Episode.10 LUCY

「…………ていうか、なんでいるんだよ勇騎さん」


「いちゃ悪いかよ」


「悪いよ」


隣でノエルが勇騎さんに冷たい視線を送る中、何故このポンコツお父さんがいるのか、訪ねる。

折角ルーシーの本音が聞けたのに。


そして……正直、両手に華でウハウハだったのに水を差された気分だ。




「…………コメダ珈琲で新しいスイーツが出たから食べに来たんだよ。

BATTOLERから一番近いコメダはムトーナノカドーの中だからな」



「へぇ~……最強勇騎親方もスイーツとか食べるんだ~。

菓子なんざ……へっ!煎餅しか食わねぇよ!とかいうタイプだと思ってたァ!」



「………今日は一段と煽って来るな、お前」



あたりめーだ。ルーシーが不憫すぎる。

それに折角のお楽しみタイムをぶっ壊されたんだ。

俺は困惑気味の最強勇騎親方にガンを飛ばし続ける。




「「…………」」


更にノエルも一緒になって、勇騎さんに冷たい視線を送り続ける。

そして、それに物怖じしたかのように後退りする勇騎さん。


この男がここまで困惑するのも珍しい。

俺だけでなくノエルも参加しているのが大きいのだろう。




よーし、もっとやってやれ!



ノエルに目配せしつつ、ふたりで無言の圧力を勇騎さんにかけ続ける。






すると………………







「わーった、わーった………
だったらお前らにも奢ってやるから。それでいいか?」




「「…………オーケー」」




こうして俺たちは勇騎さんの金で無料でスイーツを食べられることに。


俺とノエルは互いにサムズアップを送った。




だが、ここで問題がひとつ。










「……………私、ロボットだから食べられないです」





「「「…………………あ」」」





しょんぼりした顔のルーシーが一言。


そうだった。ルーシーは勇騎さんが作ったというロボット。

スイーツなんか食べられるわけない。



俺たち三人は互いに顔を見合わせ、苦笑することしか出来なかった。
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