Episode.9 HOPE
「行くぞ………!」
私は愛刀であるディスペアーサーベルを構えると駆け出す。
地面を蹴り、一瞬にして距離を詰める。
常人を上回る私の身体能力をガイアメモリにより更に強化している。
「はぁっ!!」
距離を詰め、得意な間合いでディスペアーサーベルを振り下ろす。
仮面ライダーディスペアーに使われているディスペアーメモリは専用のドライバーにより更にその力を増幅されており、その力はウェズペリアにいるどんな敵も寄せ付けないほどのものとなった。
しかし………
「…………お前、やる気あるのか?」
「なっ!?」
私の剣を奴は避けることも防ぐこともしなかった。
ただ、その剣をその身に受けたのだ。
刀身が奴の装甲に当たり、鈍い音が響く。
私の剣は………奴の体に傷ひとつつけられなかったのだ。
「ぐっ!!」
間髪いれずに腹部に激痛が走り、私の体が吹っ飛ばされる。
変身前でも奴の攻撃に反応出来なかったのに変身したところで奴の攻撃に反応できる訳などない。
そんなことは分かっていたはすだ。
私の体が壁に叩きつけられ、膝をつくも私は眼前の奴を睨む。
「………せっかくお前とあのバカ女との繋がりを絶って、お前に奴を超えられるチャンスを与えてやったのに。
結局お前も頭スッカラカンのバカ女だったわけだ。
お前はもっと“現実”を直視できると思ったんだがな…………
変身前でも俺の動きに全く反応出来なかったのに、互いに変身してりゃ戦況が覆せるわきゃねーだろ」
「ふざけるな………!」
私とノゾミは表裏一体。
私もノゾミと同じ能力が使える。
魔力を変換した炎と、そして神に抗う力……『ニューシード』。
それらをディスペアーサーベルに纏わせ、巨大な炎の斬撃波を放つ。
それはまさに眼前の敵を死という究極の絶望に叩き落とす一撃。
「ふざけてんのはお前だろ………」
一瞬だけ奴の体が光に包まれると奴は左腕の毒針を伸ばし、それを鞭のように操ることで炎の斬撃波を掻き消すと同時に私の体を毒針の支管で締め上げる。
「ぐぅぅぅ………!」
「お前、NSを使って俺に攻撃したとき『俺に勝てる』とでも思ったろ?
NSは外部からの干渉も受けず互いに阻害できない。
それ故に使用者のメンタルによる単純な力比べになるって……習わなかったか?」
「まさか………!」
『ニューシード』。
NS能力と呼ばれるその力は全ての神………『神龍』の原初たる存在『創世龍』を由来とされる力。
創世龍からその力を継承した『リシャーナ』なる神龍が人間の持つ“内なる神”……無限の可能性を体現するものとして植え付けた力だ。
簡単に言えば、使い手のイメージした通りの力を現出させるものなのだ。
ウェズペリアなどの物質が精神を凌駕した世界……すなわち魔法が発達した世界を中心に覚醒するものが現れており、この世界のように科学が発達した世界でNSに覚醒したものは聞いたことがなかった。
だが、奴のいう通り、NSが外部からの干渉を受けない……つまりNSの無力化が出来ない以上、“NSは基本的にNSでしか対抗出来ない”。
だが、奴は私のNSによる攻撃をいとも簡単に押し退けた。
そう。考えられるのはたったひとつしかない……。
「そのまさかだよ。
俺もNS能力者って奴だ………」
黄金に煌めく複眼が妖しく光る。
──私はその“担い手”を自称していたのに、“ソレ”を理解していなかったのだろうか。
「………これが、絶望………か」
圧倒的な力の差を見せつけられ、力も奪われてしまった。
そして私は、ようやく目の前の男に勝つ術がないことを知った。
私の体を締め上げる支管の中で、私の手は確かに震えていた。
私は愛刀であるディスペアーサーベルを構えると駆け出す。
地面を蹴り、一瞬にして距離を詰める。
常人を上回る私の身体能力をガイアメモリにより更に強化している。
「はぁっ!!」
距離を詰め、得意な間合いでディスペアーサーベルを振り下ろす。
仮面ライダーディスペアーに使われているディスペアーメモリは専用のドライバーにより更にその力を増幅されており、その力はウェズペリアにいるどんな敵も寄せ付けないほどのものとなった。
しかし………
「…………お前、やる気あるのか?」
「なっ!?」
私の剣を奴は避けることも防ぐこともしなかった。
ただ、その剣をその身に受けたのだ。
刀身が奴の装甲に当たり、鈍い音が響く。
私の剣は………奴の体に傷ひとつつけられなかったのだ。
「ぐっ!!」
間髪いれずに腹部に激痛が走り、私の体が吹っ飛ばされる。
変身前でも奴の攻撃に反応出来なかったのに変身したところで奴の攻撃に反応できる訳などない。
そんなことは分かっていたはすだ。
私の体が壁に叩きつけられ、膝をつくも私は眼前の奴を睨む。
「………せっかくお前とあのバカ女との繋がりを絶って、お前に奴を超えられるチャンスを与えてやったのに。
結局お前も頭スッカラカンのバカ女だったわけだ。
お前はもっと“現実”を直視できると思ったんだがな…………
変身前でも俺の動きに全く反応出来なかったのに、互いに変身してりゃ戦況が覆せるわきゃねーだろ」
「ふざけるな………!」
私とノゾミは表裏一体。
私もノゾミと同じ能力が使える。
魔力を変換した炎と、そして神に抗う力……『ニューシード』。
それらをディスペアーサーベルに纏わせ、巨大な炎の斬撃波を放つ。
それはまさに眼前の敵を死という究極の絶望に叩き落とす一撃。
「ふざけてんのはお前だろ………」
一瞬だけ奴の体が光に包まれると奴は左腕の毒針を伸ばし、それを鞭のように操ることで炎の斬撃波を掻き消すと同時に私の体を毒針の支管で締め上げる。
「ぐぅぅぅ………!」
「お前、NSを使って俺に攻撃したとき『俺に勝てる』とでも思ったろ?
NSは外部からの干渉も受けず互いに阻害できない。
それ故に使用者のメンタルによる単純な力比べになるって……習わなかったか?」
「まさか………!」
『ニューシード』。
NS能力と呼ばれるその力は全ての神………『神龍』の原初たる存在『創世龍』を由来とされる力。
創世龍からその力を継承した『リシャーナ』なる神龍が人間の持つ“内なる神”……無限の可能性を体現するものとして植え付けた力だ。
簡単に言えば、使い手のイメージした通りの力を現出させるものなのだ。
ウェズペリアなどの物質が精神を凌駕した世界……すなわち魔法が発達した世界を中心に覚醒するものが現れており、この世界のように科学が発達した世界でNSに覚醒したものは聞いたことがなかった。
だが、奴のいう通り、NSが外部からの干渉を受けない……つまりNSの無力化が出来ない以上、“NSは基本的にNSでしか対抗出来ない”。
だが、奴は私のNSによる攻撃をいとも簡単に押し退けた。
そう。考えられるのはたったひとつしかない……。
「そのまさかだよ。
俺もNS能力者って奴だ………」
黄金に煌めく複眼が妖しく光る。
──私はその“担い手”を自称していたのに、“ソレ”を理解していなかったのだろうか。
「………これが、絶望………か」
圧倒的な力の差を見せつけられ、力も奪われてしまった。
そして私は、ようやく目の前の男に勝つ術がないことを知った。
私の体を締め上げる支管の中で、私の手は確かに震えていた。