「あっ、理緒！これ見てくれよ！」


俺はスパイダーマッから貰ったウルトラカプセルのおもちゃを見せる。

理緒はウルトラマンのファン。


多分このラインナップを見たら絶対喜ぶだろうな。



「あっ、これノアとダークザギのカプセルじゃん！いいなー！どうしたのこれ！？」


「スパイダーマンの格好したおじさんからもらった」


「えー！なにそれ！？ノアとかレアなやつじゃん！！」


予想通り。

ウルトラマン好きの理緒はいい反応をしてくれる。


そしてダークザギはともかく、ノアのカプセルはガシャポン限定でしかもなかなか出ないレアアイテムだ。


今ではプレミアまでついてる品物だ。




「ノアのカプセルかっこよくね！？」


「うん！」


「しかもこれでフュージョンライズしたら絶対最強だよ！」


「うん！ホントいいなぁー！」


「へへっ、あげないぜー？」


童心に戻りはしゃぐ俺と理緒。


なんかこうして共通の趣味を持てる友人と話すのはいつ以来か。


もう、わかりはしないけど………




「ウルトラマンノア……！ヘアッ！」


「真似下手すぎー！ノアは“デュアッ！”だよー！」


「イヌヌワン！」

「まてまて～」

「だからノエル、そのわんこをお店の中に入れたらマズイって……

あぁ、またおなかすいてきた………」


おどけてテレビの前のヒーローの真似をして、カプセルを起動する真似をする。

他の仲間たちもそれぞれ思い思いの時間を過ごす。


ふと視線を向けた、窓の外には大きな満月が俺たちを見守るように闇夜を優しく照らしている。



なんだかんだ、今日は比較的に平和だった気がする。



はじめてかもしれない………


こんな日々がずっと続くのなら、



“明日が楽しみだ”って思えたのは。