Episode.10 LUCY

「私、ですか………?

私はルーシー。

呼道勇騎博士に作られた汎用人工知能搭載人型ロボット……“エルフィリード”。

その1号機です」


「エルフィリード………」


エルフィリード………“妖精”ってか。

本当にそこで倒れてる戦闘妖精の流れを汲むロボットだったのか………ルーシーは…………。


あれー?なんか逆に信憑性増してきたぞ………?



でも、女の子アレルギーのチー牛が『博士』かァ……………。


あれー?勇騎さんって、高卒じゃなかったっけ?

底辺のフリーターじゃなかったっけ?




「…………オイ勝利。お前今色々と失礼なこと考えてただろ?」



「いえ、ソンナコトナイデスヨー。

………それにしてもエルフィリードか………ヒューマギアじゃなくて?」



「……?ヒューマギア?なんですかそれ?」


ヒューマギアという単語を聞くとルーシーは首を傾げる。

あぁ、やっぱりヒューマギアは知らねぇか。


実際に勇騎さんもヒューマギア知らなかったみたいだしな。



「そこで私は呼道勇騎博士………じゃなくて。
最強勇騎親方によって産み出された私は、その娘の“香織”を護るために…………」


「「「娘!?」」」


思わず俺と理緒、それから勇騎さんは驚愕の声を上げる。

だってそうだろ?娘がいるんだぞあのチー牛に!
ロボットわんさか作って一生独身生活送ってそうな最強勇騎親方がだぞ!?



「えぇっ!?えぇぇぇっ!?
娘!?嘘でしょ!?

母親誰!?母親だれなの!?」


今まで見たことないレベルで困惑する理緒。
ルーシーの両肩を掴みブンブン揺する。


よほど信じられないんだろうな……。まぁ、無理もねぇか。



「おっ、落ち着いてくださいぃ!

私は直接会ったことないんで分かんないですぅぅぅ!!」


「あっ、ゴメン…………」


ルーシーは人間の女の子さながらに目を回し、それを見た理緒は冷静さを取り戻しルーシーの両肩から手を放した。




「………とりあえず、そのエルフィリードってのを詳しく教えてよ」


このままじゃ話が一向に進まない。

俺はとりあえず理緒や勇騎さんを放ったらかしにルーシーに勇騎さんが作ったというAI……『エルフィリード』について聞くことにした。


ルーシーのことを理解することは勿論だが、それ以上に気になるんだ。

勇騎さんがいかにしてルーシーという規格外のAIを産み出したのか。


そして……何を思ってルーシーという新しい命を作ったのか。


そこにどんな想いがあったのか………それを知りたくて。
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