Episode.10 LUCY

──2022年 8月6日。


毅さんと再会し、3日経った。

俺……椿 勝利はノエルと2人で約束していた仮面ライダーリバイスの映画を観てきた。



普段は寡黙なノエルだが、映画を観ている時や見終わって映画の感想を話してる時の彼女はとてもイキイキしており、やはり普通の年頃の女の子なのだと認識させられてしまう。


普段なかなか見せない彼女の天真爛漫な表情に見とれつつ、俺は彼女を送り届けにBATTOLERにやってきた。




「たでーま~………」


BATTOLERの店のドアを開く。

開けた途端、冷房の涼しい空気が漏れだし外気に触れて火照った体を程よく冷やしてくれる。


冷気に心地よさを感じつつも、先にノエルを店内に入れてやると俺も店内に入る。



嗚呼、涼しい…………。


真夏の太陽に照らされたコンクリートジャングルから、冷房の効いた店内……オアシスに入れば、そんな感想が真っ先に浮かぶはずだ。


しかし…………




「………あ?何やってんの?勇騎さん?」


目の前に飛び込んできた光景は、そんな夏のひとときを忘れさせるには十分なインパクトであった。




「よぉ………勝利、ノエル。

………なかなかの出来だろ?」




「「…………ゑ?」」


思わずアホみたいな顔になってしまう。

あのミステリアスな雰囲気を醸し出していたノエルですらなんか顔文字みたいな単純な顔になってる。


そうだな、例えれば…………


(。´・へ・`。)


そう、こーんな顔。



ノエルにすら、こんな顔をさせるモノ………。



それは戦車のような下半身、某機動戦士のような上半身にマジックハンドのような両腕を持っているロボット。

そして肝心の頭部は女性を模したモノが取り付けられている。


これは………勇騎さんが作ったのだろうか。




「…………なんじゃこりゃ」


マジで意味か分からん。

本当にこのロボットは一体なんなんだろうか。




「最近客が増えてきて、それで猫の手も欲しいって思ってな。

俺たちの仕事を手伝ってくれる奴が欲しくてさ………


だから、この俺………最強勇騎親方が仕事を手伝ってくれるカラクリを作った訳だ。
 
それがこのカラクリウェイトレス………











……………“戦闘妖精中村さん”だ」



「キタネーニンゲンハホロビロ」



「中村さんになんの恨みがあんの勇騎さんんんんんんんんんんんん!?」




………とりあえず全国の中村さんは勇騎さんの顔面にパンチを叩き込めばいいと思う。
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