Episode.8 Re:BUILD

崖に叩きつけれ、龍人ノゾミの体は地面に崩れ落ちる。

もはや立っているのもやっとといったところだ。



「………さて、いささかオーバーキル気味だろうが、お前に引導を渡すのに一番相応しい技をくれてやるよ」


《BLOOD HAZARD ON》


奴の状態を確認し、メーターのついた黒と赤のサングラスを模した“発明品”……『ハザードエクステンダー』を取り出し、スイッチを押す。


ポリシーに反するが、今の奴には最も相応しい幕引きだ。

自己犠牲心故かやたらと“力”に拘ってるようだが、今のまま戦ってりゃどのみちコイツは俺のようにしかなれん。


──ただ壊すだけの“怪物”にな。



そしてコイツ自身も、コイツをとりまく周囲の連中も全員愚か者。

誰ひとりとしてコイツの問題に気づけず、甘やかし続けるのなら………。


──最悪の未来が来る前にコイツを“終わらせてやる”のが俺の務め。




正直嫌な役回りだが……奴もその方が幸せだろう。




《UN LOCK HAZARD……ROSHUO》




「ふん………っ!!」


ハザードエクステンダーにより解放される“王”の力。


俺が自ら開発したこの発明品を用いることで、あらゆるライダーや怪人の能力を解放することができる。



解放した力の持ち主は『ロシュオ』。

知恵の実に選ばれた、全知全能の孤独な“王”だ。



奴の背後の崖がまるで“棺”のように裂ける。

同時に右腕を突きだし、力の奔流を放つ。



なるほど……禁断の果実に選ばれし神にして王の力の前には、神に抗う力と言えど勝てはしなかったようだ。


凄まじい力の奔流を前に奴は全く動けなくなっている。




「ハッ………!!」


あの龍の姿を構成している“力”……ニューシードは無力化したり中和したりすることは不可能。


だからこそより強い力をぶつけて吹き飛ばすしかない。


俺はさらに力を込め、腕から放つ波動を強める。



「っ………あァァァァ!!」


するとその波動により火花と共に奴の腰のドライバーが引き剥がされ、龍人の翼や尾、爪なども引き千切れるようにして消滅してしまう。




「なんで………なん………で………!」


「おぉっと……。戻ってきたみたいだな。

………何か言い残すことはあるか?」


さっき口の中でエネルギーが暴発したというのに、もう再生してやがる。

流石と言うべきかタフと言うべきか………だがもうどうでもいい。





「どうして………だよ………



…………どうしてだよォォォォォォォ!!」



瞬間奴の体は宙を舞い、口を開いた“棺”が奴を飲み込む。





「CIAO………!」


これは“死刑宣告”だろうか。


俺は一言そう告げると腕を振るう。



───奴の断末魔すら掻き消し、大地を揺らすほどの地響きと共に棺は閉じられたのだった。



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