Episode.9 HOPE

「ノゾミちゃん!?」


私は指輪をはめるとローラさんを護るように前に出た。


嵌め込んだ指輪はソルの指輪。

ホープの基本形態となる『ソルスタイル』に変身するための指輪だ。




「ノゾミ…………!止めろ…………っ!」


「よそ見してる場合かよッ!」


こうしている間にもレイダーたちによる攻撃がライジングホッパーレイダー………彰一さんを追い詰めていく。



───私はもう、躊躇わない。




「ノゾミちゃんダメよ!こんなに怪我もしてるのに…………!」


ローラさんは私の服の手を掴む。

その手はロボットとは思えないほど暖かくて、そして震えていた。

………そうだよね。ローラさんも怖いんだ。

それでも私を護ろうと、私を戦場へと行かせまいと私の手を握ってくれた。


私もローラさんの手を握り返し……




「ありがとうございます………。

でも私……行きます。


もう、セッテの時みたいな想いはしたくないから」



私はローラさんの手をそっとさする。

ローラさんも少しは私を信じてくれたのか、手を離してくれた。


そして私は再び目の前の敵を一瞥した。




「オイオイ………まァたやるのかよ。

お前じゃ俺には勝てないぜ?」



「…………そんなのやってみないと分からないでしょ?」


《シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!》


ベルトの起動と共に私は指輪を構え、ベルトに読み込ませる。



《ソル!プリーズ……》


《サンサン……サンサン……!》


呪文のような変身音が鳴り響く中、私の体は輝きを宿した指輪から放たれた魔方陣に包まれる。

ベルトから発せられる変身音は魔法発動の呪文を簡略化し最適化したもの。

すなわちこれは変身の呪文。


私の変身は読んで字の如く『魔法』によって行われるのだ。




「さぁ………希望のショータイムよ……!」


私の体を包んだ魔法陣が炎と共に弾けると変身が完了する。

ワインレッドの宝石を模した鎧。
金色の縁取り。
そして白い魔法衣。

形こそモデルになった『仮面ライダーウィザード』とほぼ同等だが、ワインレッドの宝石を除けばそのカラーリングはむしろ『白い魔法使い』に似ている。

これが『ホープ・ソルスタイル』。



ウィザードでもなければ白い魔法使いでもない、どっちつかずの姿こそが私の最初の“希望”。



そして、今の私の“希望(ユメ)”。




この姿にかけて────もう、二度と誰も傷つけさせたりはしない。
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