Episode.8 Re:BUILD

「ーーーーー■■■■■■!!!」


「………お前は、俺のように『悪に染まった時』だと思ってるだろうが、それは違う」



奴は俺の質問に答える代わりに奴は口を開き、エネルギーをチャージする。

おそらくNSと自身の魔力を練り合わせ、照射ビームを放つ気なのだろう。




───だが、それがどうした。




「来い………エヴォリュード」


《エヴォリュード!》


俺は取り出したカプセル状のアイテム……『怪人カプセル』を起動させる。

カプセルの力が解放されると同時に俺自身のNSの力をカプセルに流し込む。


するとカプセルの力と俺の力が混ざりあい、カプセルに宿った怪人が召喚される。

黒いボディに翼竜を思わせる装甲と黄金のコアをもつ怪物、『エヴォリュード』だ。




「ーーーー!!!」


エヴォリュードは奴の顎にアッパーを叩き込みエネルギーを暴発させる。

凄まじい爆発音と共に、奴の口から煙が吹き上がり、脳が揺れたのだろう、奴の体がよろめく。



本来なら『エクスライザー』なる専用のデバイスでカプセルをリードしなければ召喚はできないのだが、俺だけはカプセルの起動だけでそれができてしまう。


そういえば……ウェズペリアのライダー共はこの龍のなり損ないのスピードを『速い』と抜かしていたが、ハッキリ言って遅すぎるだろ。




「………答えは『自らに正義があると確信した時』。

その瞬間、加虐のブレーキが壊れるんだよ。


……パーフェクトガンマイザー……!」



《パーフェクトガンマイザー!》



そして、休む時間など与えやしない。


エヴォリュードの時と同様の方法でカプセルを起動すると2体目の怪人を召喚。

鬼灯のような頭部の装飾と、黒をベースに血管のようなラインが特徴の怪物……『パーフェクトガンマイザー』だ。


パーフェクトガンマイザーはエネルギー波を両腕から発するとよろめいたノゾミを弾き飛ばす。


俺の質問に答える以前に自らを律し、その破壊衝動を抑えられなければただの怪物と成り果てるだけだ。




「………『正義』だとか『希望』だとか。

そんな言葉を免罪符にして、悪と断じた敵を徹底的に叩き伏せる………それが今の“お前たち”だ。


『殺らなきゃ殺られる』?

そんなもん、どこの世界も同じだ愚か者。


『みんなのため』?『大切な誰かをまもるため』?

どれだけ綺麗事を並べても、結局やってることは他の誰かに絶望を押し付けているだけじゃねぇかよ。

………この俺のようにな」


《エクスドライバー!》


2体の怪物たちが俺の隣に並び立つと、俺はエクスドライバーを取り出した。

黒地に青のラインが入ったベルト型デバイスなのだが、試作品ということもあり後発のデバイスと比較しても少々大型となってしまった。

だが、それでも俺はこのドライバーを使い続ける。


たとえ、後発のデバイスに劣っていてもだ。


俺はジュエルドライバーを外すと、代わりに起動させたエクスドライバーを装着した。


エクスドライバーの装着と共に召喚した怪人たちは粒子となりバックル中央のコアへと吸収された。



「『自分は希望の担い手』と嘯きながら、自分の理解出来ないものには牙をむく。

どうせお前も………その後は跡形もなく破壊し尽くして白々しく言い訳をするんだろうよ。

………『ここまでするつもりはなかった』ってな」


《リヒト!》《ドゥンケル!》


装填する2本のオブラート。

俺が長年愛用してきた“チカラ”。

全てのライダーカプセルの雛型となった試作品のカプセル。


2本のオブラートが装填されるとバックル中央のコアが緑色の光を放ち、エネルギーが増幅されていく。



「少なくとも、お前は遅かれ早かれその“希望”とやらで“取り返しのつかないことをするだろう”。



これは俺の慈悲だ。



お前が取り返しのつかない罪を犯すその前に……



───俺がお前の未来を断ってやるよ。





………………“変身”!!』
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