Episode.10 LUCY

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次の日。
願葉区・ムトーナノカドー。

ルーシーにヒューマギアに合わせるべく、ルーシーを連れて俺とノエルは願葉区が誇るデパート『ムトーナノカドー』にやってきていた。


流石にヒメが変形するカマラーダmarkⅡには三人も乗れないし、かといってこの真夏に歩いていくのもしんどいので、駅から出ているムトーナノカドー行きのバスに乗ることにした。



「「………ついたぁ~」」


バスから降りるなり、ノエルとルーシーは伸びをする。

流石にルーシーにあのレオタードで街中を彷徨かせるわけにはいかないので、理緒から借りたワンピースを着させてみた。


なんというか少々子供っぽい気がするが、かわいい。フツーにかわいい。


ちなみに今日のルーシー、ノエルとペアルックなんだ。

色違いで同じデザインのワンピース。

語彙力なんて溶けてなくなるくらいにはかわいい。嗚呼かわいい。



design


これぞ両手に華。


んーーーー!なんと幸せなひとときなんでしょっっ!!



「勝利。……私、ルーシーとおそろい」



「うんうん!のえるんかわいいよのえるん!


顔見せて欲しいな顔!顔!顔!


いいねいいねいいねいいね!
いいよいいよいいよいいよいいよいいよ!!



ちょっと寄るよ!超寄るよ!

あぁ、ごめんね寄りすぎたね!ごめんごめん!



ちょっと下から撮るよ!おっ、かわいいねのえるん!

はずかしからなくていいよー!
そうそう!おててをスカートの裾から放して!


そうそう!いいねいいね!かわいいよかわいいよのえるん!!

うぇへっうぇへへへへへへへへ……」







「………勝利さん」



「あっ、ゴメンゴメン。

つい楽しくなっちゃって………あはは」


ルーシーに止められるまで、俺は夢中になってノエルをカメラで撮影し続けていた。

ノエルは顔を赤らめながらスカートの裾を押さえており、ルーシーは呆れ顔。


いけね………俺としたことが。



「……………さ、さぁ!気を取り直していくぞー!

みんなで“行こ”う!“いこ”いの場ッッ!!

はいっ!しょーりじゃァァないとぉぉぉ!!」


気を取り直し、気持ちを切り替えて。

俺はムトーナノカドーの建物を指差して叫ぶ。




渾身のギャグと共に。









「「…………パクり。0点」」



「辛辣ゥ~~~~!!」



しかし俺の渾身のギャグはルーシーとノエルという2人の厳しい審査員にはウケなかったようだ。


………まぁいいや。

これから3人で楽しく社会見学するんだからなっ!!
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