Episode.9 HOPE
「っ!はぁっ!!」
「っ!!」
シザースセイバーガンを掴み、奴の扇を払いのけると奴の腹部に蹴りを放つ。
蹴りを受け大きく仰け反る機械仕掛けの鯨男。
「………っ!」
鈍い痛みが脚に響く。
痛みを“ある程度”遮断しているとはいえ、自分の脚に負担がかかるのは致し方ない。
それに、今の私は能力や行動をかなり制限されている。
…………奴と戦うのなら、短期決戦に持ち込まないと。
「………っ!“クロックアップ”!!」
NSを発動させ、NSの粒子を全身に巡らせ私は高速の世界へと突入する。
本来、クロックアップは全身にタキオンを循環させ時間流の異なる世界に突入する高速移動術なのだが、私の場合はNS(ニューシード)をタキオンの代わりに使うことでクロックアップを再現しているのだ。
「はぁぁぁぁっ!!」
本来ならクロックアップ下でなら一方的に攻撃ができる。
実際に奴もクロックアップのスピードに追い付けず、攻撃を受け続けている。
しかし………
「めんどくさいなぁ………」
奴が何処からともなくリモコンのような形をした機械を取り出し、そのボタンを押す。
その瞬間………
「えっ!?うそっ!?」
眼前で紫電が迸る。
その直後、私はクロックアップの世界から追放された。
どういう原理かはわからない。
だが勝手にクロックアップが解除されてしまったのだ。
《SPRASHING BOLIDE!》
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
直後、切っ先に水流を纏った扇の一撃が私の体に叩き込まれる。
紙屑のように吹っ飛ばされる私の体。
地面に叩きつけられると、セーフティシステムが作動。
強制的に変身解除されてしまった。
「ノゾミちゃんっ!!」
「なんで………クロックアップが解除されたの………?」
変身が解除され、地面に倒れ伏す私にローラさんが駆け寄る。
私はそれでもローラさんを護らねばと彼女を庇うように立つのだが、すぐに片膝をついてしまう。
「これだよ、これ………。
『簡易クロックダウン装置』っていうんだけど」
そういって奴はこちらに歩みより、種明かしをする。
『クロックダウン』という単語を聞けばもう詳しい機能など聞かなくていい。
クロックダウンとはクロックアップを無力化するシステムだ。
これを受けたことで私のクロックアップは無力化されたのだ。
「ハッ………お前みたいな無駄だらけで中途半端な雑魚ライダーなんかに負けるかよ」
「っ!!」
直後、私の頭は地面に叩きつけられる。
奴の脚が私の頭を踏みつけたのだ。
口の中に土が入り、土の味が広がる。
「ノゾミちゃんっ!
………なんで!?なんでこんなことをするの!?」
「ロ、ローラ………さん………逃げて…………!」
ローラさんが奴に組み付くのだが、奴は全く動じずに脚で私の頭をグリグリと地面に押し付ける。
「理由?そんなもんないよ………。
ただ、お前たちが目に入ったから。
お前たちは下等な愚民。
俺たちの足元にも及ばない二束三文の命。
だからいたぶるし殺すんだよ……。
そして俺にはそれが許されてる!
ハハハハハハハハッ!ホントサイコーだぜェ!!」
奴の笑い声が響く。
───何も出来ない。
体調が万全なら、こんな奴なんかに負けないのに。
悔しくて思わず涙が出てしまう。
奴は、それを嘲笑うかのように私の頭から脚をどけると私の胸ぐらを掴み、無理やり立たせる。
……どうやらトドメを差すつもりなのだろう。
「んー、もう飽きた。
死んじゃえよお前………」
ローラさんを押し退けると、奴は拳を構え、私の顔目掛けて振るう。
もうダメだ。私は思わず目を瞑る。
これが最期の瞬間か………そう思っていた。
しかし、いつまでたってもそれはやってこない。
痛みを感じる間もなく私は死んだのか?
私は、恐る恐る目を開けた。
「…………全く、俺の仲間と客に随分な真似をしてくれたな………クジラヤロー」
「………てめぇ…………!」
派手なカラーリングのTシャツ。
茶髪に、無精髭をはやした男。
彼は………私と鯨男の間に割って入り、鯨男の拳を生身で受け止めていたのだ。
絶望にうちひしがれていたローラさんの顔がぱぁっと花咲くように笑顔になる。
一瞬にして絶望から希望に満ちた顔にさせてしまうこの男。
そう………彼は…………!
