Episode.9 HOPE

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「んっ…………」


あれからどれだけ眠っていたのだろう。

既に日は沈みきり、外は夜の闇につつまれ、家の明かりだけがその闇夜を照らしていた。


部屋には私が怖がらないためにだろうか、ちゃんと明かりがついている。




「…………セッテ」


私は壁に立て掛けてあった松葉杖を手に取る。


…………セッテに合わせる顔などない。


それでも行かなきゃ……だよね。




──分かってる。




分かってるはずなのに………この松葉杖を使ってでもセッテがいる隣の部屋には行けない。

脚がすくんで動けないのだ。


もちろん、これは右脚の痛みのせいではない。


………私が弱いからだ。



ドアの隙間から光が漏れているのが分かる。


私が怖がらないように廊下にすら電気をつけてくれているのに………何やってるんだろ。




………コンコン。


私がモタモタしているとドアをノックする音が聞こえてきた。




「………ノゾミ、今大丈夫か?」


声は男性のもの。彰一さんだ。




「あ、はい………どうぞ」


「……済まねぇな。ここにいる人間は俺だけだからな」


私は彰一さんの入室を許可すると、彰一さんはドアを開けて入ってくる。

その手には料理が乗ったお盆。



美味しそう………今になってようやくお腹が空いてきた。
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