「イヌヌワンっ！」


真夏の日差しをもろともせず店を飛び出すとバイクに変形する子犬……『ヒメ』がハウスから飛び出してきた。

ここの大家さんに事情を話して『この店で』飼うことにしたようだ。



………ていうかよく許可したよな。




「イヌヌワン！イヌヌワン！」


まるで散歩に連れてけといわんがばかりに俺にまとわりつく子犬。

こんなに暑いのに元気だよなぁ



「なら、お前も一緒にいくか？」


「イヌヌワン！イヌヌワン！イヌヌワーーーン！！」


俺の提案にヒメははしゃぎ俺の周りをくるくる回る。

いくら散歩に行けるのが嬉しいからって荒ぶりすぎだよ。

でも、こういうのも悪くない。



「じゃ、行くか！」


そして俺はしゃがみ、ヒメの尻尾を引っ張る。

これが変形するためのスイッチ。
前回はノエルの服に尻尾が引っ掛かったのだろう。



《Camarada Mark Ⅱ. In to be Action》


そんな音声と共にヒメの体はバイクに変形する。

いつ見ても筆舌に尽くしがたい光景だ。


しかも犬なのにバッタモチーフのバイクになりやがる。

まぁ、この犬そのものがライダーみたいな顔してるっちゃしてるもんな。



「さて、勝利さん！いくですぅ～！」


「オーケー！」


俺はバイク形態となったヒメに跨がると、ヘルメットを被り、エンジンを吹かしてバイクを走らせるのであった。