「親方ぁっ!!」
「彰一さんっ!!」
───百瀬 彰一。
彼は私の………私たちの命を再び救ったのだ。
「っ!!」
シザースセイバーガンを掴み、奴の扇を払いのけると奴の腹部に蹴りを放つ。
蹴りを受け大きく仰け反る機械仕掛けの鯨男。
「………っ!」
鈍い痛みが脚に響く。
痛みを“ある程度”遮断しているとはいえ、自分の脚に負担がかかるのは致し方ない。
それに、今の私は能力や行動をかなり制限されている。
…………奴と戦うのなら、短期決戦に持ち込まないと。
「………っ!“クロックアップ”!!」
NSを発動させ、NSの粒子を全身に巡らせ私は高速の世界へと突入する。
本来、クロックアップは全身にタキオンを循環させ時間流の異なる世界に突入する高速移動術なのだが、私の場合はNS(ニューシード)をタキオンの代わりに使うことでクロックアップを再現しているのだ。
「はぁぁぁぁっ!!」
本来ならクロックアップ下でなら一方的に攻撃ができる。
実際に奴もクロックアップのスピードに追い付けず、攻撃を受け続けている。
しかし………
「めんどくさいなぁ………」
奴が何処からともなくリモコンのような形をした機械を取り出し、そのボタンを押す。
その瞬間………
「えっ!?うそっ!?」
眼前で紫電が迸る。
その直後、私はクロックアップの世界から追放された。
どういう原理かはわからない。
だが勝手にクロックアップが解除されてしまったのだ。
《SPRASHING BOLIDE!》
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
直後、切っ先に水流を纏った扇の一撃が私の体に叩き込まれる。
紙屑のように吹っ飛ばされる私の体。
地面に叩きつけられると、セーフティシステムが作動。
強制的に変身解除されてしまった。
「ノゾミちゃんっ!!」
「なんで………クロックアップが解除されたの………?」
変身が解除され、地面に倒れ伏す私にローラさんが駆け寄る。
私はそれでもローラさんを護らねばと彼女を庇うように立つのだが、すぐに片膝をついてしまう。
「これだよ、これ………。
『簡易クロックダウン装置』っていうんだけど」
そういって奴はこちらに歩みより、種明かしをする。
『クロックダウン』という単語を聞けばもう詳しい機能など聞かなくていい。
クロックダウンとはクロックアップを無力化するシステムだ。
これを受けたことで私のクロックアップは無力化されたのだ。
「ハッ………お前みたいな無駄だらけで中途半端な雑魚ライダーなんかに負けるかよ」
「っ!!」
直後、私の頭は地面に叩きつけられる。
奴の脚が私の頭を踏みつけたのだ。
口の中に土が入り、土の味が広がる。
「ノゾミちゃんっ!
………なんで!?なんでこんなことをするの!?」
「ロ、ローラ………さん………逃げて…………!」
ローラさんが奴に組み付くのだが、奴は全く動じずに脚で私の頭をグリグリと地面に押し付ける。
「理由?そんなもんないよ………。
ただ、お前たちが目に入ったから。
お前たちは下等な愚民。
俺たちの足元にも及ばない二束三文の命。
だからいたぶるし殺すんだよ……。
そして俺にはそれが許されてる!
ハハハハハハハハッ!ホントサイコーだぜェ!!」
奴の笑い声が響く。
───何も出来ない。
体調が万全なら、こんな奴なんかに負けないのに。
悔しくて思わず涙が出てしまう。
奴は、それを嘲笑うかのように私の頭から脚をどけると私の胸ぐらを掴み、無理やり立たせる。
……どうやらトドメを差すつもりなのだろう。
「んー、もう飽きた。
死んじゃえよお前………」
ローラさんを押し退けると、奴は拳を構え、私の顔目掛けて振るう。
もうダメだ。私は思わず目を瞑る。
これが最期の瞬間か………そう思っていた。
しかし、いつまでたってもそれはやってこない。
痛みを感じる間もなく私は死んだのか?
私は、恐る恐る目を開けた。
「…………全く、俺の仲間と客に随分な真似をしてくれたな………クジラヤロー」
「………てめぇ…………!」
派手なカラーリングのTシャツ。
茶髪に、無精髭をはやした男。
彼は………私と鯨男の間に割って入り、鯨男の拳を生身で受け止めていたのだ。
絶望にうちひしがれていたローラさんの顔がぱぁっと花咲くように笑顔になる。
一瞬にして絶望から希望に満ちた顔にさせてしまうこの男。
そう………彼は…………!
「親方ぁっ!!」
「彰一さんっ!!」
───百瀬 彰一。
彼は私の………私たちの命を再び救ったのだ。