「はぁぁぁぁぁぁっ！！」


「…………っ！！」


私はシザースセイバーガンを、奴はリボルケインとかいう剣を構え駆け出す。


スピードは互角。

互いに刀を振るうと、飛び散る火花と共に奴と私の刀が切り結ぶ。



「スピードは互角………！これならいける………！」


「バカかお前………！」


「っ！！」


瞬間、私の脳が揺れ一瞬だけ意識が飛ぶ。


間合いからして、おそらく殴られたんだ。

それも私が全く反応出来ないほどのスピードで。


さらに叩きつけられる強力な一撃。

私の体は大きく仰け反ってしまう。




やっと気づいた。

………この男、最初からずっと手をぬいていたんだ……！




「お前、戦う相手の実力を見誤ったろ？

少なくとも俺の実力を『自分と同等』、それか『全力の自分より下』って判断したんじゃねぇのか？


………最初に俺の気配に全く気づけなかったところで察しろよ」


「……っ！」



──確かに奴の言う通りだ。


無意識のうちに殺気や感応波などで私は敵の危険性やその力量を測っていたと思う。


現に今まではそんな感じでやっていけた。



だが、今回は違った。


全く感じないレベルで気配を消せたり、変身体のスペックも奴の力量も相当高かった。

だが『インフィニットエクシードに達した自分なら余裕で勝てる』と無意識に思っていたのだろう。


だが実際はこれだ。


───認識が甘かったのだ。


今となってようやくわかったのだけど、奴は自身の力量を私に悟らせないように殺気を極限まで抑えつつ、私の力量に合わせてそのスピードや攻撃の鋭さのレベルを合わせていたんだ。



それでも私たちは手も足も出ずにやられていたのだが…………なんとも悪辣な真似をする。




「そっ、それでも諦めない！みんなの仇は私がとるっ！！」


《桔梗！プリーズ！》


《CAROL！MAXIMUM-DRIVE！！》


解放される指輪とメモリの力。

私の視界が青く染まり、指輪とメモリの力が融合し、青い炎が剣を包む。

そして“神に抗う力”『ニューシード』能力を解放し、その炎の攻撃力を底上げする。



そして私は再びクロックアップを発動しながら青い軌道を描き素早く、それこそ最大速度で動き回り奴に斬りかかってゆく。



しかし……………



「分かってねぇな………お前」


奴はそれを妙な真似をすることもなく、私の攻撃を全ていなし、防ぎきってしまう。



しかし………妙だ。


なんでクロックアップをしているはずなのに奴に攻撃をいなされているのだろう？


なんで青い炎で全くダメージを受けているそぶりもないのだろう？




私は………この目の前の“怪物”にただただ恐怖を覚えるのであった。