Episode.1 VALZ
「■■■!?!?」
目の前で大砲が破裂したかと思うほどの爆音。
瞬間に吹き荒れる突風。
割り込んできた“ナニカ”が蜘蛛の怪人を吹き飛ばしたみたい。
しかし、私には全くその動きが見えなかった。
まるでコマ落としのように、『殴る』『蹴る』のような過程を丸々削り落とされ『怪物が吹き飛ばされた』という結果だけを見せつけられている。そんな気分。
「………え……。
……だ、誰………?」
バッタを模した仮面。
炎のように赤い瞳
手足には赤と黄色の派手なリング。
そして、筋繊維を多い尽くすように纏われた黒い装甲。
そして、それらとは不釣り合いな青いベルト。
目の前の怪物や私たちを追いかけていた怪人とはまた違った異質さを持った異形。
でも………なんでだろう。怖くはない。
むしろ、ある種の安心感すらある。
「……さがってな」
「え…………あなたは………?」
──知っている。
私はこの優しい声の主を知っている。
でも………思い出せない。
思い出さなきゃいけないのに。
──きっと、大切な人なのに。
「───■■■■■!!!」
混乱と戸惑いの中にいる私のことなどお構い無しと言いたげに蜘蛛の怪物が吠えた。
その頭には天使の輪が輝き、腰からは巨大な純白な翼が伸びる。
飛びかかると、人間のものを模した二本の腕と背中から伸びる蜘蛛を模した8本の腕がそれぞれ黒い戦士目掛けて振るわれる。
その姿はもはや蜘蛛とは言い難い未知の怪物。
しかし、黒い戦士は全く動じない。
「………おせぇよ」
「────■■■ーーー!?」
蜘蛛の怪人の計10本の腕が迫るよりも早く、その拳が蜘蛛の怪人の胴体に叩き込まれる。
グシャッという何かが潰れる音。
何かがひしゃげ砕ける音。
何かが引き裂かれる音。
耳を塞ぎたくなるような音たちが一瞬響き渡ると、恐怖から私は目を瞑った。
そして………
「…………」
恐る恐る目を開けてみると、黒い戦士の拳は蜘蛛の怪人の体を貫いていたのだ。
目の前で大砲が破裂したかと思うほどの爆音。
瞬間に吹き荒れる突風。
割り込んできた“ナニカ”が蜘蛛の怪人を吹き飛ばしたみたい。
しかし、私には全くその動きが見えなかった。
まるでコマ落としのように、『殴る』『蹴る』のような過程を丸々削り落とされ『怪物が吹き飛ばされた』という結果だけを見せつけられている。そんな気分。
「………え……。
……だ、誰………?」
バッタを模した仮面。
炎のように赤い瞳
手足には赤と黄色の派手なリング。
そして、筋繊維を多い尽くすように纏われた黒い装甲。
そして、それらとは不釣り合いな青いベルト。
目の前の怪物や私たちを追いかけていた怪人とはまた違った異質さを持った異形。
でも………なんでだろう。怖くはない。
むしろ、ある種の安心感すらある。
「……さがってな」
「え…………あなたは………?」
──知っている。
私はこの優しい声の主を知っている。
でも………思い出せない。
思い出さなきゃいけないのに。
──きっと、大切な人なのに。
「───■■■■■!!!」
混乱と戸惑いの中にいる私のことなどお構い無しと言いたげに蜘蛛の怪物が吠えた。
その頭には天使の輪が輝き、腰からは巨大な純白な翼が伸びる。
飛びかかると、人間のものを模した二本の腕と背中から伸びる蜘蛛を模した8本の腕がそれぞれ黒い戦士目掛けて振るわれる。
その姿はもはや蜘蛛とは言い難い未知の怪物。
しかし、黒い戦士は全く動じない。
「………おせぇよ」
「────■■■ーーー!?」
蜘蛛の怪人の計10本の腕が迫るよりも早く、その拳が蜘蛛の怪人の胴体に叩き込まれる。
グシャッという何かが潰れる音。
何かがひしゃげ砕ける音。
何かが引き裂かれる音。
耳を塞ぎたくなるような音たちが一瞬響き渡ると、恐怖から私は目を瞑った。
そして………
「…………」
恐る恐る目を開けてみると、黒い戦士の拳は蜘蛛の怪人の体を貫いていたのだ。