Episode.7 REUNION

「あっ!そーだ。
ガンバライジングウエハースも買わなきゃな!」


俺は食玩の隣にあったウエハースも2~3個手に取る。


『ガンバライジング』。

正式名称は『仮面ライダーバトル ガンバライジング』という。

仮面ライダーの番組のスポンサーも勤めている『ガンバライジング社』という企業が打ち出したトレーディングカードアーケードゲーム。


デパートやゲーセンとかを中心に稼働しているのだけど……その人気はとにかく凄まじく、その人気は日本どころか世界にまで広がって、この姫矢の街で毎年世界大会まで行われている。


世界大会では、ガンバライジング社製の専用のバトルフィールドが用意されている。


最新のVR技術とAIを応用して、カードリーダーに置いた仮面ライダーカードに対応した仮面ライダーが実際にその場にいるように動くのだ。

まるでテレビの中の仮面ライダーの世界が目の前に広がっている………といったものが楽しめるため、世界の仮面ライダーファンが世界大会のために姫矢にやって来るのだ。


…………って仮面ライダーやってる俺は仮面ライダーの世界が毎日のように目の前に広がってるんだけどな。




「でもなぁ………」


だけど、気になることがひとつ。

ガンバライジングの開発やテレビ番組『仮面ライダー』のスポンサーもやってるこの『ガンバライジング社』。


表向きにはゲーム開発を中心に行ってる多国籍企業ってことになってるけど、このガンバライジング社は……唯一姫矢グループの買収から逃れているんだ。


ガンバライジング社なんかよりもっと大手のゲーム会社だった『幻夢コーポレーション』は姫矢グループに買収されたというのに、だ。


仮面ライダーは基本的にガンバライジング社が製作に携わっているのだが、その仮面ライダーの中には勇騎さんが変身していた『ダブル』『ドライブ』『エグゼイド』もあった。

あとこないだ戦った通りすがりの仮面ライダー……『ゼロワン』も。

でも、ゼロワンはなんかベルトが違ってたんだよな………。


そして、他のみんなには“内緒”だけど………ちょっと前にいった『ささめゆき』っていう喫茶店にはテレビの中だけだと思っていた仮面ライダーたちがわんさかいた。


『テレビの中の絵空事』が現実に起こっているパラレルワールドもあると言ってしまえばそれまでなのだが、偶然にしてはあまりにもテレビの中の仮面ライダーと一致しすぎてないか?



まるで『本当にいた仮面ライダーのドキュメンタリー番組』としてテレビの仮面ライダーが作られているんじゃないか、って思うくらいには。




───ガンバライジング社、絶対なんかあるだろ…………。




「………まっ、考えすぎか。おつかいしなきゃな。

だ~れにもないしょでお出かけなのよ♪」


俺は手に取ったウエハースを買い物かごに突っ込むとメモを再び取り出し、歌いながら今度こそ食玩売り場を離れる。



さぁ、買い出しが終われば………




広大な宇宙(ごほうび)が俺を待ってるーーーー!!
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