Episode.7 REUNION
「……君~は鍋~~♪君は鍋~~♪」
バイク形態のヒメと共に店を飛び出し、姫矢の中心街である願葉区のデパートへと向かっているが………やっぱり暑い。
こんなに暑いのに日陰が全くない。
走ってるときはあまり気にならないけど信号待ちの間は最悪だ。
しかも、勢いで飛び出したから水も持ってきてない。
気を紛らわせるためにも歌ってなきゃ確実に死ぬやつだわコレ。
「あっちぃぃぃ…………
でもこれもご褒美の為だぁぁ…………
耐えろ……耐えろ俺………!」
信号を待つ間も汗がジワリと吹き出してきてシャツを濡らして行く。
アスファルトから照り返す熱気と汗の不快感のダブルパンチが俺の体力を奪う。
夕方まで待ってればよかったァァァ………!
「ヒメェ……………お前はいいよなぁ。
バイクだし暑さなんて感じねぇだろ………」
「そんなに暑いならヒメを犬に変形させて、日陰に入ればいいじゃないですかぁ~」
「………あ」
その手がありましたよね~。
普通のバイクならまだしも、こいつは普通のバイクじゃねーんだ。
俺はバイクを降り、バイクを押して歩道まで行くとメーター下のボタンを押す。
《Dog mode.In to be Action》
そんな電子音声と共にバイクは変形し、再び子犬の姿に戻る。
「イヌヌワン!」
道行く人たちが俺たちを見ていくが、まぁ………新しいバイクがどっかの企業から出たんだ、くらいの薄いリアクション。
そうだ、この街………姫矢市は世界を制する企業『姫矢グループ』の城下町。
新エネルギー『リヒトシュトローム』とそれを産み出す『テスラーエンジン』で工業を中心に発展した街。
空には宅配用のドローンが飛び交い、歩道のあちこちではオートウォークが稼働している。
しかも中心街である願葉区では立体映像で放送されている『スマートブレインモーターズ』の新製品のバイクや『ガンバライジング社』や『幻夢コーポレーション』の新販売のゲームのコマーシャルが打ち出されている。
そして街では人工知能のリーディングカンパニーの『飛電インテリジェンス』が開発した汎用人工知能搭載ロボットが、多国籍企業『ユグドラシルコーポレーション』が出資した病院やデパート、学校などで働いていたりする。
そしてそんな名だたる大企業たちを全て傘下に納め、政界にもコネクションを持ち、今ではこの街を『影の首都』と呼ばれるほどの都市に変え………影で世界の“全て”を支配する。
それが『姫矢グループ』。
───この街の『光』と『闇』だ。
「…………」
ヒメを抱えて日陰に入ると俺はこの街でも圧倒的なインパクトを放つ三日月型のビルを見つめる。
あれが姫矢グループの本社。
この街の………いや、この世界の支配者。
かつてアンゲロス共によって地獄に変わったこの街を救い、かつて以上の繁栄をこの街にもたらした存在。
確かにたった6年でこの街は血の聖誕祭以前より発展した。
でも、それで救われた奴もいるが……救われなかった奴もいる。
そして、姫矢の復活の為に犠牲になった奴も………その為に見捨てられた奴だっている。
そして……俺は、俺たちはその“見捨てられた奴ら”だ。
確かに大勢を救うために少数を犠牲にするのは仕方のないことだ。
俺もその判断は正しいと思ってる。
だけど…………。
それでも俺は………。
「行こっか、ヒメ………」
「………イヌヌワン」
ヒメが俺の頬をペロリとなめる。
この暑さだ。汗が目に入ったんだろうか。
────見上げた姫矢のビルが滲んで見えた。
バイク形態のヒメと共に店を飛び出し、姫矢の中心街である願葉区のデパートへと向かっているが………やっぱり暑い。
こんなに暑いのに日陰が全くない。
走ってるときはあまり気にならないけど信号待ちの間は最悪だ。
しかも、勢いで飛び出したから水も持ってきてない。
気を紛らわせるためにも歌ってなきゃ確実に死ぬやつだわコレ。
「あっちぃぃぃ…………
でもこれもご褒美の為だぁぁ…………
耐えろ……耐えろ俺………!」
信号を待つ間も汗がジワリと吹き出してきてシャツを濡らして行く。
アスファルトから照り返す熱気と汗の不快感のダブルパンチが俺の体力を奪う。
夕方まで待ってればよかったァァァ………!
「ヒメェ……………お前はいいよなぁ。
バイクだし暑さなんて感じねぇだろ………」
「そんなに暑いならヒメを犬に変形させて、日陰に入ればいいじゃないですかぁ~」
「………あ」
その手がありましたよね~。
普通のバイクならまだしも、こいつは普通のバイクじゃねーんだ。
俺はバイクを降り、バイクを押して歩道まで行くとメーター下のボタンを押す。
《Dog mode.In to be Action》
そんな電子音声と共にバイクは変形し、再び子犬の姿に戻る。
「イヌヌワン!」
道行く人たちが俺たちを見ていくが、まぁ………新しいバイクがどっかの企業から出たんだ、くらいの薄いリアクション。
そうだ、この街………姫矢市は世界を制する企業『姫矢グループ』の城下町。
新エネルギー『リヒトシュトローム』とそれを産み出す『テスラーエンジン』で工業を中心に発展した街。
空には宅配用のドローンが飛び交い、歩道のあちこちではオートウォークが稼働している。
しかも中心街である願葉区では立体映像で放送されている『スマートブレインモーターズ』の新製品のバイクや『ガンバライジング社』や『幻夢コーポレーション』の新販売のゲームのコマーシャルが打ち出されている。
そして街では人工知能のリーディングカンパニーの『飛電インテリジェンス』が開発した汎用人工知能搭載ロボットが、多国籍企業『ユグドラシルコーポレーション』が出資した病院やデパート、学校などで働いていたりする。
そしてそんな名だたる大企業たちを全て傘下に納め、政界にもコネクションを持ち、今ではこの街を『影の首都』と呼ばれるほどの都市に変え………影で世界の“全て”を支配する。
それが『姫矢グループ』。
───この街の『光』と『闇』だ。
「…………」
ヒメを抱えて日陰に入ると俺はこの街でも圧倒的なインパクトを放つ三日月型のビルを見つめる。
あれが姫矢グループの本社。
この街の………いや、この世界の支配者。
かつてアンゲロス共によって地獄に変わったこの街を救い、かつて以上の繁栄をこの街にもたらした存在。
確かにたった6年でこの街は血の聖誕祭以前より発展した。
でも、それで救われた奴もいるが……救われなかった奴もいる。
そして、姫矢の復活の為に犠牲になった奴も………その為に見捨てられた奴だっている。
そして……俺は、俺たちはその“見捨てられた奴ら”だ。
確かに大勢を救うために少数を犠牲にするのは仕方のないことだ。
俺もその判断は正しいと思ってる。
だけど…………。
それでも俺は………。
「行こっか、ヒメ………」
「………イヌヌワン」
ヒメが俺の頬をペロリとなめる。
この暑さだ。汗が目に入ったんだろうか。
────見上げた姫矢のビルが滲んで見えた。