Episode.10 LUCY

「ぷくく………あれぇー?怒ったのフルチン父さん?」


「………黙ってろ」


奴の言葉を無視すると、俺は立ち上がる。

装甲のスリットから虹色の光が溢れ出す。


俺は………リベル・オーミネーションは“あと一回変身を残している”。


それこそがこのリベルをライダーの王たらしめている力だ。




《Lord of All Jewel……》


俺の意思に応えるように、装甲から光が放たれ、装甲が展開していく。


顔もよりライダーらしいものとなり、背中には光の翼…………。

まさに『ジュエルを統べるもの』の名に相応しい姿となる。


これが第二形態『ロード・オブ・ジュエル』。



文字通り全てのライダー、全ての怪人の力を使いこなすライダー世界の王。


ベースのスペックもシールズの三倍まで跳ね上がる。




「さぁ…………反撃開始だ!!」


《SET UP-OCHO!》


《カブト!ハイパー!
ファイズ!ブラスター!
ドライブ!トライドロン!
ダブル!ルナトリガー!
スペクター!ノブナガ!
フォーゼ!マグネット!
G3-X!
ゾルダ!》


召喚される無数の重火器。
俺の負担も大きいが、奴を滅ぼすのならこれでもまだ足りないくらいだ。



《マキシマムハイパーサイクロン!
フォトンバスター!
トレーラービッグインパクト!
トリガーフルバースト!
オメガスパーク!
ライダー超電磁ボンバー!
ケルベロスファイヤー!
エンド・オブ・ワールド!

フュージョンフォーメーション!!》


ライダーや怪人の能力を組み合わせて強力な技を使うのはシールズと変わらない。

しかしシールズでは組み合わせられる数が二体までだったのに対し、ロードオブジュエルは理論上は制限がない。

当然、同じ組み合わせでもその破壊力もシールズの非ではない。




「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


一斉に放たれる重火器による一斉射撃。

それは奴どころか俺の視界すらも覆う。


いささか奴一人に対しては過剰すぎる火力。


──だが俺にはそんな事を考える余裕などなかった。


あの男の影を消すためなら。
あの日の地獄絵図を忘れるためなら。



だけどライダーの王の力は……


いや………力を託してくれたライダーたちは、憎しみを晴らすための力は貸してはくれなかった。
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