそういってみせるが、自分たちだけじゃ少々戦況が厳しいのはたしか。
だが………
『勝利さん!お待たせしました!
アナライズ完了です!』
ルーシーから通信が入る。
先程からずっとヘッドバイザー越しに奴の戦闘データをインプットさせ続け、奴に勝つためのシミュレーションをさせ続け、勝つための作戦を立ててもらっていたのだが、どうやら必勝法を見つけたようだ。
──さぁ、ここから一丁反撃開始とさせてもらおうか……!
刹那、時計の針を模した奴の角がまるで時計が動き出したかのように回転する。
それで何をしているかは分からない。
だが、角の回転が止まった瞬間奴は分身の動きを見切ったかのように動きを変え、分身の攻撃を回避した。
「なにっ!?」
《月闇必殺撃!習得三閃……!》
反撃として奴は、紫の剣から漆黒の刃を飛ばす。
「ちっ……!」
《Violent Break……》
分身も咄嗟に何処からともなく鎌を取り出し斬撃を防ぐも、その威力は凄まじく分身は吹き飛ばされてしまう。
ここまでで1秒も経ってはいない。
刹那の間に行われた攻撃の応酬は本体である俺は目で追うのもやっとであった。
「分身っ!……ぐわっ!!」
しかし、本来なら分身を気にかけている余裕がないのが現実。
分身を気にかけた僅かな隙を突くように巨大な剣にかかる力がより一層強くなった。
それに耐えきれなくなった俺の体は巨大な剣に投げ飛ばされるようにして吹き飛ばされ、ビルの壁に叩きつけられた。
壁から引き剥がされるようにして地面に倒れこんでしまう。
「「ぐっ……!」」
「あのね……“視えてる”んだよ、お前たちの動きが。
それこそ、手に取るようにさ……!」
《アナザーディケイド!バースト!》
その瞬間、奴の体がオーロラの壁に包まれて消える。
このオーロラの壁は自由に瞬間移動するためのもの。
まずい……このままじゃ殺られる……!
俺は傷ついた体に鞭打ちカードをスキャンした。
《Form Change:Byakko》
「はぁっ!!」
「っ!!」
奴が灰色のオーロラから抜け出すより速く、俺は地面をおもいっきり叩き、粉塵を巻き上げながら奴の刺突を回避。
痛みを堪えつつ奴の背後に回ると、白虎銃・アインガンを突き付け至近距離から放つ。
……たしか輝に出会ったばっかの頃、この一撃で痛い目をみたんだっけ。
だからこそ分かる。
この一撃は有効打になり得ると。
しかし、奴はこちらの攻撃を見切ったかのように白虎銃・アインガンの銃口を僅かに反らし弾道を反らした。
「……ちっ」
「だから言ったろ!“視えてる”って!」
ここまで僅か一秒にも満たない刹那のやり取り。
ゲンブフォームからスピード自慢のビャッコフォームにフォームチェンジし、スピードを上げても奴に攻撃を当てることすら難しいとは。
流石にこちらの体力にも限界がある。
俺は体制を建て直すべく奴から距離をとり、吹き飛ばされた分身の方へと飛び退いた。
「……おやおや、逃げるのかな?」
あからさまな挑発。
しかし、あいにく逃げるつもりはない。
俺は分身を立ち上がらせると奴の隙を伺う。
奴からはいわゆる『殺気』という奴を全く感じない。
こうやって正面からみると不気味に感じてしまう。
おそらくこれが達人同士の戦いの基本というやつなんだろう。
殺気を剥き出しにしたまま戦うなど本来ならば格下相手にすら行わぬ行為。
何故なら殺気で気配を感づかれてしまうからだ。
気配を感づかれた時点で戦いに敗北したも同然……。
だからこそ戦士には気配と共に殺気を極限まで殺すテクニックが要求されるのだそうだ。
そして奴はその殺気を感じ取れない領域にまで消し去っている。
やはり相当な手練れだ。見た目はお子ちゃまだけど。
「……どうするよ、マイブラザー?
あいつ、なかなか強いぜ?」
「まぁ、待てよ分身……」
分身にはそういってみせるが、自分たちだけじゃ少々戦況が厳しいのはたしか。
だが………
『勝利さん!お待たせしました!
アナライズ完了です!』
ルーシーから通信が入る。
先程からずっとヘッドバイザー越しに奴の戦闘データをインプットさせ続け、奴に勝つためのシミュレーションをさせ続け、勝つための作戦を立ててもらっていたのだが、どうやら必勝法を見つけたようだ。
──さぁ、ここから一丁反撃開始とさせてもらおうか……!