Episode.8 Re:BUILD

────


………………しゃくっ


…………………………しゃくっ





─────音が聞こえる。




普段、あまり聞き慣れないような音。


機械的で……冷たくて。


今はもう、思い出せないけども。



真っ暗で何も見えない。

いや、目が開けられないんだ。

体が重くて、痛くて…………




上も下も、右も左も……わからない。



ただ、体を包む冷たいものと、“音”が聞こえるだけだ。




わたしは…………一体どこにいる?




私は…………どうなったの?



何をしてたんだっけ?



何をしようとしてたんだっけ?





何も…………何も……………




「……………!──た!」



今度は声が聞こえた。

一筋の光と、埃っぽいにおいと共に。



次第にハッキリしていく声。

取り戻されていく私の感覚。




あぁ、私は………私は…………!







「………親方ー!女の子が出土しましたー!」





「────は?」




一段と大きな声が響きわたる。


意味のわからない言葉。


恐る恐る目を開けば、朝日が私の目に飛び込んでくる。



“光”は再び私を形作り、この世界に引き戻したのだ。


………そう、私だけが。




「………全く、手間かけさせやがって」


「あなた………たちは?」



────気がつけば再びあの森の中。


目の前には知らない男たちが4人。

うち3人の耳元には白い機械のモジュールが装着されている。


そこに親友……セッテの姿はない。



私は………悪い夢でも見ているのだろうか?



「セッテは…………どこ?」


「もしかしたらあの子の友達か………安心しろ。

エスポワールの町の方にいた女の子も俺たちが助けた」


茶髪に髭を蓄えた、唯一モジュールを着けてない男が私に微笑みかける。




「親方!自己紹介!」


「あぁ、そうだったな…………」


モジュールを着けた仲間と思われる男に促され、男は名前を名乗るのであった。





「………俺は百瀬 彰一(ももせ しょういち)。

イカしたTシャツが好きなだけの、ただのジャパニーズさ」


(続く)
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