Episode.8 Re:BUILD

町に入り辺りを見回す。


立ち並ぶのはレンガの家々。

建物自体は私たちの暮らしていた街とあまり変わらない。


しかし夕日に照らされ、黄昏に染まる町並みらどこか懐かしさすら感じてしまう。




「………見とれている場合じゃないよね」


確かにこのエスポワールという町はそこまで大きな街ではないのだが、ノスタルジックな雰囲気と芸術的な建築物たちによって筆舌に尽くしがたい程の美しさを誇る。


だが、ここに観光に来たわけじゃない。


情報収集とそれから………今晩の宿の確保だ。



そのためには………。



「………あそこのお屋敷とかいいんじゃない?」


私は目の前のものをまっすぐ指差す。

その先にはこの町の奥に位置するこの町の建物の中でも一際大きなお屋敷。



………とりあえずはあそこで事情を話してみようか。




「じゃあ、とりあえず行ってみよっか」


セッテも目の前のお屋敷に行くことに納得してくれたようだ。

やっぱり民家に突撃するよりも、やはり部屋の多そうなお屋敷に向かうのが得策だよね。



「じゃ、決まりだね!」


セッテも納得してくれたようで、早速私たちはお屋敷に向かうのだが………





「っ!!」


突然、私の頭に叩き込まれる耳障りな“音”。


私にしか聞こえないこの“音”は何者かの感応波を捉えた証。




無論、それはネガティブな方………つまりは危険を察知したということ。





────何かの気配がする。





「……セッテ!」


「わかってる………」



数はざっと20……というところか。




………その直後、私たちを囲むように“ナニカ”の影が私が感じた通り20体現れた。
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