「うっ………うわぁぁぁぁぁぁぁ！！」


───ついに対抗手段の全てを封じられてしまった。


今の私は、もはや仮面ライダーのコスプレしただけのただの子供。

何をしていいのか、どうしていいのか……


私にはもう、全く分からない。



シザーズセイバーガンを握りしめると一気に駆け出す。




───恐らく、私も自棄になったいたのだと思う。




最大スピードからの斬撃。

しかし、それは奴にあっさりと受けとめてしまい、唾競り合いになる。




「はぁ………ついに自棄(ヤケ)になったか………

そんなんで希望の担い手が務まるのかよ？」


「黙れ！私の世界を滅ぼして！私の大切な人たちを！セッテをあんな目に合わせて！！

仮面ライダーを冒涜してるなんて！悪党のあんたになんか言われたくなんかない！！」


「……吠えるのだけは一人前だな。

俺に文句を言う前に、やることがあるんじゃないのか？」


瞬間、首が飛ぶのではと思ってしまうほどの強烈な衝撃が頭に走る。

脳が揺れ、一瞬だけ意識が飛ぶほどの一撃。


また殴り飛ばされたのだ。


必殺技でもなんでもないただの拳にこれだけの威力。

バールクスのスペックだけでなくのジニアという男の戦闘力の高さがこれほどの威力を叩き出しているのだ。




「っ！」


すぐさま私は体制を建て直し、反撃に転じようとするが……………




────ザクッ




「…………え？」


その音がしたのは私の右足の方。


私は恐る恐る視線を足元の方へと降ろす。





「………あァァァァァァァァァァァァ！！！」



それを私の双眸が捉えた瞬間、まるで止まっていた時間が動き出すかのように痛みが全身に駆け巡る。


立ち上がろうとした私の右の太ももを奴の剣が貫いていたのだ。



激しい痛みからか、全てを失ったことへの悲しみか、自身への無力感からか。


目の前にいる奴の姿が滲み、頬に熱いものが伝う。




ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ……………



今は………そんな感情は……………。



………だが、いつまで経っても攻撃は来ない。

奴は立ち尽くすように私を見つめているように見える。



そして……………





「……………お前、“宿命”って言葉、知ってるか？」


唐突な問い。

よくあるありきたりな問い。


そして……考えたこともなかった言葉。



私は痛みに耐えながら、滲んだ視界で奴を見ることしか出来なかったのだ。