Episode.10 LUCY

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


過剰な火力によるごり押し。

一件周囲の被害を省みない弾幕だが、周囲の被害を最小限に抑えつつ確実に奴に攻撃を与えるために変幻自在の弾丸を操る幻惑の狙撃手……ダブル・ルナトリガーの力を使っている。


それにより俺の視界すら覆うほどの大量の弾幕の全てはあの小僧一人を狙い撃つために追跡し続ける。


当然奴に逃げる術などなく、着弾し眼前で爆炎が巻き上がり、爆煙と共に土煙が辺りを覆う。




───奴の姿は見えない。


だがあれほどの火力と重火器の量だ。
どれだけ耐久力があろうと早々耐えられるものではない。



そんな油断とロードオブジュエルのスペックの高さからくる慢心が、俺の次の行動を鈍らせた。





「うーん………それでお仕舞いかな??」


「っ!?」


背後から聞こえてくる奴の声。

咄嗟に距離をとろうも間に合わず、俺の視界は紅蓮の炎に包まれる。


それに一瞬遅れ胸部に走る痛み。




───しまった。全く反応出来ない!



切り裂かれ、大きくよろけながらも体制を立て直すその過程で、見えたのはキングの剣とはまた別の剣を構えた奴の姿。


そこて、ようやく俺は振り向き様に切り裂かれたのだと実感した。





「“紅蓮爆龍剣”………なんてね☆」


奴の持つ剣はかつての“ラスボス”………ゲムデウスのもつ剣、“デウスラッシャー”。

この剣の持ち主たるゲムデウスはバグスターなる種族の頂点に立つ存在。

故に全てのバグスターの技を使用することができる。


現に奴が放ったのも別のバグスターの技だ。




「まだだっ………!」


《SET UP-TRIPLE!》

《装甲(アームド)響鬼!
エグゼイド!ムテキ!
ブレイド!キング!》


炎の剣ならこちらも炎の剣で対抗するまで。
俺は更にライダーたちの力を開放し、自らの握る剣『リベルガンブレード』に炎を宿す。



《音撃刃・鬼神覚声!
ハイパークリティカルスパーキング!
ロイヤルストレートフラッシュ!

フュージョンフォーメーション!!》


「はぁぁぁぁぁぁ…………だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


発動する最大最強の一撃。
炎の刃に突進力と多段ヒットを加えたまさに破壊に特化した攻撃。


更にライダーの力を宿したことで、今のリベルはその身体能力はもちろん、その特殊能力も発現可能となった。


つまり今のリベルは『無敵』そのもの。






仮に奴が俺の攻撃を耐えたとしても、奴も俺に攻撃を………………



















「……………『与えられやしない』とでも思ったでしょ?」



「なっ!?」



《アナザーディケイド!バースト!》


《ゲムデウスムテキ………!》




「そぉれぇっ!!」



「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




奴の放つ無慈悲な剣。

眩く輝くそれは俺の炎の剣も、無敵の力すらも“文字通りすり抜けて”俺の体を引き裂いたのだ。
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