Episode.10 LUCY

「まぁまぁ……ロボットとは言え、女の子なんだから。


ルーシーちゃんもお洒落したいよねぇ?」


「へっ?」


ここで理緒はにんまりと笑うとどこからともなく持ってきた洋服をルーシーに見せる。

まさかの展開に困惑した表情を浮かべるルーシー。


あー………そういえば最近、ノエルの洋服のレパートリーが増えたような気がしてたけど……なるほど、理緒が着せ替え人形にしてたのね。




「ルーシーちゃん、モデルさんみたいに綺麗だからきっと何でも似合うよ!」


「えっ?あの………私、洋服にはあまり…………」


「いいからいいから。ものは試しだよ♪」


理緒は割と強引に勢いで押しきるタイプだ。
こうと決めたら絶対に貫き通すというか……
都合の悪いことを徹底的にシャットアウトするタイプ。

現に押しに弱そうなルーシーを勢いで押しきり、どこから用意したのかたくさんの衣服を押し付けた。



「おっ、いいねぇ~!俺がカメラマンやってやるよっ!」


「お願いっ!」


それでもルーシーのいろんな姿を見たいのは俺やノエルも同じみたい。

こうして俺がカメラマンを名乗り出たことで、困惑するルーシー本人をよそに彼女のファッションショーが始まった。





「……ハイいいよー!いいよいいよいいよ!
いよいよいよいよ!もっと顔がみたいなぁ!

ルーシーちゃん顔を見せて欲しいな!
顔がみたいな!ルーシーちゃん顔見せて!顔顔!

……そうそうそう!もうちょっと寄るよ!超寄るよ!
あぁ寄りすぎちゃったゴメンゴメン!」



「あ、今のルーシーかわいい………」


「いいねぇルーシーちゃん!かわいい!本当に何着せてもかわいいっ!」


別室で理緒から受け取った服に着替えるルーシー。
そしてその姿をカメラに納めていく俺。


ルーシーが新たな服へと着替えていくたび、理緒とノエルの表情がぱぁっと明るくなる。


確かに2人の気持ちは凄くよく分かる。


恐らくルーシー本人も気づいてはいないが、ファインダー越しのルーシーはとても輝いて見える。

彼女は明らかに着飾ったり、自分をよく見せようとするタイプではないが、そのロボットというスタイリッシュなイメージに反した素朴さがかえって魅力的に見えるのだろう。


なるほど………カメラマンはその瞬間瞬間の美しさを切り取る仕事なのか。



───いつか、ノエルの『一瞬の美しさ』もカメラにおさめてみたいな。





「ていうか勝利の奴、カメラマンになりきりすぎだろ………」


「ルーシーはモデルになりきれてないけど………」


理緒やノエルに対し、困惑の表情を浮かべるのは勇騎さんとアル。

勇騎さんに至ってはルーシーに触れてもいない。

さすが女の子アレルギーのチー牛w



「………心の声駄々漏れだぞー勝利ー。

誰が女の子アレルギーのチー牛だコノヤロウ」


「やべっ…………あはっ、あはははは………」


あれ?なんで俺の心の声が駄々漏れになってんの??

ていうか勇騎さん、目が笑ってない。



とりあえずここは笑って誤魔化しとくか☆




「……ったく、なんでルーシーにブルマなんて履かせてんだよ。布を増やせ布を。
俺の心臓が持たん」


「ルーシーで鍛えろお父さん」


「誰がお父さんだっ!」


とりあえず勇騎さんをからかうネタは増えに増えた。
これからが楽しみだぜ………ニシシ。


まぁ、ともかくルーシーの写真はたくさん取れた。

今度はノエルにこんな感じの服着せてみたいなぁ………。
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