Episode.9 HOPE

「ぐっ……!」


ライジングホッパーレイダーの必殺の一撃を喰らい地面に叩き付けられる鯨男。

ダメージも大きいのか、変身も解除されてしまった。



「クソッ……まさかレイダーでもここまでの力を発揮するとは………

流石はうちのボスと肩を並べただけのことはある、か…………」


フラフラと立ち上がるルーイン。

しかし、その口から語られるのは彰一さんへの称賛のみ。

私は最初から眼中にないと言った感じだ。


それが無性に腹が立った。

だけど、私は必死にその怒りを堪える。





「……よかったねぇ、雑魚ライダーのお嬢ちゃん。

頼もしいオジサンが来てくれてさぁ……!」


「負け惜しみのつもり?」



「ハッ!負け惜しみ?笑わせんなよ……

お前は現にそのオッサンが来なきゃ俺に殺されてただろうが……。

せいぜいキャンキャン吠えてろよ、ブルドッグ顔」



「誰がブルドッグだ、誰が!」



話の流れからして『ハンドレッド』とは彰一さんのことなのだろう。
また決めつけるのも時期尚早なのだが、奴のボスは恐らくジニアだろう。

そうなると先程の『裏切り者』という言葉も『ボスと肩を並べた』という言葉も気になるし、彰一さんが何故戦う力を持っているのかが謎だ。

しかし、私は奴にバカにされたということで頭が一杯でそこまで気を回すことが出来なかった。




「それじゃあねぇ………まっ、また近々会うことになるだろうけども」


「待ちなさいッ!」


奴の背後に現れる銀色のオーロラ。

私は奴を捕らえるべく駆け出すが間に合わず、奴はオーロラの向こうへと消えていく。



やがて奴の姿が完全に見えなくなると、私は呆然と立ち尽くす。



こうして戦いは終わった。




だけど、やっぱり一人じゃ何も出来なかった………。
彰一さんが来てくれなければ私もローラさんも…………。




「………よくやったんじゃねぇか?ノゾミ」


「ひゃあっ!?」


そんな私の頬にキンキンに冷えた何かが押し当てられる。


慌てて振り返ってみるとそこには笑顔の彰一さんとローラさん。

彰一さんの手には小さな茶色の瓶。


私の頬に押し当てたのはコレか。



「まぁ、これでも飲んどけよ」


そういって手渡されたのは『オロナミンC』とかかれたラベルの貼られた瓶。


なんなんだろうコレ…………?


そして、何処から出した彰一さん!?
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